日本共産党茨木市会議員団が野村宣一市長に
2008年度予算編成と施策について要望書を提出

切実な市民の声を予算編成に反映を

 11月28日、党市会議員団は野村市長に、新年度の予算編成と施策についての要望書を提出しました。内容は国保、介護、障害者、保育など福祉や暮らしに関連する諸要求をはじめ、ムダや浪費をなくすこと、商工業・農業の振興、教育予算の増額、生活密着型の街づくり予算の充実など68項目にわたっています。こうした市民要求実現と「市政の改革」のため、全力を尽くす決意を新たにしています。

 事前におこなわれました要望懇談会等にご参加くださった各市民、団体関係者の皆さんにお礼申し上げます

 申し入れの全文は下記の通りです。

2007年11月28日

2007年度茨木市予算編成と施策に対する要望書

茨木市長 野村宣一殿

日本共産党茨木市会議員団 
朝田  充   
阿字地 洋子  
岡崎  栄一郎 
畑中  剛   

(重 点 事 項)

一、暮らし・福祉・医療の充実を最優先する

@一般会計からの繰り入れの増額と医療費の適切な見積もりにより、国民健康保険料はひきつづいて引き下げを行うとともに、増税に伴う軽減制度の創設、減免の拡充をすすめる。国民皆保険制度の趣旨に立って、命をおびやかす現行の保険料滞納者への資格証明書や短期保険証の発行・運用基準を見直す。未成年者への資格証明書発行は直ちに中止し、無条件で保険証を発行する。また不公平を生じさせ、効果の期待できない差し押さえ等の措置を中止する。国保会計への国庫負担金の増額を国に求める。

A高齢者に負担増と差別医療を強いる後期高齢者医療制度は、部分的な凍結ではなく、中止・撤回を国に求める。

B上水道や下水道使用料をはじめ生活に関連するすべての使用料・手数料等の引き上げを見送る。上水道料金体系の逓増制は堅持し、生活用水料金を軽減する。

C介護保険制度への食事・居住費(ホテルコスト)の全額自己負担、ヘルパーや福祉用具の取り上げ撤回と制度充実を国に求めるとともに、繰越金と積立金を活用して、市独自の負担緩和策や低所得者に対する利用料と保険料の軽減を進める。基盤施設の計画的整備、介護サービスの拡充、地域包括支援センターの増設と機能の拡充、住民参加・情報公開の徹底などについて積極的に取り組む。介護福祉従事職員の労働条件改善のため、介護報酬見直しを国に求める。

D在宅高齢者等介護見舞金と高齢者世帯家賃助成制度の受給資格の緩和と支給額の引き上げを進める。この間廃止された敬老祝金70歳支給を復活する。

E国と府に対し、子ども医療費無料制度の創設と充実を求めるとともに、市独自でも中学校就学前児童までの対象年齢の段階的引き上げ、所得制限の撤廃など、子育て世帯の負担の軽減に積極的に取り組む。

F公立保育所民営化計画の実施を中止するとともに、引き続いて民営化する保育園はもちろん既存の民間保育園、家庭保育に対して、職員の給与水準の引き上げ、保育内容の向上に資するよう補助金の増額と補助制度の改善を進める。民間保育園の運営に係わる府監査改善項目については、連携して改善に努める。保育料毎年引き上げの中止、第三子無料化など多子減免の充実、介護世帯の保育料減免制度の創設をはじめ、「茨木市児童育成計画」「次世代育成支援行動計画」をひきつづいて充実する。待機児童解消のため保育所の増設、低年齢児の定数増、延長保育と緊急保育の拡充、休日保育、非定型保育の実施、病後児保育の増設、子育て支援センター事業の拡大、幼児虐待防止のための子育て相談・支援体制の整備充実など保育行政と実効ある子育て支援策に積極的に取り組む。認定こども園の導入については、保育水準の低下を招かないよう対応する。

G市内のすべての民間福祉施設運営や施策改善について、関係者の意見を反映するため、国の指針に基づき第3者組織を設置するよう働きかける。

H国の三位一体の改革や年金制度、雇用保険制度、医療保険制度、生活保護制度の改悪や大阪府の相次ぐ支出金削減に反対するとともに、とくに生活保護制度の運用に当たっては法の趣旨を尊重し、申請は必ず受理する。また総枠管理方式でカットした暮らし・福祉分野の補助費等を復活する。

