[朝田 充] 12月定例市議会 本会議質疑

◎乳・幼児期から学童期までの保育・学童保育、子育て支援施策の拡充を求める請願について

◎同和優遇施策の終結について〜人権相談事業について


(朝田一問目) それでは、幾つかの問題について、質問いたします。

 まず、大きな1点目として、今議会に提出されている、乳・幼児期から学童期までの保育・学童保育、子育て支援施策の拡充を求める請願にかかわって、お尋ねいたします。

 まず、請願項目の2、保育施策の充実についてであります。そのAにおいて、「待機児童解消はつめこみ保育ではなく、茨木市として公立・民間ともに認可保育所(園)を建設・拡充・整備してください」とあります。そこで、お尋ねいたしますが、本市の待機児童の現状はどうなっているのか、答弁を求めます。

 さらに、この間、公立も私立も、定員の弾力化で対応していますけれども、緊急回避的な対処としては、やむを得ない側面もありますけれども、こうした詰め込みをそのまま放置しておくというのは、適切ではないと考えます。本来の定員からすると、どれだけオーバーして受け入れているのか。公立、私立、それぞれの数字について、答弁を求めます。

 これらの状況を抜本的に解消するため、公立、私立ともの保育所の増築、増設で対応すべきでありますが、見解を求めます。

 次に、保育士の配置基準について、お尋ねいたします。
 請願項目の2のBには、「保育士の配置基準を、1歳児4:1 3歳児12:1に改善してください」とあります。そこで、特に、1歳児の保育士基準について、お尋ねいたしますが、国基準、市基準、さらに、この間、民営化された保育所での配置基準はどうなっているのでしょうか、答弁を求めます。

 次に、保育料について、お尋ねいたします。
 請願項目の3の@、「保育料を値上げしないでください」にかかわって、来年度の保育料についての基本的な考え方について、まだ示されていないわけでありますが、答弁を求めます。
 市のこれまでの考え、方針は、国基準の75%ということで、結果的に、毎年、引き上げられてきたわけであります。現下の経済情勢のもと、保育料は引き下げて当然、少なくとも据え置くべきだと考えます。そのために、市の保育料に対する考え方、基準そのものを見直すべきだと考えますが、見解を求めます。

 また、請願項目の3のAでは、「保育料はすべての階層において、第3子以降は無料にするなど減免制度を拡充してください」とあります。第3子無料化は、全国的な流れであり、予算的にも多額になるというものではありません。第3子無料化を実施した場合、予算規模は幾らになるのか、答弁を求めます。

 次に、請願項目の6のF、「『茨木市次世代育成支援行動計画』の達成度を明らかにし、さらなる向上に予算計上してください」にかかわって、お尋ねします。次世代育成支援行動計画の通常保育や延長保育、ショートステイ、トワイライトステイ、病後児保育、休日保育などの目標事業量に示された事業の現状について、答弁を求めます。

 大きな2点目の同和行政の終結について、お尋ねいたします。今回は、各いのち・愛・ゆめセンターで行われている相談事業について、お尋ねいたします。

 まず、人権相談事業「人権ケースワーク事業」と、それから、総合生活相談事業について、お尋ねいたします。
 まず、人権相談ですが、平成18年度の実績を調べますと、同和問題での相談件数は、豊川では0件、沢良宜では4件、総持寺1件、各3センターの合計で、わずか5件、全体の0.6%ほどであり、相談事項の圧倒的部分は生活上の悩みであり、旧身分に起因した部落差別による相談事例は皆無に等しいというのが数字から読み取れます。市が口を開けば言うように、いまだ厳しい差別があるというのであれば、この相談事業に客観的にあらわれるはずです。

 人権相談事業は、平成18年度実績で約1,800万円の経費ですが、すべては相談員に係る人件費です。3センターの人権相談件数は、18年度実績で45件であるので、1件につき40万円もかかっていることになります。

 次に、総合生活相談事業ですが、各センターでの相談事業は、人権相談事業のほかに、こうした総合生活相談事業というのがあり、平成18年度は約6,540万円の経費で、これもすべて相談員の人件費です。3センターの総合相談処理件数は856件なので、1件につき7万6,000円ということになります。相談事業は電話による相談というのもかなりありますので、電話1本の相談でも7万6,000円、あるいは40万円を支出する事業となっています。

 このような事実上の地域限定で、他には考えられないような特別な体制をとった事業は、同和優遇そのものです。3センターのみ、特別な事業を行う根拠はどこにあるのか、また、この常勤の相談員は、どういう人が配置されているのか、相談員として専門性を持った職員なのか、答弁を求めます。

 さらに、相談員には、常勤のほかに非常勤嘱託員の相談員も配置されています。豊川に2名、沢良宜、総持寺に各1名であります。こうした非常勤の相談員の経費も考慮すれば、さらに1件の相談コストは上がります。非常勤相談員の経費は幾らなのか。18年度実績で、各センターの額と3センター合計額の答弁を求めます。

