[阿字地洋子] 12月定例市議会 一般会計補正予算質疑(2006.12.08)、意見書趣旨説明(2006.12.19)

子育て支援施策の拡充を求める請願項目について

◎障害者施策について

◎「いじめ」根絶に向けて抜本的取り組みを求める意見書案(日本共産党提出)


[一問目]
子育て支援施策の拡充を求める請願項目に関わって数点お尋ねいたします。

 まず、「認定子ども園制度による保育水準の低下はやめてください」との項目についてお尋ねします。この総合施設構想は、国において保育園や幼稚園の関係者の意見も十分聞かずに、両施設を一元化するという、あまりにも性急なやり方で大阪府でも10月に条例施行でスタートしたものです。「幼稚園と保育所に関する規制のどちらか緩い方の水準以下とすべき」「保育所のみに義務付けられている調理室の設置義務については規制の趣旨に照らして合理的でないことから、廃止すべきである」という方針が明確化され、実施に移された制度であります。この構想はこどもにかかわる公的責任を曖昧にして、財政支出を減らすことが目的であることは明らかです。 茨木市においては、9月議会で議論され、「9月委員会質疑で公明党議員の『市長のトップダウンでやれ』に対し、市長答弁は『幼保一元化の取り組みにつきましては、もう既に、教育長並びに健康福祉部長のほうに、来年から実施できるくらいの気持ちでそれぞれ調整を進めてほしいということで、指示をいたしております。』」等の議論もなされたこともあり、市民関係者の不安が広がっています。
保育所・幼稚園における現行水準の引き下げ、入園や運営費・保育料の仕組みの変更、保育内容の再編などをともなう大きな制度「改革」であるにもかかわらず、現場における十分な検討のないまま、スタートされるようなことがあってはならないと考えます。課題、疑問点、保護者、保育園・幼稚園関係者とで議論を展開していくべきであり、進め方においても、目的においても問題があると考えますが市長の見解を求めます。

 次に「放課後こどもプラン」(仮称)について、請願では「学童保育(留守家庭児童健全育成事業)と放課後子ども教室推進事業は一体化せず、それぞれ拡充、発展させて下さい。」との項目についてお尋ねします。国は「各市町村において、教育委員会が主導して、福祉部局との連携の下に、「地域子ども教育推進事業」(文部科学省)と「放課後児童健全育成事業」(厚生労働省)を一体的あるいは連携して実施する「放課後子どもプラン」(仮称)を創設する。」ということで来年度に策定が求められています。
 本市の「プラン」策定にむけての運営委員会の設置をはじめ取り組み状況と課題についておたずねします。これまでの「地域子ども教室推進事業」と今回のプランで新設された来年度から新たに始める「放課後こども教室推進事業」との関連性・内容の差異ついてもお尋ねします。
 問題は「地域子ども教育推進事業」(文部科学省)と「放課後児童健全育成事業」(厚生労働省)、について国は両事業の補助金を二つに分けて都道府県に交付しますが、都道府県においては徐々に補助金の一本化を行い、市町村では交付された補助金を使う段階で、「一体的あるいは連携して」事業実施となることで、本市の学童保育が後退・廃止になるのではと大変危惧されています。学童保育および放課後子ども教室は、それぞれ個別の目的があり、それぞれ独自に充実・発展させることが必要であると考えますが、この点についてどのように考えておられるのか、答弁を求めます。
 次に学童保育の充実についてであります。とりわけ学童保育の条例化などが急がれます。そして大型過密教室の現状と解消策について答弁を求めます。
 また生活の場としてふさわしく、施設の改善・とりわけ夏場40度を超える灼熱の教室に大型クーラーの設置など、直ちに全面解決をするための予算措置を講ずるべきと考えます。市長の見解を求めます。

 次に一時保育についてです。保護者の急病や出産・介護、また家庭で子育てしている保護者の育児疲れの緩和させるため、一時保育が可能な施設の拡充、人員整備が必要です。また公的責任において、生活実態にあった病児・病後児保育、夜間、休日保育施策の充実が求められています。とりわけ公立保育所がそれらの役割を積極的に担えるようにしていくことが求められていると考えますが、答弁を求めます。