I障害者施策の介護保険制度編入に反対するとともに、障害者自立支援法の「応益負担」や改悪された施設運営補助基準の撤回を国に強く求める。また、「応益負担」に対する市独自の減免制度の充実、障害者生活施設の建設促進など障害者の生活の場の確保、障害者自立支援法改定で大きく影響を受け存続の危機に立たされている既存民間施設への助成予算の増額、ケアホーム、グループホームへの建設補助の創設と運営補助の充実、ショートステイの充実など引き続いて障害者(児)施策推進に積極的に取り組むとともに、無認可障害者施設の切り捨てにならないよう十分配慮する。さらにこの間廃止された障害者補装具等の給付一部負担金と障害者手帳申請に関わる補助を復活する。また障害者医療助成制度の対象の拡大や一部負担金減免の拡大、障害者控除認定基準の緩和を進める。

J小児救急をはじめとする一次、二次の体制強化、不足科目医師の確保のため、国・府に働きかけるとともに、そのため市独自ででも民間医療機関助成予算の新設と増額を進める。三島地域の小児救急施設は茨木市に誘致するよう努力をすすめる。

K保健医療センターで実施する各種健診については、受診率向上のため、隔年実施に後退した検診の毎年実施を復活する。また葉書通知の徹底や民間医療機関で受診可能なものについては、委託するよう協議・検討する。乳がん検診について、対象外となっている30歳から39歳に対して市の所有するエコー検査機の再活用や市内医療機関の協力も得て、市独自の検診助成制度を創設する。妊婦健診の公費負担回数について、望ましいとされる14回以上に拡大していく。特定健診の導入により市民健診の後退をまねかないよう措置する。

Lアスベスト対策として、国・府に抜本的な対策を求めるとともに、市公共施設での調査結果に基づき除去の徹底および、建物解体時の飛散防止策の徹底を図る。民間施設や住宅の検査や改修費用の助成制度の創設を国・府に働きかける。

二、むだや浪費にメスを入れて、開かれた住民参加の行政を進める

@5年間(平成17年度〜21年度)で49億円もの市民犠牲を強いる「茨木市行財政改革推進プラン(=集中改革プラン)」は撤回・見直しをすすめる。

A国際文化公園都市計画は西部地区のみにとどめ、中部地区、東部地区の計画の縮小・中止を進めるため、関係機関と協議を行う。

・開発区域内西部地区及びモノレール彩都線沿線のコミセンや図書館、さらなる駐輪場の拡張などの公益施設建設は必要度・緊急度を精査の上、最小限にとどめる。

・河川改修、都市計画道路山麓線など国文関連事業はただちに凍結するとともに、区域内公共下水道の市財政負担の見直しをすすめる。

・開発区域内の準工業地域などの用途地域の見直しについては、地域住民の住環境保全と住工混在による環境悪化を未然防止する立場から中止を求める。また、研究施設誘致予定地区における民間マンション建設計画は認めない。

・国際文化公園都市株式会社については、出資者の立場から、早期の所有地売却と早期解散を求めると共に、市長の取締役の辞任を行う。

・開発区域内の独立行政法人研究施設の廃止・統合については、市の公共公益施設の投資がむだにならないよう対応する。種々のバイオ施設立地による環境対策は、科学的な知見の下に、情報公開や立ち入り調査の実施など万全を期する。

B自然環境と府・市財政に多大な影響を与える安威川ダム計画を含む神崎川水系河川整備計画は凍結すると共に、ダム本体工事の着工は無期限延期する。また、その間、茨木市のダム関連事業は行わない。

C住環境、自然環境の破壊、さらに名神高速道路の拡幅、大山崎インターチェンジの完成、今後の人口動向から見ても必要性に乏しい第二名神高速道路計画は中止するよう関係機関に働きかける。

D同和施設の継続、人権センターへの事業委託と補助金支出、職員の加配、施設の「解同」の独占的使用、同和研修や行事への職員参加、人事配置の停滞など「人権行政」の名の下に、同和行政の永続化を図るすべての措置を中止する。そのための第3者参加による全般的検討機関を設置する。

E年度末の黒字圧縮のための駆け込み道路用地買収を中止すると共に、公共事業は道路建設中心から学校・保育所・老人・障害者施設などの計画的建設と改修、耐震化促進、駅前整備など商業振興、歩道整備、生活道路の維持補修などバリアフリー、生活密着型に重点を移す。特に道路事業、区画整理事業など土木関係予算はその必要性と緊急性について精査し、見直しを進めるとともに、政策評価制度を導入する。

F情報公開制度の運用の抜本的改善、NPOの育成、パブリックコメントの積極的運用、オンブズパーソン制度、住民投票制度の導入など住民参加と情報公開に積極的に取り組む。

