[畑中たけし] 9月定例市議会 一般会計補正予算質疑  2006.09.11

◎公立保育所臨時的職員の雇用関係改善について

◎公立保育所民営化による臨時職員の雇い止めについて

◎私立保育園の給食内容の改善について

◎私立保育園の耐震診断費用と改修の助成について


[畑中たけし]一点目として、公立保育所臨時職員の雇用関係改善についてお尋ねいたします。6月市議会でも指摘しましたが、情報公開で得た資料(平成18年4月付けの任用通知)では、公立保育所には666名の保育士、作業員、看護士が職務を執行しており、その内が正職員が258名、臨時職員等が408名で、全体の60%以上が臨時職員で占められています。408名の臨時職員は、実際の勤務年数は半数以上が4年以上で、異常な状況です。ところで平成10年2月の「保育所における短時間勤務の保育士の導入について」という標題の厚生労働省児童室家庭局長通知では「今後とも最低基準上の保育士定数は子どもを長時間にわたって、保育できる常勤の保育士をもって確保することが原則であり望ましいが、しかしながら保育所本来の事業の円滑な運営を阻害せず、保育時間や保育児童数の変化に柔軟に対応すること等により、入所児童の処遇水準の確保が図られた場合で、列挙した条件のすべてを満たす場合は最低基準上の定数の一部を短時間勤務の保育士を充てても差し支えない」とハードルを低くしました。しかし同じ通達の留意事項で「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」や雇用保険法等の労働関係法規を遵守し、不安定な雇用形態や低処遇の保育士が生ずることのないよう留意すること。このため、短時間勤務の保育士を導入する保育所にあっても導入しない保育所と同様の保育単価とする取り扱いとしている」としています。この通達内容と短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律及び指針から見て、茨木市の公立保育所の短時間勤務保育士の雇用関係と労働条件について、どのような認識を持っているかお尋ねいたします。一般財源化されたとはいえ、財源措置が行われている事からも現状は改善すべきである考えます。また解説書「地方財政実務提要」では、「臨時的任用の期間は原則として、6ヶ月以内であるが、更に6ヶ月以内の期間に限り一回だけ更新することが認められています。しかし、再度更新することは出来ないため、結局、臨時的任用はいかなる場合でも1年を超える期間継続は認められず、また1年未満の場合でも更新は1回に限られるのです。それは臨時的任用職員が地公法第17条第1項による正式任用職員と異なり、身分保障がきわめて弱いため、長期にわたり、不安定な状態のままこれらの職員を任用しておくことは好ましくないためです。よってたとえ一定期間(7〜10日)おいても、同一人を再度更新することは適当ではありません。なお1年を超えて任用する必要な職員の職であるなら、臨時的任用でなく、地公法第17条第1項の正式任用によるべきです」としています。この解釈によると、茨木市の公立保育所臨時職員の雇用関係の現状は明らかに違法かつ不当です。せめて地公法第3条第3項の三の非常勤嘱託職員に改善すべきと考えます。見解を求めます。


[津田総務部長]保育所の臨時職員の雇用関係についてお答えいたします。まず、この平成10年の国の通知の趣旨、これは利用児童の多様な保育ニーズや保育士の多様な勤務形態にかかる需要に柔軟に対応し、官民を問わず、効率的・効果的な保育所運営を行うことを、その主眼としておりまして、短時間勤務保育士の雇用に際しては、当然のことでありますが、「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」に留意することとしているものでございます。したがいまして、本市における保育士の雇用形態としては、現在、正式任用の正規職員、週五日の臨時職員、短時間の臨時職員を配置しておりますが、雇用関係と労働条件については適正に行っているものと考えております。なお、現在の臨時的任用職員の非常勤嘱託員として雇用してはどうかということでございますが、現状の法体系、また本市の効率的な保育所運営という両面から難しいものと考えております。


