[朝田 充] 6月定例市議会 一般質問 - 2007.06.08

◎市民会館建て替え構想について


1、市民会館建替え構想について

@市民会館の建替え、文化施設建設の経緯について

 今回は、市民会館の建替え構想についてお尋ねいたします。私たち日本共産党は、いわゆる「箱物」については豪華一点主義ではなく地域密着型でと主張してきました。また、時代の流れとしても今ある施設を本当に有効活用していく、長くもたせるという考え方になってきていると考えます。さらに財政的にも、政策の優先順位からみても、市民会館の建替えは財政的影響は大きく、福祉、教育、暮らしの予算にしわ寄せが来る可能性が極めて高い状況です。こういうもとでは認められない、施設の老朽化や耐震性については改修・補強で対応すべきと主張するものですが、まず最初に見解をお伺いします。さらに、私がこの市民会館の建替え、文化施設建設の問題について認識したのは平成16年から17年かけての本市の第四次総合計画策定のときの議論が最初ですが、再認識の意味でこれまでの経緯について答弁を求めます。また、本件は、とにかく「建替え」の結論ありきという印象を受けます、そもそも改修・補強か建替えかという問題であらゆる角度からの検証はなされたのか、なされたというならばいつ、どういう形でされたのか、答弁を求めます。

(今村市民生活部長)
 市民会館は、昭和44年6月の建設以来、38年が経過している。この間、文化活動に対するニーズも多様化、高度化し、新たな文化施設の建設が望まれている。また、経年劣化により維持管理費が年々増加し、耐震補強についても立地条件、施工上の問題から非常に難しい状況にあるので改修や補強は困難であると判断している。

 平成15年度に耐震診断を実施したが、構造耐震判定指標は低い数値となっている。補強計画についても検討されたが、先ほど申したように、立地条件、施工上の問題、並びに補強を実施した場合、新たな耐震壁の設置や閉鎖されるスペースが生じることから、使用用途の大幅な変更を余儀なくされるばかりでなく、多額の費用が必要となり、また、長時間、全面的に休館となることから、庁内の検討委員会において、現在の場所での建替えを一つの方向として「基本構想」の策定に取りかかったところである。

 

A基本構想の策定について

 次に、基本構想の策定についてお尋ねいたします。今年度、市民会館建替え構想の策定として、2億6百万円、予算化されましたがその内容についてお尋ねいたします。さらに市民会館建替えに向けた基本構想を策定するということになっているわけですが、策定のための組織についての考え、また、「これから策定していくんです」といっても市としての基本の基本、基本構想の前提、前段での考え方、例えば建替えという場合、一般的には現市民会館、現施設を取り壊してその場所に建てるというのが一般的な受け止めでありますが、市としての考え方はそういうことなのか、それとも新たな場所にということも含めて、とにかくいっさいがっさい白紙から考えるということなのか、今回の基本構想の策定はどういう考え方のもとですすめようとしているのか、答弁を求めます。そして、現在までの進捗状況、今後のスケジュールについても答弁を求めます。

(今村市民生活部長)
市民会館の建替えに備え、今年度、文化施設建設基金に2億円の積立てを計上し、基本構想策定の委託料として600万円計上したものである。

(松本企画財政部長)
 基本構想策定の進捗状況とスケジュールについては、庁内検討委員会で検討しているが、一定の方向性がでた段階で、専門的機関での検討、さらには、市民の皆さんのご意見等をお聞きしながら、構想の策定に向けて、計画的に取り組んでいく。

 

B基金の状況について

 次に、基金の状況についてお尋ねいたします。市民会館建替え・文化施設建設という「大型箱物事業」の場合、当然、基金の積立て、活用という問題が生じます。現在、様々な基金があるわけですが、市民会館建替えの目的で積立てている「文化施設建設基金」の平成17年度、18年度、19年度の積立て額と現在高について答弁を求めます。また、施設建設目的で積立てている基金にはどういうものがあるのか、その現在高についても答弁を求めます。

(松本企画財政部長)
 文化施設建設基金の積立額及び現在高については、

 平成17年度の積立額は、21万円、年度末現在高は、4億1365万円
 平成18円度の積立額は、45万円、年度末現在高は、4億1410万円
 平成19年度は見込みであるが、積立額は、2億円、年度末現在高は、6億1410万円

となっている。

 施設建設を目的として積立を行っている基金とその18年度末の現在高については、

 ・庁舎建設基金が、     3億1400万円
 ・衛生処理施設等整備基金が、8億5700万円
 ・公共施設整備基金が、     8700万円
 ・社会教育施設整備基金が、 18億8400万円

となっている。

 

