[岡崎栄一郎] 3月定例市議会 本会議質疑(08.03.07)

議案第20号大阪府茨木市一般会計予算質疑

◎大型開発と道路事業について

◎企業の撤退・移転について


(一問目)それでは、大きな1点目として、大型開発と道路事業について、お尋ねいたします。
 野村市長の再選に向けてのマニフェストでは、相も変わらず、彩都、安威川ダム、新名神高速道路などのプロジェクトの推進が掲げられております。
 まず、彩都に関連して、お尋ねいたします。
 第1に、彩都の関連の公共公益施設に、19年度末までに投入した一般財源について、都市計画道路事業、準用河川改修事業、流域下水道整備負担金事業、公共下水道整備事業、義務教育施設建設事業、その他施設建設事業に分類して、それぞれの金額について、お示しください。
 第2に、彩都の関連の公共公益施設のために茨木市が発行した地方債と整備機構の立替施行の事業別の金額と返済状況と今後の返済予定について、お示しください。
 第3に、彩都関連で整備された公共公益施設の維持管理経費の市一般財源からの支出について、主な施設別の年間経費について、お示しください。
 第4に、彩都の財政収支の予測と現状について、お尋ねいたします。2001年に策定した彩都建設にかかわる茨木市行財政検討報告書によると、まちびらきが2004年度、そして、4年後の2008年度の経常収入と支出が試算され、そこでは、経常収入が約15億円、経常支出が約10億円となり、経常収支では5億円の黒字、投資的経費を含めても約4億円の黒字、累積収支では、20年度末には約13億円の赤字となるとされております。検討報告書の収支予測について、一定の時点で検証する必要があると考えます。見解を求めます。
 第5に、同じくマニフェストでは、平成20年度の小学校の増築、平成22年度のコミセンの建設が示されております。彩都関連の公共公益施設建設の今後3年間の計画と予想金額をお示しください。
 次に、安威川ダムに関連して、お尋ねいたします。
 第1に、安威川ダム関連の公共公益施設建設に、19年度末までに投入した一般財源について、主な事業別に分類して、それぞれの金額をお示しください。
 第2に、ダムに関連の公共公益施設建設の今後3年間の計画と予想金額をお示しください。
 第3に、新知事のもとで、ダム本体工事着工がどうなるのか、全くの不透明です。起債発行、原則ゼロ、1,100億円の歳出カットの方針から見て、ダム本体工事が特別扱いされるなら、何をか言わんやです。市長に今後の安威川ダム本体工事着工の見通しについての見解を求めます。
 次に、道路事業について、お尋ねいたします。
 第1に、この10年間の道路整備に要した経費について、お尋ねいたします。茨木市は、1997年度(平成9年度)から2007年度、今年度(平成19年度)までの10か年の茨木市道路計画を平成9年6月に策定をしております。それによると、今後10年間に茨木市は、総額約413億円を道路整備に支出する予定を示したものです。都市計画道路の整備、一般道路の整備、駅前広場の整備、歩道整備等が含まれております。今回、道路交通課より情報提供で示された数字と過去の資料を総合しますと、道路整備10か年計画に示された事業と、それ以外の事業を合計すると、この10年間に約388億円の事業費が支出されたと試算しますが、見解を求めます。そのうちの都市計画道路、一般道路、駅前広場、歩道整備等に分類して、それぞれの額をお示しください。
 第2に、道路整備に要した経費のうちの用地取得経費について、お尋ねいたします。かねてより、道路整備用地購入費が大半を占めており、公共事業の経済波及効果が相対的に乏しいと指摘をしてきました。この10年間を見ても、約380億円のうち、約65%の約252億円は用地費と試算しますが、見解を求めます。
 第3に、総額の中の一般財源総額について、お尋ねいたします。総額約388億円のうち、約73%の約285億円は一般財源から支出されていると試算しますが、見解を求めます。
 また、そのうち道路特定財源として国から歳入された額について、お尋ねいたします。今、国会では、道路特定財源の存廃と暫定税率継続の是非が議論されております。地方自治体から見ても、道路特定財源の存在こそが施策の優先順位の固定化につながっていると考えます。市長に見解を求めます。