[畑中たけし]2点目として、公立保育所民営化による臨時職員の雇い止めについてお尋ねいたします。同じく6月の市議会で、津田部長は「臨時職員、パート職員として、これまで公立保育所運営に貢献していただいておりますんで、他の公立保育所に配置できないか検討すると共に、民営化に係わる移管条件として臨時職員、またパート職員で移管後保育所での就労を希望される場合には、移管保育所において採用について検討する」と答弁しました。いよいよ5ヶ月後には、その時がやってきます。その後の検討状況を明らかにするよう求めます。また10月1日付けの臨時職員任用通知(昨年は9月15日決裁でした)では、民営化による臨時職員、パート保育士の減員分の扱いはどうなるのかお尋ねいたします。


[津田総務部長]次に、公立保育所民営化による臨時職員の雇い止めでございます。これは六月議会でも一定ご答弁を申し上げましたが、来年四月から三島・中条保育所での職員配置がなくなりますので、当然のこととして、その分の臨時職員の数は減員となります。保育所での勤務を希望される臨時職員にあってはまず最初に他の公立保育所で配置を検討いたします。さらに移管先法人に職員採用についての話を現在しておりまして、積極的に検討したいとの返答をいただいております。なお、六ヶ月、六ヶ月の雇用ですので、10月に雇用契約を新たに結ぶ必要がありますが、これはこれまで通りとなります。民営化の減員分については来年4月減員が何人になるかということについては、平成19年度の公立保育所の措置児数が決定した後ということになりますのでよろしくお願いいたします。以上です。


[畑中たけし]3点目として、私立保育園の給食内容の改善についてお尋ねいたします。公立保育所の民営化により、もっとも目に見える形で保育の質が低下するのが明らかなのは、保育所給食の質の低下です。茨木市内私立保育園の給食材料費の単価が公立保育所に比べて低い水準にあることは、これまで何度も指摘してきました。今回民営化の三島保育所の受け皿になる「藍野福祉会・千里ニュータウン保育園」では一日一人あたりの給食に要する材料費単価は250円です。中条保育所の受け皿になる「つつみ会・たんぽぽ保育園」は同じく216円です。一方公立保育所の場合は321円と、いずれの保育所も30%程度下回っています。また栄養給与量、すなわち「エネルギー給与量」、「タンパク質給与量」、「カルシウム給与量」、「ビタミンB2給与量」いずれもが公立保育所より下回っています。これでは三島保育所と中条保育所の来年度からの保育所給食の献立の低下は避けられません。市として、どのような見解と対策を検討しているのか、答弁を求めます。また公立では主食費として3歳以上児から1000円徴収していますが、いずれも移管法人の保育園では1500円を徴収しています。この点も民営化予定保育所ではどうなるのか答弁を求めます。また現在の入所児童一人あたりの運営費の月額単価が低いため、そのしわ寄せが給食材料費単価にしわ寄せされている可能性について、言われています。もとより給食費材料費は保育単価一般生活費に包含され、国が給食材料費の場合児童一人あたり1日いくらで計算しているか、さだかでありません。そこで神奈川県では、独自に国にヒアリングしながら3歳未満児は一日360円、3歳以上児は一日223円と明らかにして、民間保育園に示し、この数値を尊重するよう、民間保育園に求めているわけです。茨木市でも一定の目安を示し、経営上困難な場合には、独自の助成措置を行うべきと考えます。答弁を求めます。


[奥原健康福祉部長]私立保育園の給食内容改善についてお答えいたします。公・私立保育園の給食は児童福祉施設最低基準にもとづき実施しており、基本的には差異はないものと考えております。しかしながら公立の保育所と私立保育園とに差が生じておりますのは公立保育所では比較的コスト高となる食物アレルギー疾患児対応食品の利用が多いことなどから材料費の差があると考えられますが、そのことが即給食内容の差となっているものとは考えておりません。公立保育所を民営化する引き継ぎ条件といたしまして、民営化基本方針の中で移管予定保育所が実施している一定の保育内容を継続して実施することとし、アレルギー児の給食対応について義務づけておりますが、民営化後もこれまで通り、子どもたちにとって成長過程に必要な栄養をバランス良くとり、偏食を起こさないよういろいろな食べ物を食べることを実践していかれるよう引き継いでまいりたいと考えております。

