2006年1月31日

茨木市企画財政部企画調整課 様

 

茨木市行財政改革指針(案)への意見

 

(団体名)日本共産党茨木市会議員団

朝田  充 

阿字地洋子 

岡崎栄一郎 

畑中  剛 

(住 所)茨木市上中条2−1−16

(連絡先)072−624−0801

 

 「茨木市行財政改革指針(案)への意見募集」について、以下の通り意見書を提出いたします。

 

1、指針(案)「第1 行政改革の基本的考え方」について(1ページ〜3ページ)

 

 今回の指針案は、「行政改革の基本理念」として「市民本位のスリムな行政経営への改革」「経営の視点からの戦略プラン」として「経営の視点」が強調されているが、これは、地方自治体を「経営体」と見るいわゆる「都市経営論」という考えだといわざるを得ない。「都市経営論」とは、自治体(=茨木市)を株式会社になぞらえ、「最大限効率性を考えた行政を進める必要がある。株式会社・茨木市は市民サービスをつくり、市民に売る。市民はこのサービスを買う顧客である」といった考え方である。しかし、この「都市経営論」は間違いである。地方自治体は、住民の暮らしと権利を守り、増進させるための住民自身の組織であり、市民は「顧客」ではなく、「主権者」として地方自治体の政策形成や事業の遂行に直接参加、参画するのである。地方自治体の業務の最大の目標は「公共性」であって、儲けを生み出すための「効率性」ではない。

したがって、行財政改革とは、そもそも何のために行うのかという「根本目的」をはっきりさせる事が必要である。その根本目的は、「公共性」をより一層、保障するために行うべきものである。言うまでもなく地方自治法・第1条の2にあるように地方自治体の基本目的は、「住民の福祉の増進を図る」ことにあり、そのためには生きていく上で基本的な部分(福祉・医療・教育等)の平等性をより保障する、住民要求に沿わないもの(見通しのない大型開発や同和行政等)の見直しをはかる、そのための改革こそが求められていることを、まず最初に強く主張するものである。

 

2、指針(案)「第2 行政改革の推進と進行管理」について(3ページ〜5ページ)

 

 前述したとおり、「全職員での行政改革の推進の取組み」、「説明責任と市民との協働による行政改革の推進の取組み」、「適切な進行管理のための行政評価システムの確立」等は、やはり目的を誤らないことが大切であることを指摘する。

 

3、指針(案)「第3 行政改革の具体的事項」について(5ページ〜13ページ)

 

「1 市民参加の仕組みづくり」について

 

 この部分は、「情報公開の推進」や「パブリックコメント制度の活用」や「環境に配慮した施策の推進」等々、我々も積極的に参加、活用し、形式的なものに終わらせず、その充実を実現させていかなければならないと考える。

しかし問題は、茨木市が本当にやる気があるのかどうかである。例えば、「(1)のア 情報公開の推進」にしても「今後、計画の策定段階や事業の実施過程における情報の提供を進めて、更なる情報公開に努めていく」としているが、我々が、庁内組織である「茨木市保育所民営化検討委員会」が、「茨木市保育所民営化基本方針(案)」を全会一致で決定したのを受けて、昨年の12月26日付けでこの「基本方針(案)」の情報公開請求をしたところ、茨木市は本年1月10日付けで「不正確な理解や誤解を与えるおそれがある」と称して「非公開決定」を行った。我々は、すぐに11日付けで非公開決定の取り消し、情報開示を求める異議申し立てを市長に対して行った。ところが市長は、情報を開示しないまま放置し、24日に「基本方針(案)」を正式に市長決定とし、27日に突然の「基本方針」の記者発表を行った。本行財政改革指針(案)発表(本年1月4日)以降も、こんな調子では、早くも「言っていることとやっていることが違う」と厳しく指摘せざるを得ない。

また、「(2)のア パブリックコメント制度の活用」にしても今、市民にとって重要課題である「公立保育所の民営化」についてのパブリックコメントは実施されなかった。この点でも「言っていることとやっていることが違う」のである。

さらに、「(2)のウ 環境に配慮した施策の推進」にしても「ごみの減量、再資源化の推進」のために「市・市民・事業者が相互に協力し、」とあるが、ごみ減量のためには、市民の納得、協力がカギであることは言うまでもないことだが、そのためにはまず、行政が分別収集などのシステムづくりに相当の決意をしなければならないことも強調しておく。

 

「2 経営の視点による行財政システムの構築」について

 

@「(1)経営の視点に立った行政運営」の「ウ 公共施設の有効活用と適正管理」の「@民間委託や民営化」について

 

老人福祉センター、図書館、斎場などの利用率や収益性の高い施設の民間委託や民営化が想定されるが、こうした規制緩和・民営化万能論、公共性の解体は、容認できない。

 

A「(1)経営の視点に立った行政運営」の「ウ 公共施設の有効活用と適正管理」の「A設置意義の薄れたものや利用率の著しく低い施設の民間への譲渡、他の施設への用途変更、廃止」について

 

野外活動センター、川端康成文学館、公民館(コミセンとの統合)などが想定される。特に採算的に芳しくない社会教育施設が狙われる可能性が大きい、また、「少子化による人口減少時代への対応から、学校等教育施設や学校運営のあり方について検討する」とあるので、小学校の統廃合が想定されるが、こうした公共性、市民サービスの後退は、容認できない。

 