 第4に、道路整備の対費用効果について、お尋ねいたします。この10年間の道路整備に要した経費とその効果について、試算したことがあるのか、お尋ねいたします。
 第5に、都市計画道路山麓線について、お尋ねいたします。この10年間に、この路線整備に約22億円支出されております。彩都中部、東部地区開発の見通しがないのに、漫然と継続する目的について、お尋ねいたします。
 第6に、道路整備10か年計画に示された歩道整備の進捗状況について、お尋ねいたします。計画では、約11億円の計画のうち、支出されたのが約2.5億円、率では23%です。他の事業に比べて低位であります。
 計画では、市道郡山中央線、美沢町5号線、東太田19号線、総持寺6号線、下穂積一丁目郡5号線、宿久庄二丁目安威一丁目線、藤の里一丁目東線、五十鈴町玉島二丁目線、鮎川34号線、下穂積11号線、清水一丁目宿久庄五丁目線、東宇野辺蔵垣内三丁目線、耳原1号線と、13市道路線の歩道整備が明示されております。それぞれの進捗状況と事業執行のおくれの理由をお示しください。
 第7に、市長のマニフェストでは、重点路線として、都市計画道路茨木松ケ本線、市道天王一丁目宇野辺一丁目線、市道宿久庄二丁目安威一丁目線が示されております。現行の道路整備10か年計画の後継計画策定の予定があるのか、お尋ねいたします。
 大きな2点目、企業の移転、撤退問題について、お尋ねいたします。
 東芝家電製造(株)大阪工場、サッポロビール(株)大阪工場、松下電器テレビ工場などの移転や撤退、縮小が相次いでおり、多くの市民の皆さんから、心配の声がたくさん寄せられております。今後も、こうした企業の移転、撤退が進むものと心配されます。
 このような移転自体は、地域の経済や茨木市の財産にとって、大きな影響を与えるものと非常に危惧するものであります。多額の税金をつぎ込んで企業を呼び込んでも、撤退をしていくと、時には、周辺地域はもちろん、本市に与える影響に何ら配慮してくれることなしに、さっさと立ち去っていく。果たしてこれでいいのでしょうか。身勝手な撤退を規制するルールが必要ではないでしょうか。市長として、これまで茨木市の市民生活や地域経済を支えてきた企業の撤退、移転に対して、どのように感じておられるのか。また、この間、どのような努力をされてきたか、見解を求めます。
 企業が撤退する場合、一定期間の予告と、自治体、周辺地域住民に対して事前協議を義務づける必要があると考えますが、見解を求めます。
 本市として、こうした企業の流出を制限する対策等を持っておられるのであれば、あわせて答弁を求めます。
 企業の移転や撤退は、中小企業にとっても大きな影響を受けます。多くの中小業者は、大企業と元請け、下請けの関係にあります。中小企業の育成や振興における大企業の責任は、極めて大きく、その責任にふさわしい役割を果たさせることが必要ではないでしょうか。見解を求めます。
 本市では、彩都開発へのバイオ企業の誘致や安威川ダム建設など、大型開発に頼ったまちづくりを進めておりますが、日本共産党市会議員団は平成11年9月議会で、茨木市の市民生活及び地域経済を支える商工業等の重要性にかんがみ、地域経済の振興の基本となる事項を定めることにより、商工業等の健全な発展と地域経済の振興、市民福祉の向上に寄与するまちづくりを進めることを目的とした「茨木市商工業等振興街づくり条例」の制定を提案してまいりました。
 第1条、目的、第2条、定義、第3条、基本方針、第4条、市の基本施策、第5条、市長の責務、第6条、地域経済振興会議の設置、第7条、商工業者の努力、第8条、委任と、この8条から成るものであります。その第3条の基本方針では、地域経済の振興は、市内の商工業者等の自主的努力を尊重し、その特性に応じた総合的施策を、国、その他の関係機関の協力を得ながら、市及び市民の自治と連帯のもとに、一体となって推進することを基本とするとし、第5条の市長の責務、1項では、中小商工業等の実態を定期的に調査し、地域経済の特性に応じた個性豊かな振興計画の策定と制度、体制、施設の整備等の予算措置等を講じることと掲げております。
 本市のまちづくりを進めていく上から、まさにこの条例提案こそ必要であると考えます。そこで、商店・事業所全実態調査を今すぐ実施し、「商工業等振興街づくり条例」の制定を強く求めますが、見解を求めます。