次に、移管後の主食費はどうなるかということですが、民営化基本方針の中で費用負担については、本市があらかじめ認めた費用以外は保護者負担の軽減を図ることとして現在公立保育所で徴収しております給食費=主食費と延長保育料、および災害共済掛け金以外の費用を徴収する場合は三者協議会に諮り。協議することとしております。したがいまして、基本的に主食費は1000円とし、変更する場合は、三者協議会の協議事項として検討していただくことになります。次に、独自の助成措置でありますが、民間保育園の給食につきましては、国の保育単価の範囲内で児童福祉施設最低基準にもとづくとともに、保育所保育指針等に沿って実践されており、また本年度からアレルギー対応を含む保育内容の充実を目的に保育対策費を新たに創設しておりますので、その中で対応していただきたく考えておりますことから、新たな独自の助成について実施する考えは現時点ではありません。



[畑中たけし]4点目として、茨木市内私立保育園の耐震診断費用と改修の助成について、お尋ねいたします。公立保育所の場合は、補正予算ですべての保育所で、耐震一次診断を本年度実施し、改修の必要な施設は引き続いて年次的に2次診断と改修工事が実施されることとなりました。しかし問題は民間保育園です。調査に訪れた神奈川県藤沢市では、公立保育所と同時に耐震2次診断費用の2分の1(一園当たり100万〜170万円)を助成し、耐震補強工事は予算の範囲内で年次的に工事費の3分の2を市単独で助成する制度を発足させています。国や府に対応を求めると共に、市独自の助成制度の検討を強く求めます。見解を求めます。


[奥原健康福祉部長]次に、耐震診断費用と改修の助成についてでありますが、私立保育園における耐震診断の費用につきましては、茨木市既存民間建築物耐震診断補助要綱に基づき本市の区域内に存する建築物の耐震診断を実施する所有者に対し補助金を交付しています。また、その耐震改修の費用につきましては国の制度として次世代育成支援対策施設整備交付金交付要綱に基づき助成制度がありますが、過去の事例から採択には大変厳しいものがあります。なお、国や府へは市長会を通じて要望しているところでありますが、この費用を市が単独で助成することは今のところ考えておりません。


[畑中たけし]それでは2問目。臨時職員の雇用関係改善について、「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」の目的には、「短時間労働者が我が国の経済社会において果たす役割の重要性にかんがみ、短時間労働者について、その適正な労働条件の確保及び教育訓練の実施、福利厚生の充実その他の雇用管理の改善に関する措置、職業能力の開発及び向上等に関する措置等を講ずることにより、短時間労働者がその有する能力を有効に発揮することができるようにし、もってその福祉の増進を図ることを目的とする」としています。同時に事業主の責務として、「事業主は、その雇用する短時間労働者について、その就業の実態、通常の労働者との均衡等を考慮して、適正な労働条件の確保及び教育訓練の実施、福利厚生の充実その他の雇用管理の改善(以下「雇用管理の改善等」という。)を図るために必要な措置を講ずることにより、当該短時間労働者がその有する能力を有効に発揮することができるように努めるものとする」とし、具体的には、(労働条件に関する文書の交付)(就業規則の作成の手続)をさだめています。茨木市当局の2点の項目の実施状況について、お尋ねいたします。また茨木市では、公立保育所で同一人を長期にわたって事実上更新してきました。即ち「臨時的任用職員は身分保障がきわめて弱いため、長期にわたり不安定な状態のまま、これらの職員を任用しておくことは好ましくない」という地公法の趣旨に違反しているのは明白です。あらためて見解を求めます。