Gあらゆる場における、日の丸、君が代、市民憲章の強制は即刻止める。

H公的な行政分野を堅持し、再任用制度による臨時職員の雇用のしわ寄せや制度の不均衡を是正する。

I公立保育所の民営化による臨時職員保育士等の「雇い止め」は実施せず、希望者全員の雇用継続をすすめるとともに、公立保育所臨時職員をはじめ、すべての臨時職員の不安定な雇用条件を改善する措置を講じる。導入が計画されている「任期付短時間勤務職員制度」については関係職員と関係職員組合との合意を前提とする。

J採用、昇格など人事行政の情報公開を一層拡大する。

K指定管理者制度導入については、公共性や労働法規遵守を担保する独自の対策を取るとともに、現在直営の施設については安易に指定管理者制度を導入することなく直営を堅持する。

L市民サービス低下につながる人件費削減はやめ、総務費、議会費をはじめとする庁内経常経費削減につとめる。

M引き続いて特別職の給与と退職金の削減に取り組む。

N議員の報酬削減、政務調査費使途見直しなどに取り組む。

O事業委託については予算編成時期の繰り上げ、適格性の厳正な審査により、特命を含む随意契約を見直し、一般及び指名競争入札契約に改善を図る。その場合、公正労働基準、環境、福祉、男女平等参画等の施策推進のため総合評価方式の導入とそれを具現化する公契約条例を制定する。

P市民の貴重な財産をその効果が不明確なまま、民営化する私立保育園に土地の無償貸与、建物・備品の無償譲渡する方式の見直しを行う。

Q市民に将来の財政負担を課すPFI方式等による市民会館等の大型公共施設の建設は行わない。

三、不況対策と商工業・農業の振興を市政の重要課題に位置づける

@「商工業振興対策本部」を設置する。

A商店・事業所全実態調査の実施と「商工業振興街づくり条例」を制定し、商工予算の大幅増額を進める。

Bこの間、一部補助に後退した融資保証料補助の全額補助復活を国に求めるとともに、市独自ででも全額補助の実現等、不況の下で融資制度の改善を進めるとともに、仕事や雇用についての若者と高齢者を含む相談窓口の常設を進める。

C里山整備、道路・公園・河川など公共施設清掃、学校園での常駐警備員の配置など仕事と雇用創出のため、市独自で引き続いて努力をすすめる。

D産業活性化緊急事業として、民間住宅等改修(市内業者発注)一部助成制度や小規模工事等契約希望者登録制度を創設し、需要の拡大に取り組む。事務所ビル・小売店舗改築(改装)補助制度や創業促進事業補助制度の対象拡大、要件緩和を図る。
E国の農地法改悪、株式会社の農地取得、耕作者主義放棄の動きに反対し、後継者対策や遊休地対策、鳥獣被害対策など近郊農業振興策を具体化する。

四、引き続いて教育、文化、スポーツの振興と女性施策の充実を積極的にすすめる

@30人学級の早期実現を国・府に求めるとともに、市独自でも、少人数学級への取り組みの強化、スクールカウンセラーの小学校全校配置・中学校全学年配置などいじめ・不登校の一掃、体罰の根絶、児童虐待防止体制の整備などをすすめるための対策を引き続いて重視する。

A安全確保においては、引き続き、校門受付員の確保を図るとともに、専門の警備員配置を進める。O157対策等の衛生面向上においては、週に1回程度は専門業者によるトイレ等の洗浄・消毒を実施する。

B学校図書室への専任司書の配置を進める。

C特別支援教育については、人員配置のための予算措置を府に求めるとともに、市独自ででも人員配置を進める。

D老朽化が進む学校・園の改修事業の促進と中学校の屋内運動場の拡充、小学校の多目的室の設置、すべての教室にクーラー設置など義務教育施設の充実を進める。

E小学校給食の民間委託計画を直ちに撤回・中止し、自校直営調理方式を堅持し地場産米と野菜の利用促進、米飯給食の回数増を図る。また「学校給食」の名に値しない選択的弁当斡旋方式の導入による中学校給食については再検討するとともに、小・中学校の学校給食充実のため、教育関係者、保護者、市民の意見を反映した学校給食事業改善計画を策定する。

F「学童保育」と「放課後子ども教室」を「一体化」し、学童保育の廃止・民営化を進める、「茨木市放課後子どもプラン(案)」は撤回し、現行の学童保育事業を堅持するとともに、指導員の就労の保障・雇用・労働条件の改善をすすめ、過密教室の複数教室化、正規指導員の複数配置、保育時間の延長と休会期間の短縮、クーラーの設置など施設の充実を引き続いて進める。放課後子ども教室については学童保育との一体化は行わず、安心して子どもを託せる体制の整備を進める。指導員の非常勤嘱託雇用見直しを中止すると共に、臨時職員については雇用関係改善に努める。