B「(2)民間活力の積極的な活用」の「ア 民間委託等の推進」について

 

更なる民間委託としては、学校給食や市営葬儀などが想定されるが、こうした公共性、市民サービスの後退は、容認できない。

 

C「(2)民間活力の積極的な活用」の「イ 指定管理者制度の推進」について

 

指定管理者の対象は全ての公の施設が対象なので、文字通り「何がでてくるかわからない」「何でもあり」ということであろうが、こうした規制緩和・民営化万能論、公共性の解体は、容認できない。

 

D「(2)民間活力の積極的な活用」の「ウ PFI手法の導入」について

 

PFIという手法の性質から比較的大きな公共事業への導入が想定される。市民会館やゴミ処理施設の建替えや、区画整理事業や彩都の市の所有地への公共施設建設の際に導入されることが想定される。

PFI手法は、公共事業実施にあたって、自治体のかわりにPFI事業者が借金等をするので「帳簿上」の借金が見えないだけであり、自治体を更なる財政危機に追いやることが懸念される、また、建築物の安全性が問題になっているだけでなく、建設後の管理・運営もPFI事業者が行うので公共施設の運営が「儲け本位」になり、公共サービスの低下等が懸念されるなど、様々な問題点が指摘されており、容認できない。

 

E「(3)健全な財政運営の確立」の「ア 税源と新たな財源の確保」の「税源の安定確保と増大を図るため、道路、街路等の都市基盤の一層の整備に努め、市民の安全性・利便性の向上、産業の活性化、観光の振興、さらには、産・官・学の連携による地域の活性化等を推進する」について

 

これはどんな状況であっても、国、府の行革に追随し、安威川ダム、彩都開発推進の財源は絶対確保するという宣言であるといわざるを得ない。「産・官・学の連携による地域の活性化」、すなわち彩都開発は推進しなければならない、「市民の安全性・利便性の向上」のため、安威川ダムは必要だ、つまりこうした「社会資本整備」を推進してこそ地域の活性化、人口増が図られ、「税源の安定確保と増大」が実現できるという考え方ある。しかし、こうした無駄な大型開発の推進こそが、今日の「財政危機」を招き、地域経済を疲弊させてきた根本要因であり、完全に間違った考え方である。行革というなら、利水・治水とも必要のない安威川ダムや実態は民間住宅開発となっており公共性の失われている彩都開発といった大型開発関連事業の無駄遣いこそ改めるべきである。

 

F「(3)健全な財政運営の確立」の「ア 税源と新たな財源の確保」の「負担の公平性を保ちつつ市民の理解を得られる新たな財源の確保に向けた検討を進める」について

 

今まで無料であったものの有料化、家庭系ごみ収集の有料化、来庁者駐車場の有料化、老人福祉センターの有料化等の「市民負担の増大」が想定される。しかし、前述したとおり、大型開発の膨大な無駄遣いは強行しながら、そのしわ寄せを市民にかぶせるようなやり方は、断じて容認できない。

 

G「(3)健全な財政運営の確立」の「エ 受益者負担の適正化」について

 

公共料金の定期的引き上げ等が想定されるが、大型開発の膨大な無駄遣いは強行しながら、そのしわ寄せを市民にかぶせるようなやり方は、断じて容認できない。

 

H「(3)健全な財政運営の確立」の「オ補助金等の整理合理化」について

 

特に、三位一体の改革で一般財源化されるものがその対象になり、保育や教育等が予算の総枠管理方式により、一層切り捨てられることが考えられるが、大型開発の膨大な無駄遣いは強行しながら、そのしわ寄せを市民にかぶせるようなやり方は、断じて容認できない。

 

I「(3)健全な財政運営の確立」の「カ 扶助費の見直し」について

 

国との関係で見れば、就学援助の後退などが考えられるが、所得制限の導入検討、すでに所得制限が導入されたものも一層制限をきつくするという、書かれていることは全面的なものであり、大型開発の膨大な無駄遣いは強行しながら、そのしわ寄せを市民にかぶせるようなやり方は、断じて容認できない。

 

J「(3)健全な財政運営の確立」の「キ 公共事業のコスト縮減」について

 

市民との関係でいえば、バリアフリーや水路の浚渫、簡易舗装、カーブミラー設置をはじめ福祉、教育に係る生活に密着した身近な公共事業の更なる削減が想定されるが、市民要求も強く、地域産業活性化につながるこうした公共事業は大いに推進すべきである。

 

K「(3)健全な財政運営の確立」の「ク 公営企業の経営の健全化」について

 

水道事業の地方独立行政法人化、場合によっては水道・下水道一元化した上で地方独立行政法人化ということも想定される。これも市民にとっては独立採算でやれということで、安全性の後退や上下水道料金の引き上げ等の市民負担増となって跳ね返ってくることが懸念され、容認できない。

 

「3 行政経営を担う職員の育成と組織の整備」について

 

@「(3)定員及び給与の適正化」の「イ 給与等の適正化」について

 

 「給与等の適正化」というのであれば、やはり、まずもって「特別職の給与等」を見直すべきであろう。市長、助役等の給与や退職金は、この間一定、見直したとはいえ、まだまだ市民の理解の得られるものとはなっていない不十分なものである。議員歳費は、まったくの手付かずである。我々は、この機会にも、議員も含めた、特別職の給与等の抜本的見直しのための「茨木市特別職報酬等審議会」の設置を提案するものである。

 

以    上