 次に障害者施策についてです。10月から本格実施されまして、このままでいいのか「障害者自立支援法」出直しをという声が全国で広まっています。とくに今低所得者に深刻な状況が出ていることが指摘されております。利用料減免等自治体間格差も大きいと言うことです。質問項目にあります各項目(について、切実な声に答える施策を考えておられるかどうかおたずねします。特にあけぼの学園の利用者負担軽減策について、9月議会に求めておりましたが、その結果はどうでしょうか。所得階層別にどうなったのかお尋ねします。
10月からの負担が低所得者に大変な負担となっていますが、低所得者に対する軽減についてお考えがないのかお尋ねします。

 

[野村市長]
 認定子ども園制度は、急速な少子化の進展並びに家庭及び地域を取り巻く環境の変化に伴い、小学校就学前の子どもの教育及び保育に対するニーズが多様なものとなっていることから、幼稚園や保育所における就学前の子どもにたいする教育及び保育並びに保護者に対する子育て支援の総合的な提供を推進するため創設されたものである。

なお、制度の実施にあたり、職員配置や施設整備基準が弾力化されたことで、教育・保育の水準が低下するとの懸念については、国が示している基準に基づき都道府県が条例で定める認定基準において、教育・保育の質の確保は担保されているものと考えている。

本市の制度導入については、これまで答弁しておるように、幼保一元化の取り組みを進めており、今後、国・府の動向及び他市の取り組み状況も踏まえ、今後慎重に進めていきたいと考えている。

 次にエヤコンの設置についてであるが、留守家庭児童会の教室は学校の施設である。現段階では、各教室にクーラーは設置されていないので、留守家庭児童会の教室にもクーラーの設置は考えていない。なお、プレハブの教室によって運営されている教室については、教室の状況を踏まえて、大型エアコン等設置している。

[竹林生涯学習部長]
 「放課後子どもプラン」は、地域社会の中で、放課後に子どもたちの安全で健やかな居場所づくりを推進するため、全小学校区の1年生から6年生の全児童を対象にした「放課後子ども教室推進事業」と、共働きなど留守家庭のおおむね10歳未満の児童を対象とした「放課後児童健全育成事業」を一体的あるいは連携しながら実施する総合的な放課後対策事業である。(これまで実施してきた「地域子ども推進事業」から「放課後児童健全育成事業」と名称を変えての事業である。)
今後設置を検討している放課後対策事業の運営委員会において、両事業のあり方について、検討していく考えである。

また、補助金の関係であるが、文部科学省、厚生労働省のそれぞれから出される補助金は、都道府県で補助金の一本化を行い市町村に交付となっておるところであるが、方法の詳細が示されていない。示された時点で検討していきたいと考えている。

 次に条例の制定については、現在、留守家庭児童会開設要綱で支障なく運営できていることから、考えていない。

 次に教室運営のことであるが、指導員の配置基準等は、平成17年度に見直しを行ったところであり、全ての教室に正規指導員を複数配置することについては、現下の厳しい社会経済状況のもと困難である。

[奥原健康福祉部長]
民営化に伴う保育内容と保育条件への影響について

保育所の民営化は、民営化基本方針で現行の市立保育所の保育を引き継ぐことを前提条件とし、移管先法人に対しても、保育所民営化移管法人募集要領で、そのことを条件付けている。予算措置が必要な項目としては、「合同保育」のために社会福祉法人から各保育所に派遣される保育士6人の3か月間の人件費について、負担金を支払っていきたいと考えているが、その他の引き継ぎ事項については、基本的には現状の私立保育園運営補助金の中で対応していただきたく考えている。
また、現在、三島・中条保育所において、それぞれ三者協議会で種々協議されているが、特に保護者からは、・保育所運営について・保育内容について・引き継ぎ保育について・職員配置について等を議題として協議されている。

一時保育事業等の充実について

一時保育については、スペースの確保や保育士の配置など一定の条件下であるが、現在、私立保育園15園で実施している。また病後児保育についても、私立保育園の協力を得て、現在2園で実施されている。市としては、一時保育と病後児保育に補助金を助成し、その充実に努めている。なお、病児保育、夜間保育、休日保育については、実施していないが、私立保育園の協力が得られるよう働きかけていく。(参考)病後児保育実施状況(こどもの園敬愛保育園・おとのは学園)登録者数 140人、利用者数 8人、平均利用日数 1.3日。