 さらに、相談件数実績は、3センターとも、ほぼ同じだと思いますが、なぜ、豊川センターは2名配置なのか。その配置基準についても、答弁を求めます。さらに、この非常勤も、相談員として専門性を持った方なのか、答弁を求めます。

 相談事業は、市民ニーズの高い重要な事業だと考えますが、その整合性や公平性、透明性において、市民にまともに答えられない、このような相談事業は同和優遇と言わざるを得ません。事業を中止し、だれもが納得できる、公正で総合的な相談事業の展開を望むものですが、答弁を求めます。

 次に、各センターにおいて、在宅保健医療福祉サービス調整会議というのが開催され、18年度では約400万円の事業費で、府の補助金も、それぞれ33万円、合計で99万円出ています。これは、どういう目的で開催され、どういう構成となっているのか。他の地域で同様の事業が実施されているのかどうか、答弁を求めます。

 1問目、以上です。

 

(谷口健康福祉部長) 保育、子育て支援施策について、順次、答弁するものである。

 まず、保育施策の充実についてであるが、保育所入所待機児童数は、平成19年4月1日現在、60人で、10月現在では、154人となっている。

 次に、定員に対し、どれだけオーバーしているのかということであるが、10月1日現在、公立の定員1,740人に対して、入所児童数が1,823人で、83人が弾力化等による入所である。また、私立の定員2,009人に対して、入所児童数2,287人で、278人が弾力化等による入所となっている。

 なお、待機児童の解消については、公私協調して、既存保育所・園の定員の弾力化、私立保育園の増築や分園の新設、また、私立保育園の新設や認定こども園の創設により、地域の状況に応じて適切に対応いるものである。

 次に、保育士の配置基準についてであるが、1歳児の保育士配置基準については、国基準では6対1であるが、市基準では5対1としている。また、民営化された保育園については、市基準と同様にすることを移管条件としているので、5対1である。

 次に、保育料についてであるが、平成20年度の保育所保育料については、平成19年に税源移譲に伴う所得税と住民税の大幅な税制改正が実施されたことから、国の定める徴収基準が変更される予定であるので、決まり次第、茨木市保育所保育料に関する懇談会の答申である「国の定める徴収基準額の平均75%」を踏まえ、改定を行いたいと考えている。

 また、平成19年度に、負担の公平性の観点から、国の徴収基準の区分を勘案しながら、所得階層区分と、その階層区分ごとの保育料見直し、その結果、全体として6.6%の引き下げとなっているものである。

 なお、第3子の無料化については、実施する考えは持っていないので、算定はしていない。

 次に、次世代育成支援行動計画についてであるが、次世代育成支援行動計画の中で、目標事業量を定めている11事業のうち、通常保育事業、延長保育事業及び一時保育事業の3事業については、平成21年度の目標事業量を上回る見込みとなっているので、現在、変更手続を行っているものである。

 また、つどいの広場事業及び休日保育事業については、平成21年度の達成に向け、今後も取り組んでいく。

 なお、ショートステイほか、5事業については、既に目標事業量を達成しているものである。

 

(小西人権部長) いのち・愛・ゆめセンターの相談事業について、順次、お答えする。

 まず、相談事業の根拠についてであるが、大阪府同和対策審議会が答申した「大阪府における今後の同和行政のあり方について」の中で、人権に関する相談体制の整備が必要であるとうたわれている。また、大阪府企画調整部長からは、「相談事業を通じ、さまざまな課題を抱えた人々が自立と自己実現を達成することができるよう、一般施策として人権相談事業や総合生活相談事業など、相談窓口の整備に対する補助事業を構築したので、この事業を活用するように」との通知があった。

 これに基づき、人権相談事業については、大阪府人権相談事業実施要綱を受けて茨木市人権ケースワーク事業を、実施規約を設け、また、総合生活相談事業については、大阪府総合生活相談事業実施要綱により、実施場所を社会福祉法による隣保館でもある各いのち・愛・ゆめセンターにしているものである。

 次に、常勤の相談員の件であるが、相談員は、各いのち・愛・ゆめセンターの職員であり、全12日間、34講座実施される総合生活相談員養成講座を受講し、さらに、4日間、12講座実施される人権相談員養成基礎講座の専門講座を受講している。また、これらの講座の修了者を対象として、全9日間、9講座実施される人権相談員養成応用講座及び総合生活相談員スキルアップ講座も受講しているものである。

 さらに、これまで職員が福祉や教育などの部署において、さまざまな相談の経験を積み重ねており、これらの経験も生かしながら、市民の相談に対応しているところである。

 次に、平成18年度の非常勤相談員の経費については、各いのち・愛・ゆめセンターの額では、豊川は465万8,477円、沢良宜は257万6,000円、総持寺は270万9,000円で、3センターの合計は994万3,477円である。

