2005年3月市議会報告−D(国民健康保険)

 議案第28号、平成17年度大阪府茨木市国民健康保険事業特別会計予算について、日本共産党茨木市会議員団を代表しまして、反対の立場から討論を行います。

 反対の理由の第一は、所得割、資産割、均等割り、平等割りと、すべての料率引き上げによって、4億9900万円という大規模な国保料引き上げとなり、市民的影響が非常に大きいということです。

 今回の国保料の引き上げで、二人世帯・資産割り5万円のモデル世帯で試算した場合、年間所得が1,220,000円の世帯で医療と介護分合わせて年間保険料208,490円、負担率17.09%、1,194,000円の世帯では206,010円・17・25%、1,030,000円の世帯では、167,940円・16.30%の負担となり、特に低所得者層には支払いに耐えがたいものとなっています。しかも、現在の滞納者を所得階層別に見ると、低所得者に集中している傾向にあります。今回の大幅な保険料の引き上げは、保険料の払えない世帯に対し、ますます払えない状態をまねくだけでなく、新たな滞納者を作り出すという悪循環をもたらすものです。また、現在、保険料滞納者に対する対策(ペナルティ−)として、資格証明書発行が815件、短期保険被保険者数が1953件、留め置きが855件という過酷な事態となっています。

 反対の理由の第二は、国保料をせめて据え置きとすべきときですが、異常な引き上げとなり、今回の一般会計の繰り入れが国保料の値上げを抑えるだけの額には程遠いものとなっていることです。
 もとより、わが国の社会保障制度は、1)公的扶助、2)社会福祉、3)社会保険、4)児童手当、5)公衆衛生および医療、6)環境政策という6つに分けられています。社会保険は、疾病、負傷、出産、障害、死亡、老齢、失業などの困窮の原因に対して、保険の技術を利用して、経済的保障を図るものです。中でも加入者の多くが低所得者となっている国民健康保険制度は社会保障制度として国および地方自治体がその運営に責任を持ってあたり、現在の危機的状況を打開し「健全な運営」の回復に寄与すべきであります。「医療費が年々増え続けている」からといって「国民健康保険は、保険であるから、加入者の相互扶助が必要」との誤った認識で、保険料引き上げを止めどもなく行うことは、制度の本来の目的をゆがめ、本市の責任を回避したものといわざるを得ません。「保険料が高くて払えない」、この状況を変えるためには、国の更なる国民健康保険法改悪を許さず、国庫負担の増額を国に強く求めるとともに本市一般会計からの繰り入れの増額をはじめ、歳入歳出両面での努力が重要です。一般会計からの繰り入れについて「加入者の軽減を行うために本市もその一端を分担するために、厳しい状況にある一般会計から多額の繰り入れを行っており、それも限界に達している」とこのような言い方をされていますが、財政的に見ても決して限界ではなく、繰り入れは十分可能であります。

 茨木市の国保加入世帯は、17年度見込みで全世帯の44%に当たる47,550世帯、また加入者は、市全人口の33%に当たる88,740人です。
特にこの数年、企業による無法なリストラなど社会保険からの離脱者が激増し、また、若年者層における不安定雇用の広がりなど、今日の滞納者の激増は、主に社会的要因によって起こっておるものであります。その対策と解決は、一般財源からの繰出額の増額によって保険料抑制の対応が行われることは、一般財源の支出の優先順位から見ても決して不合理なものではないと申し述べ、反対の討論といたします。

以上。

平成17年度大阪府茨木市国民健康保険特別会計予算に対する日本共産党の反対討論(岡崎栄一郎議員)   2005年3月25日

@平成17年度 北摂各市保険料額等調べPDF

A所得階層別 世帯保険料 前年度比較《医療保険分》PDF

B所得階層別 世帯保険料 前年度比較《介護保険分》PDF

C所得階層別 世帯保険料 前年度比較《医療+介護保険分》PDF

D17年度国民健康保険料状況

□賦課限度額および料率の改正による保険料収入の増減

1.  賦課限度額の改正により  改正せず 

2.  料率の改正により   499,076,780円  
      内訳
          均等割 159,732,000円
          平等割  51,354,000円
       所得・資産割 287,990,780円
                合計   499,076,780円


  □保険料算定の基準額

                        調定額@   5,972,450,000
                      軽減見込額A   940,941,000
                          @+A   6,913,391,000
                  内訳
                             所得割      3,107,840,170円
                             資産割        345,669,550円
                             均等割      2,424,040,800円
                             平等割      1,035,840,480円
                       世帯数                 47,550
              一般被保険者世帯数(退職者除く) 40,717
                               被保険者数     88,740
                             一般被保険者数 74,540

16年度

17年度

一人あたり保険料

85,576

92,747

限度額

53万円

53万円

均等割

30,720円

32,520円

平等割

24,360

25,440

資産割(率)

16/100

17/100

所得割(率)

7.1/10

7.8/100