(山添市理事) 彩都関連のご質問に順次、お答えいたします。
 平成19年度末までの執行見込みの事業費の事業項目別一般財源についてでございますが、山麓線整備事業は約11億7,300万円、天王川改修事業は約5億6,900万円、保育所は約2億5,600万円、彩都西小学校は約3億600万円、彩都西中学校は約5億1,100万円、自転車駐車場は約1億6,000万円、公共下水道は約2,800万円となっております。なお、流域下水道については、一般財源の負担はございません。
 次に、地方債と機構立替事業の返済状況等について、お答えいたします。地方債の事業別金額につきましては、山麓線整備事業は約2億6,900万円、天王川改修事業は約1,700万円、彩都西小学校は約20億円、彩都西中学校は約10億5,500万円、下水道事業は約2億700万円となっております。
 都市再生機構の立替施行につきましては、小学校が約17億6,900万円、中学校が約15億1,900万円となっております。
 次に、地方債、機構立替施行の返済状況については、19年度末までの実績といたしましては約4億1,300万円であり、今後5年間の予定額を申しあげますと、平成20年度が約2億5,200万円、21年度が2億3,600万円、22年度が2億8,000万円、23年度が2億8,300万円、24年度が2億8,400万円となる見込みでございます。
 次に、公共公益施設の維持管理経費の支出について、お答えいたします。現在までに彩都関連で整備された公共公益施設の主なものといたしましては、道路、公園・緑地、自転車駐車場、小学校が供用開始されております。このうち、道路に関しましては、彩都地区を取り出して年間の維持管理費を算出することは困難でございますが、他の施設の平成19年度の維持管理費の見込みは、公園・緑地などで約970万円、自転車駐車場は約290万円、小学校は約1,300万円となっております。
 次に、行財政検討報告書の収支予測について、お答えいたします。平成13年に策定いたしました行財政検討報告書の予測は、あくまでも、その段階での試算でございまして、これまでも、市として健全な行財政運営を図りつつ、彩都の整備状況や入居戸数の動向などを勘案しながら、適切な予算執行を図ってきたところでございます。経常収入や経常経費の中には、地方譲与税や人件費、扶助費など、市全体にかかわるものも含まれておりまして、彩都に限定した形での把握は困難でありますことから、収支予測について、検証する考えは持っておりません。
 今後とも、その時々の財政状況や今後の見通しを立てつつ、関連公共公益施設の整備などを進めていくことが重要だと考えておりまして、行財政検討報告書を見直す考えはございません。
 最後に、今後3年間の公共公益施設の実施計画について、お答えいたします。平成20年度の彩都関連の公共公益施設の経費は、彩都西小学校の増築費用をはじめ、約13億9,500万円でございます。
 なお、21年度以降の計画につきましては、まちの成長の度合いや区画整理事業の進捗、人口の増加、財政状況などを踏まえながら、適宜、その整備に取り組み、その年度ごとの予算編成で対応してまいりますので、現時点でお示しすることは困難でございます。
 以上でございます。

