=耐震偽装問題=

 日本共産党茨木市会議員団は、12月議会終了日の12月20日午後、
市内の建築物再調査などを求める「耐震強度偽装問題に関する緊急の申し
入れ」を、野村市長に対しておこないました。

また、12月議会最終本会議では、日本共産党提案の耐震偽装問題の意見書を土台に、
「耐震強度計算書偽造の再発防止と建築行政の信頼回復に関する意見書」として全会一致
で採択されました。




以下、申し入れ文書全文です。(PDF

      耐震強度偽装問題に関する緊急の申し入れ

茨木市長 野村宣一殿
                                              二〇〇五年十二月二十日


                                         日本共産党茨木市議会議員団
                                                     団長 朝田 充

 建築物の強度を示す「構造計算書」の偽造事件が発覚し、安全が保障されないマンションやホテルが
建設されていることが明らかになり、重大な問題となっている。
 今回の事件は、国家資格者である一級建築士が人命を脅かす不正行為を行ったもので、絶対に許す
ことのできないものである。しかし、同時に今日の建築確認制度そのものが、検査の公平と中立性が確保で
きない可能性があることに目をむけ、再発防止のために徹底した対策が求められている。
 事件の背景には、「規制緩和三カ年計画」に基づいて一九九八年に建築基準法が改定され、それま
で自治体が行ってきた建築確認・完了検査を営利を目的とした民間に開放し指定確認機関(以下、民
間機関)でも実施できるようにしたことがあげられる。茨木市では、現在この検査に二十七の民間機関があた
っており、二〇〇四年度の建築確認件数一一四九件のうち一〇五九件(九二.二%)は民間機関が実
施している。
 今回の事件は、民間機関が審査して建築確認を出したもので、「普通にチェックしていれば構造計算書
がパスすることはない」といわれる内容のもので、審査がいかにずさんであるかを物語るものとなっている。その背
景には、安全性を無視し「速さ、安さ」を競う民間機関の過当競争があることは明らかである。
 さらに、「指定機関(民間も含む)による確認の事務」は「地方公共団体の事務」として「地方公共団体
にも責任がある」とした最高裁の判決(二〇〇五年六月)が下されていることから見ても、行政の建築確認
に関する責任のあり方は今、見直しが求められている。
 九八年の建築基準法改定の際に、わが党は規制緩和を絶対視、万能視し、人命の安全にかかる仕事
までも民間に任せるべきではない、民間機関から自治体に建築確認の報告があっても自治体がチェックする
ことになっておらず、事実上民間任せになり公正さが確保されないと指摘し、法改定に反対した。
市民の安全を守り、建築確認行政への市民の信頼の回復のために、市長に対し次のことを申し入れるもの
である。

一、市民からの相談や建築確認の再検査等の要求に対応できる窓口を設置し、責任を持って対応すること

二、事件の全容解明と民間検査体制の見直し、国・地方自治体の責任を明確にするなど再発防止へ万
全な方策確立を国に求めること

三、一九九九年度以降の建築確認などによる茨木市内の建築物に偽造された構造計算書などの不正
がなかったかどうか調査し、安全性を確認すること

四、民間機関からの建築確認報告をチェックできるよう市の建築主事などの体制を強化すること

五、民間の指定検査機関が建築確認を行う場合、自治体は簡単な報告を受けるだけだという現行建築基
準法の改善を国に求めること

以上