雇い止めの問題について、公立保育所民営化により、正式任用職員は何ら影響はないのに、臨時的任用職員のみが雇い止めの処分を受けるのは、憲法第14条第1項「すべて国民は法の下に平等であって、人種・信条・性別・社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」とのいわゆる「法の下の平等」に反すると考えられます。また大阪府下の各自治体でも民営化に当たって、臨時的任用職員の雇い止めを行っていないと聞いている。茨木市も絶対やるべきではない。あらためて最高責任者としての市長の見解を求めます。

少し戻りますが、臨時的任用職員の任用通知まだ10月1日付けでは何もないと言うことですけれども、これは直前になって、共産党の立場としては雇い止めはすべきではないという立場ですけれども、もし仮に雇い止めを強行するとして、次に任用の更新はしませんというお知らせ、これをもう直前になってすることになって、権利侵害という事を避けるためにも、今回の10月1日付け臨時職員任用通知の時に通知すべきではないかと考えますが、このことについて見解を求めます。以上です。


[津田総務部長]保育所の臨時職員の関係でご答弁申し上げます。まず、この勤務条件。この臨時的任用職員等の勤務条件につきましては、当然、勤務の形態、勤務時間また最低賃金等々勘案して、現在の勤務条件を明示しております。また福利厚生関係でも健康保険・厚生年金、社会保険制度についても新規採用時に説明会をし、その内容を明らかにしております。つぎに、10月1日に再度雇用契約を結ぶわけですが、雇い止めが発生する場合、その内容を明らかにするべきではないかとということでございますが、さきほどもご答弁申し上げましたように来年度の臨時職員の、またパート職員の必要数というのは平成19年度の措置児童数が決定以降という形になりますんで、10月1日の再雇用契約時には、このことがまだ確定しておりませんので、それを明らかにすることは事実上困難でございます。またこの雇い止めが法に違反するのではないかと言うことでございますが、労働基準法に基づいて適正な運営をしてまいります。以上でございます。


[畑中たけし]「労働条件に関する文書の交付」と「就業規則の作成の手続」その2点


[津田総務部長]今もさきほどご答弁申し上げましたように、採用時に必要な文書等につきましては説明をいたしております。


[畑中たけし]民間保育所の給食について、東京都中野区では民営化した保育園は当面の間、公立保育所と同じ献立の給食を実施するように委託法人に要請していますが、茨木市も同様にしてはどうかと考えます。見解を求めます。また同時にいっそのこと給食格差をなくすために茨木市内のすべての私立保育園の給食献立は茨木市が作成した公立保育所と同じメニューで統一してはどうかと考えます。見解を求めます。また主食費についての助成制度も東京都、狭山市、宇治市等にあります。茨木市でも検討を求めます。見解を求めます。


[奥原健康福祉部長]公立保育所と民営化する保育所についても同じ献立をと、また献立について統一してはどうかというご提案でございますが、民営化基本方針の中で移管予定保育所が実施している一定の保育内容を継続して実施していくことの中に給食についても含まれておりますので、そこの考えに基づいた対応をしていきたいと考えております。なお、主食費につきましては、さきほど申し上げましたように三者協議会の中で協議をするということになるわけでございますが、正式な話でありますが、民営化を引き受けることになる法人に主食費の取り扱いについてお伺いしますと、公立が一応1000円でやっているということなので、やはり引き受けるからにはそれを守っていかなければならないだろうなという感触をいただいております。正式な決定ではございません。そういう感触をいただいております。


[畑中たけし]民間保育園の耐震助成について。公立保育所の耐震一次診断の費用は延べ床面積や構造にもよりますが、だいたい一カ所50〜60万円という価格で計上されています。せめて耐震一次診断の2分の1助成を民間保育園にも早急に実施すべきではないかと考えますが、見解を再度求めます。


[奥原健康福祉部長]それから、私立保育園に対する耐震の補助の関係でございますが、現時点では補助金を制度化すると考え方はいまのところ持っておりません。


以上