 豊川いのち・愛・ゆめセンターの2名配置の件であるが、豊川いのち・愛・ゆめセンターに寄せられる相談内容については、特に、就労、教育などにおいて、多岐、重層的でもあり、その対応について、複雑化、長期化していることから、非常勤相談員を2名としているものである。

 次に、非常勤の相談員についてであるが、これは、人権相談員として、センターの職員と同様に、先ほど答弁したように3つの講座を受講しているものである。

 総合的な相談事業についてであるが、現在の少子高齢化、都市型コミュニティー、高度情報化などの複雑な社会情勢にあって、さまざまな支援を要する人々が存在しており、福祉、子育て、教育、就労などにおいて、課題が発生している。各いのち・愛・ゆめセンターにおいても、さまざまな相談が寄せられている。今後とも、生活上のさまざまな課題や住民ニーズなどを発見、対応するための相談事業などを行うことにより、住民の自立支援及び福祉の向上などを図るために実施していくものである。

 次に、在宅保健医療福祉サービス調整会議の件であるが、在宅保健医療福祉サービス調整会議は、総合生活相談員が行う相談業務のうち、高齢者や障害者などに対する在宅保健医療福祉サービスの専門的支援が適切に実施されるよう、各種のサービスを調整し、これらの調整業務を円滑に行うため、関係機関の連携及び協働体制の確立を図る目的で設置され、開催している。

 次に、その構成についてであるが、センターの館長をはじめ、市の保健、医療、福祉などの行政機関の代表者のほか、保健所などの大阪府の行政機関、館長が必要と認める機関として、地域の民生委員等で構成されている。

 また、府の補助事業に基づく相談事業は、他の地域では実施していない。

 以上である。

 

(朝田二問目) それでは、2問目。保育、子育て支援にかかわっては、@とBとCは委員会に回したいと思います。ですから、Aの保育所配置基準についてですね、これについて質問いたします。

 保育所配置基準については、1歳児の国基準が6対1、市及び、この間、民営化された保育所の基準は5対1ということです。ということは、新たな格差が生まれていることだということです。これまでの公私間格差だけでなく、民営化保育園と、それ以外での民間保育園での間で格差が生じているということになるので、これは、やはり是正すべきだと思います。
 保育水準向上のために、この格差の速やかな是正、茨木市の全保育所・園で、1歳児、5対1の配置基準を保障するために、運営費補助金の改善を実現するとともに、請願にあるように、次の段階として、1歳児、4対1、3歳児、12対1の保育士配置基準に改善していくべきであります。答弁を求めます。

 それから、同和の問題にかかわっては、人権相談事業について、さらにお尋ねしたいと思います。

 ご答弁をお聞きしましたら、府が言うから同和事業としてやっているんやという、全く主体性のない答弁でありました。なぜ、この地域限定にして、ここでやらなければならないかという、そういう合理的、客観的な理由を尋ねているのに、上が言うとるからやってるんやという、こういう答弁は不誠実だと思います。

 大阪府はことし1月に、人権相談市町村実態調査を行っていますが、相談で、同和問題での相談は、5件中4件が沢良宜センター───これは18年度の実績ですけれども───ということなんで、私は、そこで沢良宜センターがこの実態調査にどう答えているのか調べたところ、人権相談に対して、「人権相談員、スーパーバイザーの派遣を利用されていますか」との問いに、「利用していない」と。その理由として、「スーパーバイザーを利用する事案がない」。「相談事例の分析はどのようにしていますか」との問いに、「相談事例の集約、分析は行っていない」と答え、理由の欄に「集約のみを行っている」と答えています。さらに、「解決困難・不能案件について、その原因等について、分析していますか」との問いにも、「分析はしていない」というふうに答えています。その理由として、「事案がない」と答えています。ということは、当事者同士が、この問題はもう深刻ではないというのを告白していることと同じだと思います。

 もはや、この事業を、事実上の同和特別事業として実施する客観的理由はないということを重ねて指摘するものでありますが、見解を求めます。

 以上です。

 

(谷口健康福祉部長)保育士の配置対数の関係で、民間との格差が生まれているのではないかというご指摘であるが、今回の民営化では、急激な保育環境の変化による子どもたちへの影響、これを最小限にするということから、このようなことから、民営化に当たっても5対1というようにしている。

 

(小西人権部長) 相談事業についてであるが、この事業については、隣保館の基本的な事業ということで、今後も続けていくものである。

 

(朝田) 2問目の保育のところで、配置基準ですけれども、私が聞いたのは、茨木の全保育所で、1歳児、5対1の配置基準にするように、そういう措置をとるべきだと、そのことを尋ねたのであって、ちょっと答弁がずれていると思います。ちゃんと答弁させてほしいと思います。全保育所・園で、1歳児、5対1の配置基準にしろということです。

(谷口健康福祉部長) 保育士の配置基準については、これまでどおり、公立は5対1、民間が6対1ということであるが、これまでどおり、こういう対応でいきたいと考えている。