(梅田建設部長) 安威川ダム関連事業についてでございますけれども、平成19年度末までに投入しました一般財源見込額ということで、主な事業別の金額、1つが、水源地域整備計画事業というのがございます。土地改良事業、水路改修事業、道路事業、下水道事業、林道事業、消防施設の整備がございます。これにつきまして、一般財源としまして5億5,794万2,000円となっております。もう1つ、集会所整備補助事業というのがございます。これの一般財源が1億116万6,000円となっております。
 次に、安威川ダム関連事業の今後の3年間の計画と予想金額ということでございます。これも、1つに水源地域整備計画事業ということで、先ほどの事業メニューがございまして、合計で5億3,421万4,000円となっております。2つ目の集会所整備補助事業ということで、2,866万7,000円ということで、一般財源のトータルが5億6,288万1,000円ということでございます。
 次に、ダム本体工事の着工の見通しということでございます。安威川ダム建設事業につきましては、府民の安全・安心にかかわる大事な事業でございます。休止等によって、府民生活に重大な影響を及ぼすことが懸念されますことから、治水事業の必要性や緊急性について、十分、説明を行い、事業の推進に努めていくと大阪府のほうより聞いております。
 現在、事業用地の99%が買収できるとともに、付替府道茨木亀岡線も、平成22年度上半期に全線供用に向けて取り組まれております。より一層の進捗が図られているところでございまして、本市といたしましても、大阪府と連携し、続けて事業の推進に努めてまいりたいというふうに考えております。
 2点目の道路事業についてでございますけれども、平成9年作成の市町村道路計画検討調査におけます道路整備プログラムによりますと、10年間の都市計画道路、一般道路、駅前広場、歩道設置等に係る事業費について、議員のほうから約388億円ということで試算をされておりますが、こちらの資料では約333億円でございます。
 事業費の内訳でありますが、都市計画道路が185億円、一般道路が127億円、駅前広場が8億円、歩道整備が13億円となっております。次に、用地取得経費は約199億円で、約60%であります。次に、一般財源は約118億円となっており、また、道路特定財源は約110億円であります。
 次に、この10年間に費やした道路整備の費用対効果でございますが、都市計画道路や市道、また、駅前広場など、都市の骨格を形成する都市基盤の整備により、本市が目指す安全・安心なまちづくり、市民の経済活動の活性化に大きく寄与したものと考えております。
 都市計画道路山麓線につきましては、彩都関連の国庫補助等を利用しつつ進めておりますが、本市全体の交通ネットワーク上、必要な道路であり、山麓地域の東西を結ぶ主要路線でもございますので、今後も引き続き、事業促進に努めてまいります。
 歩道の整備につきましては、計画延長6.6キロのうち、2.7キロの整備が完了しております。進捗率は約40%であり、今後とも、必要な路線につきましては、事業促進に努めてまいりたいというふうに考えております。
 また、道路整備プログラムの後継計画は、現在のところ、考えておりません。
 また、最後に道路特定財源につきましては、基幹的な道路の整備や歩道のバリアフリー化、道路施設の維持補修など、安全・安心で快適な市民生活を実現するために、欠かすことのできない財源であると考えております。これをもって優先順位を決定するのではなく、それぞれの施策の重要性をかんがみ、政策判断を行っているものでございます。

岡崎栄一郎 「13市道の整備、進捗状況を聞いています」

 それぞれの市道整備につきましては、資料のほうがございませんので、トータルの数字だけで、計画の個々の進捗率というのが、ちょっと時間的に、いただいてから、ございませんでしたので、また委員会のほうで質問いただきましたら、そこで答弁させていただきます。よろしくお願いします。
 以上です。

○松本企画財政部長 大きな2点目の企業移転の問題でございますが、企業の移転、撤退の問題につきましては、本市におきましても税収等の問題、また、市政全体にとりましても大きな影響があるというふうに認識をいたしておりまして、憂慮すべきことであるというふうに考えております。
 この対策といたしまして、企業立地の促進奨励金、いわゆる補助金をはじめ、企業立地支援チームを設置いたしまして、企業のニーズの把握と支援を行うなど、企業が市内で経営を継続していただけるよう、取り組みを進めているというところでございます。
 しかしながら、社会の中で、民間企業として事業展開を図られている企業に対しまして、市内を撤退する際に、事前協議などを義務づけることは非常に困難であろうというふうに考えております。
 また、企業の流出を抑制する対策につきましては、持っておりません。
 以上です。

○赤土産業環境部長 企業の移転、撤退に関しまして、大企業の役割についてでありますが、大手企業とその関連企業は共存共栄の立場にありますことから、移転等を計画した段階で、その内容を伝え、協議をされておられるものと聞いております。
 次に、商店・事業所全実態調査の実施や条例の制定についてでありますが、本市では、地域経済の活性化や商工業の振興を図るため、平成20年度からは、現在の商業系の相談員に加えまして、工業系の相談員を配置した経営アドバイザー事業を実施してまいりたいと考えております。
 また、商店街等が自主的に実施する事業への補助や、市内商工業者が積極的に取り組む小売り店舗の改装や経営革新、設備投資などの補助制度を設け、市内商工業の振興に努めているところであります。
 今後とも、国や大阪府の施策と整合性を図りながら、第4次総合計画の活力ある産業振興のまちづくりの実現に向け、取り組んでまいりたいと考えておりますことから、新たに商店・事業所全実態調査の実施や商工業等振興街づくり条例を制定する考えは持っておりません。