G全児童を対象にした「放課後子ども教室」は、関係者の合意協力の下に、保護者の期待に応える体制確保のための施策と予算を充実する。

H公民館の改修促進、図書館、スポーツ施設の整備のため引き続いて取り組む。

I男女共同参画型社会の前進のため、計画の早期具体化と条例化に向けて、積極的に取り組む。

J教職員の評価・育成システムの撤回を府教委に求める。

K国の責任による就学援助制度の堅持・拡充を求めるとともに、市独自の所得基準や支給方法を少なくとも2005年度ベースを基準とする制度に戻し、さらに充実に努める。

L府立高校の統廃合と総合選択制採用を中止するよう府教委に働きかける。

M保育基準の低下を招くおそれのある幼保一元化の導入は慎重に検討し、待機児童の解消は公立・私立保育所の増設で対応する。

五、自然豊かな、安全で便利な街づくりを進める

@集中豪雨による浸水根絶のため、道路脇の雨水排水口の増設、排水能力の向上をすすめる。豪雨時に一時的に雨水を貯めるため、校庭や公園の周囲に堰を設けるなどその対策に取り組む。自宅周りの排水口がつまらないように掃除することや土嚢の用意など住民にも協力を呼びかける。下水道と水路改修計画の見直しに早急に取り組むとともに雨水浸透・貯留施設設置をさらに促進するため具体的方策を検討する。

Aバス路線網を再編整備し、コミュニティ(小型)バスの運行を研究する。高齢者私鉄バス運賃助成、乗り合いタクシーへの助成などを検討する。

Bバリアフリー化などJR駅前歩行者安全対策の推進、JR駅前歩道橋については当面、破損箇所の修復、汚損箇所の清掃をすすめ、早急に耐震改修工事の実施、床面の材質の改良や塗装の全面塗り替え等抜本的対策を行う。

C近鉄バス運行が廃止された三島丘地域などへの代替措置の実施、総持寺駅前周辺整備や東芝工場跡地整備については、住民の願う町づくりを進める。また、中城、奥の院など鉄道踏切の抜本的な交通渋滞解消と歩行者安全のため、JRや阪急など事業者に対策を求める。

D企業撤退跡地などの新たなマンション建設計画については学校施設など公共施設の過密や周辺の交通渋滞問題が生じないよう、関係機関との協議を進め対策を図る。
E事業者による通勤・通学バスの費用負担等のバスターミナルの適正な運用、駅前違法乗降バスの取締りを強化し、駅前の交通渋滞解消を進める。

F道路建設中心の建設事業から地域の浸水対策、公園緑地の整備、公共施設の耐震化、交通安全、環境、商業振興など身近な生活関連建設事業に転換を図る。

G安威川の堆積土砂浚渫工事、遅れている茨木川・勝尾寺川の河川改修が早期に実施されるよう、大阪府に働きかける。

H安威川地区土地区画整理事業は中止することをはじめ、現下の経済状況の下、新たな土地区画整理事業については慎重にすすめる。

Iマンション等集合住宅の上水道各戸メーターの取り替え費用負担については、一般住戸並に改善する。

Jマンション等集合住宅の耐震性を高めるため、耐震調査実施の促進と改修のための市独自の助成制度を検討する。

K歩道の歩行者安全を確保するため、一定の車道幅員のある国道や府道への自転車専用道路の設置計画の立案と国・府への要望、改正道路交通法に即した市道における歩道・路側帯の自転車安全走行を呼びかける看板の設置、市民に対する交通マナー遵守教育実施などの具体的な対策を進める。

L道路整備に伴う通り抜け車両の激増と速度を規制するため、速度抑制舗装やイメージハンプ採用を検討する。

M建築基準法改正の趣旨を踏まえ、市内建築物の耐震性能を確保するため、民間機関からの建築確認報告をチェックできるよう市の建築主事などの体制を強化する。また民間の指定検査機関が建築確認を行う場合、自治体は簡単な報告を受けるだけという現行建築基準法の改善を国に求める。

Nエレベータ定期点検・検査体制の充実について、設置者の市への定期報告については昇降機の安全性を確認できる実効性のある内容にするため、報告事項の改善を行うとともに、市においても審査体制を強化し、実態把握をより厳密にすすめる。

O超高層マンション建設計画による周辺住民との紛争の多発を防止するため、高さ制限規制や地区計画制度の導入を進める。

P茨木市都市計画マスタープランの運用・具体化にあたっては、プラン策定の効果がしっかり図れるよう条例、規則、指針、要綱の改正と制定を進める。

 

                                以   上