CPFIについて

 次に市が建替え・文化施設建設の手法として「選択肢のひとつ」としているPFIの問題についてお尋ねいたします。私たちはPFIという手法そのものが大変な問題を抱えていると考えます。PFIについては以前、この問題に関して質問したときに当時の市民生活部長は「非常に厳しい財政状況のもとにありますんで、いわゆるPFIの手法も視野に入れて、十分時間をかけて慎重に検討する」とし、PFIのメリットとして「コストの削減、低廉な、良質な公共サービスの提供が期待できる」「民間企業の参入というのは、新たな事業機会の創出ということもございまして、経済の活性化につながるということでございます」と答弁しています。そこでこれらのメリット論についてお尋ねしておきたいと思います。

まず、厳しい財政状況のもとでのPFIのいわゆる「財政的メリット」であります。この点で一番よくいわれているのがPFIは、民間が資金を調達するため事業当初の当面の借金が必要ない、ということです。通常、こうした大きな公共事業を行う場合、自治体の支出は一時的に集中します。現状では、借金、起債というかたちでまかないますが、借金が膨らめば自治体の財政悪化ということになります。PFIを導入するとこの支出が20年、30年に平準化され、しかも帳簿上の借金が増えません。しかし、財政上トータルでみれば短期か長期かというだけの違いで市民にとっては利子の高い民間の資金を使うことや長期間の負担が固定化されてしまうなど、大変な重荷をしょわせる、そのことが福祉、教育、暮らしの予算を圧迫する危険性が大きいと指摘するものですが見解をお尋ねいたします。

「コストの削減、低廉、良質な公共サービスが提供できる」「民間企業の新たな事業機会の創出」ということに関してもお尋ねします。PFIは、政府の推進の掛け声とは裏腹に全体としては低調であるということがいえます。民間企業にゆだねる、民間企業の参入といってもそもそも公共性の高い事業は収益性が低く、事業者が参入する「うまみ」がないといえます。そこで近年、この「うまみ」を引き出す方向でいわば「何でもあり」の方向に流れている傾向に私は大いに警鐘を乱打したいのであります。増えているのが公共施設に民間の収益事業があわせて、抱き合わせで計画されるケースで、こうしたことでどんどん建設費も膨れ上がり2倍、3倍になったという例もあります。「民間イコール安い」というのは幻想にすぎないと指摘するものですがこの点も見解を求めます。また、本件についてもそのような収益事業や複合施設も考えているのか答弁を求めます。

さらに、PFI方式は資金調達、契約から運営まで一体で発注されることから中小企業が参入できない仕組みであり、こういうことが導入、拡大すれば地元中小企業の仕事を奪う、中小企業排除の手法であることも合わせて指摘するものですが、この点も見解を求めます。

(松本企画財政部長)
 PFIについては、以前の部長答弁への反論として、「予算を圧迫する危険性」、「民間=安い」、「収益事業や複合施設」、「中小企業排除」などの質問をもらったが、いずれにせよPFIを導入するに当たっては、「市民サービスの向上」、「運営経費の削減」、「今後の財政運営」などを十分に検討して上で進めるべきであると考えている。そして、従来から言っているように、今後の施設建設・運営の方法の一つとして、PFIは有効な手段であると考えに変わりはない。

 

D民間活力の導入に関する指針の策定について

 最後に、民間活力の導入に関する指針の策定についてお尋ねいたします。業務委託、PFI、指定管理者等の各手法を適用するにあたっての実務マニュアルを策定するとのことですが、これは、今回、市民会館の建替え・文化施設建設にPFI導入も検討するということもあって、こうしたマニュアルづくりもしないといけないということで出てきた問題ではないかと私は考えるわけですが、その事業費、どういう考え方のもとで進められようとしているのか、進捗状況とスケジュールについて答弁を求めます。

(松本企画財政部長)
 今回の民間活力の導入に関する指針の策定やスケジュールについては、全ての事務事業を対象として策定するものであり、市民会館へのPFI導入のためではない。また、本年6月にアウトソーシングプロジェクトチームを設置したところである。今後、民間活力を導入することについての課題や対応について、民間機関のノウハウも活用しながら研究・検討を行い、策定していきたいと考えている。

 

(2問目)今のご答弁では平成15年度に耐震診断をやられて、「低い数値」ということですけども、数値をはっきりお答え下さい。これは1次診断の結果ですか、2次診断までやられた結果ですか、答弁をもとめます。ご承知のように構造耐震判定指標は一次診断0.8、二次診断0.6の数値です。これらを踏まえ耐震性については再度答弁を求めます。

(今村市民生活部長)
 耐震診断だが、構造耐震判定指標の目標値はIs0.75。その数値に対して1階から5階は0.18から0.63となっていた。これは2次診断と一部、3次診断が含まれたものである。