サービス利用者負担軽減について

障害者自立支援法は、利用者も社会の構成員の一員として応分の費用を負担し、制度を皆で支え合うことが主旨となっている。福祉サービスの利用者負担については、上限額を設定するとともに、所得の低い方にはより低い上限額を設定するなど安全装置を設けた上で、原則1割の定率負担をしてもらうことになっている。本市としては、国が利用者負担の軽減措置等を講じているので現時点では市独自の軽減策を設ける考えはない。

あけぼの学園の利用者負担について

あけぼの学園については、児童福祉法の改正により、本年10月から、「措置制度」から「利用契約制度」に変わっている。「措置制度」では、利用料は、保護者の所得状況に応じて、月額負担額が定められていたが、新制度では、利用料として、利用日数に応じ、国の定める給付費の10%を、特定費用として市が定める食費を、保護者は併せて負担してもらうことになっている。
利用料については、本市独自で軽減することまでは考えていないが、本市が設定する特定費用である食費については、保護者負担の軽減を図るため、人件費を除いた上で食材費の実費よりさらに低い額となるよう、1食あたり市民税2万円以上の世帯は230円、市民税2万円未満の世帯、185円、市民税非課税世帯、70円、生活保護世帯、0円と定めている。



[2問目]
 あけぼの学園で、非課税世帯(3人)で、これまで(の措置費の下で)、利用料1,100円であったものが、新制度では、先ほどの答弁で合った食費の軽減策をした上で、8,760円(利用料7,500円と食費1,260円)となります。所得割のない世帯でも、これまで2,200円であったものが、18,676円(15,346円と3,330円)になるという大変な負担増となっています。障害児のおられるご家庭では、深刻な状況となっています。障害者の問題については委員会もありますので、私の手元には本当に切実な訴えが寄せられておりますが、時間の関係で紹介できませんが、また委員会で議論させていただきます。
それから学童保育と今度の新しい放課後子育てプランの関係ですが、これも時間の関係がありまして、十分な議論を申し上げられませんが、やはり全児童対策的な、そこの通って来る子どもだけを安全にみたらいいと言うような対策では、学童保育これまでの関係者の努力、また市が独自に進めてきた事業の意義もなくなります。条例化する必要があるというのはこうしたこれまでの学童保育の果たしてきた役割を確固たるものとするためにも、本市の子育ての施策の基本的な事業として位置づけるためにも重要だと言うことを申し上げて終わりたいと思います。


※12月議会に党市会議員団が提出した意見書(案)です。自民保守系・公明・民主などの議員の反対により不採択となりました。

「いじめ」根絶に向けて取り組みの抜本的強化を求める意見書(案)

 北海道、埼玉県、福岡県など全国各地で「いじめ」を苦に自殺に追い込まれる痛ましい事件が相次ぐ中、大阪府でも富田林市の中学生が「いじめ」のため自殺する事件が起きた。子どもたちが、かけがえのない生命を自らの手で断つという最悪の事態が進行している。
 大阪府のいじめ発生件数は、平成13年から毎年増加傾向にあり、茨木市においても平成16年の20件(小・中学校合計)から平成17年の43件と2倍以上の発生件数となっている。
 今日の「いじめ」は、特別な子どもの問題ではなく、その背景には大きな社会的病理があり、単に個々の子どもや親、教師の問題だけに解消することはできない。
 大阪府は「知事と教育委員長メッセージ」と「教育長メッセージ」を、政府においては「文部科学大臣からのお願い」が発表されているところであるが、抜本的な取り組みは見えてこない。
 よって、本市議会は、政府及び各関係機関に対し、「いじめ」根絶のための具体的支援策として、下記の取り組みを進めるよう強く要望する。

1.すべての学校と教育機関にいつでも安心して相談できる窓口を開設すること。

2.多くの子どもの「かけこみ寺」的存在となっている学校の保健室の施設・設備の拡充整備、養護教諭の複数配置を行うこと。

3.30学級以上の小学校に大規模校加配を行い、専属の生活指導と進路指導の教員をすべての中学校に配置すること。

4.早期に小学校3年生と中学校1年生を35人学級にすること。

5.競争をあおっている高校の「学区拡大」や「多様化」を再検討すること。

 以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。

 平成18年12月19日

大阪府茨木市議会