安威川ダムと水利権の見直し
@日本の公共事業の代表格といわれるダムは、すでに全国に二千七百カ所も存在しています。この間、国は全国の「脱ダム」の世論もあって、九十カ所以上のダム計画を凍結又は中止にしました。しかし安威川ダムの場合は、大阪府は中止を行わず、
2005年8月に利水計画を日量1万立方bに縮小して、ダムに固執しています。そして2年後の2009年に本体工事に着工するということで、用地の買収、付け替え道路の建設と立ち退き者の代替地の造成工事を継続しています。しかし、決して遅くはありません。
今、国土交通省近畿整備局は河川法の改正に基づく、淀川水系の河川整備計画の策定の作業を進めています。そして大阪府は2007年2月に安威川ダム建設を含む神崎川水系河川整備計画を策定しましたが、本体工事に着工する財政的状況にはありません。大阪でも安威川ダム計画を一旦凍結をして、ダムに頼らない利水と治水対策を検討させましょう。ご協力をよろしくお願いします。
A次に安威川ダムを凍結して、「ダムに頼らない、利水の方策を検討せよ」と求める理由は、新たなダム建設による大阪府営水道の水資源確保は、水道料金の大幅引き上げと市町村の自己水源放棄・縮小につながり、さらに必要な水資源確保は、主に水利権の見直しで十分対応できるからです。
2004年度では近畿の水供給の中心的な役割を担う、淀川水系では上水道用水、工業用水などで日量948万立方メートルが水利権として、確保されています。しかし実際の使用量は、615万立方メートル程度で、残りの水が未使用となっています。これは10年前と比べると、未使用の量は拡大しています。今、国交省近畿地方整備局は2006年8月を目標に、淀川水系水資源開発計画(フルプラン)の見直しの作業を進めています。近畿の新たな水資源確保は未使用の多い工業用水を中心とした水利権の見直しで十分対応できるのではないでしょうか。
B水利権とは、上水や工業用水、農業用水、発電など一定の目的のために、河川の水を使用できる権利です。水道事業を営む自治体や私企業、水利組合などが持っています。歴史的に古い農業用水は慣習で認められた水利権ですが、普通は河川管理者の国交省の許可によって、権利が生ずるとされています。93年時でも、許可と使用実態には、相当な開きがあり、その後工業用水などを中心に一定の見直しが行われましたが、04年時の許可と使用実態の開きが一層拡大しています。
C次に大阪府営水道の整備計画はというと、今から26年前の1979年に10年後に、一日最大給水量が265万立方メートルになるとして決められました。ところが、実際の使用量はほとんど増えず、2001年には10年後の一日最大給水量を253万立方メートルとして、修正されました。さらに今回、10年後の給水量を216万立方メートルとし、それに複数水源という理屈をつけて、15万立方メートルを上積みして231万立方メートルに下方修正しました。すでに大阪府営水道は現在223万立方メートルの施設を整備しています。今、大阪府の水需要の将来を考えるとき、今の223万立方メートル程度で十分です。したがって節水と水利権の見直しで十分対応でき、複数水源としての機能も果たせない 安威川ダム建設は全くの不要です。
D見直しの計画では、大阪府営水道は、整備済みの223万立方メートルにプラスして、府工業用水転用で7万立方メートル、和歌山県紀ノ川水系から1万立方メートルそして安威川から1万立方メートルと一日最大給水量231万立方メートルを確保しようとしています。しかし必要でない水資源開発が行われた場合は、受水市町村にその割り当てがますます強制されるので、地下水などの自己水源が縮小・放棄されるなどの新たな問題が起こります。いま大事なことは、渇水に強い水資源確保対策として、水浪費型産業や社会構造からの脱却をすすめるとともに、水利権の見直し、地下水など自己水源の復活や開発に取り組むことです。
E大阪府は、「異常渇水時にも、豊かな水環境を保全し、複数水源として、万一に備えるのが、安威川ダムの大切な役割です」としていますが、こうした説明がいかに根拠のないものであるか、全国の多くのダムが渇水時には空っぽで無残な姿をさらしていることで、証明済みです。なぜこのようなことになるのかと言えば、もともとダムによる水資源開発は経済性を考慮して、10年に1回程度の頻度で起こる渇水を想定して、利水容量を定めているからです。それどころかダムによる大阪府営水道の過剰な水資源開発は、受水市町村に地下水など自己水源の縮小・放棄が押しつけられ、かえって渇水を深刻にしていると言えます。また大阪府は 「万一に備えて、淀川とは別の水源の確保が必要」として、安威川ダム建設を進めようとしていますが、それを言うのなら、複数水源としてもっとも頼りになる市町村の自己水源の維持・確保に、もっと力を入れるべきではないでしょうか。





