[畑中たけし] 平成21年3月定例市議会 本会議質疑および討論

◎単行議案=敬老祝い金77歳支給停止について(09.03.10)

◎単行議案=公立保育所廃止・民営化について(09.03.10)

◎単行議案=子ども医療費助成制度対象年齢引き上げ等について(09.03.10)

◎一般質疑=@彩都開発について
      A市内民間バス路線の充実について
      B安全で便利なJR茨木駅前整備について(09.03.13)

◎反対討論=第四期介護保険料の引き上げについて(09.03.26)

◎反対討論=平成21年度国保料の引き上げについて(09.03.26)


◎議案第17号茨木市敬老祝金条例の一部改正について

(一問目)それでは、議案第17号、茨木市敬老祝金条例の一部改正について、質問いたします。

 1問目、ちょっと山下議員の質問と重なるところがあるんですけれども、シンプルなので、ちょっと、そのまま読ませていただきます。

 今回の提案は、敬老祝金の77歳、1万5,000円の支給をやめるという提案であり、またしても大幅な制度後退です。市は、一昨年の平成19年度にも70歳の敬老祝金の支給を廃止して、制度を大幅に後退させたばかりです。その際は、全体の事業費見込み6,800万円に対して70歳の支給の停止で、40%にも当たる2,800万円もの事業費を削減しました。対象人数についても、5,100人から2,800人を除外と、過半数の対象予定者を切り捨てました。まず、この本条例改正で影響を受ける支給基準日において77歳の対象人数と、その支給総額について、お示しください。
 また、支給が継続される88歳、99歳、100歳以上の対象人数と、それぞれの支給総額についてもお願いいたします。

 あわせて、今年度の実施状況、平成20年度、対象人数何人に対して、実際に支給を受け取った方々の数及びその受給率について、お尋ねいたします。

 次に、わずか2年で77歳までも支給が廃止される提案に至った理由と、その検討経過について、お尋ねいたします。

 次に、行財政改革については、単なる経費削減ではなく、簡素で効率的な効果的な行財政運営と市民サービスの向上に視点を置き、計画的に取り組んでいるという市長の言ですけれども、今回の削減額、3,000万円もの削減額をどこに回してしまうかについてもお答えください。

 次に、大阪府下自治体における敬老祝金の実施状況についてもお聞かせください。支給をやめたという流れが強いと2年前の質疑でもあったんですけども、現在の支給自治体、それからやめた自治体、特に77歳支給を行っている数、幾つの市があるのかをお聞かせください。

 そして、敬老祝金支給事業、目的、趣旨について、本市の考え方と今後の方針について、答弁を求めます。

 以上です。

(谷口健康福祉部長)敬老祝金につきまして、順次ご答弁いたします。

 まず、影響人数と影響額についてでございますが、敬老祝金の77歳を支給対象外とすることにより影響を受ける方は2,025人を想定し、影響額は3,037万5,000円を見込んでおります。
 また、平成21年度予算は、88歳が568人、1,136万円、99歳が57人、171万円、100歳以上が99人、495万円、合計724人の方に1,802万円でございます。

 なお、平成20年度の実績と受給率でございますが、対象者、受給者、支給額、受給率の順でご答弁させていただきます。

 77歳が対象者が1,805人、受給者が1,800人、支給額が2,700万円、受給率99.7%、88歳、532人、520人、1,040万円、97.7%、99歳、47人、44人、132万円、93.6%、100歳以上が89人、81人、405万円、91.0%、合計2,473人で、受給者が2,445人、支給額は4,277万円で98.9%となっております。

 次に、77歳支給停止の理由と検討経過についてでございますが、高齢化が急速に進展し、高齢者施策の対象者も年々増加しております。特に現下の厳しい財政状況にありましては、財源の見通しも踏まえた中で施策の選択を図っていかなければならないと考えております。

 このようなことから、平成21年度の予算編成におきまして、敬老祝金につきましては、個人給付事業であり、また、平均寿命の延びや長寿を祝福するという条例の趣旨等を勘案いたしまして、77歳の方への支給を対象外としたものでございます。

 次に、削減額の使い道についてでございますが、平成21年度の予算編成に当たりましては、大幅な税収減により財源の確保が必要なことから、敬老祝金につきましても見直しを行い、財源の捻出を図ったものでありまして、削減額につきましては、全体の市民福祉の充実や行政水準の向上に充当いたしております。

 次に、大阪府内の実施状況についてでございますが、制度を廃止等をしている市が13市、また、75歳から支給対象としている市は2市、77歳から支給対象としている市は11市、80歳から支給対象としている市は2市、88歳から支給対象としている市は3市、100歳から支給対象としている市は2市であります。なお、77歳の方に支給している市は、13市ございます。

 次に、敬老祝金の制度の意義と今後の方針についてでございますが、敬老祝金は長寿を祝福しまして、敬老思想の高揚に寄与することを目的として支給いたしております。今後の方針につきましては、財政状況、また、他市の敬老祝金の状況等を考慮しまして、検討してまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。

(二問目) 2問目に行きます。
 この見直しに至った理由、第1の理由が厳しい財政運営ですということなんですけれども、日本共産党市会議員団代表質問でも言いましたけれども、法人市民税の減収の見込み、これをにしきの御旗にこれ幸いと、厳しい苛烈なほどの市民犠牲を強いられるやり方は間違っていると、改めて指摘いたします。

 国・府の制度に乗っかっている給付や補助は手をつけにくい。だからといって、市独自補助を目のかたきにしていて、どこに地方自治があるのでしょうか。ためにする恣意的な行政評価などを経ていても何ら説得力はありません。責任放棄だと改めて指摘します。見解を求めます。
 また、延び続ける平均寿命について、日本の男性の平均寿命が女性とも延び続けているのは事実です。70歳の支給のときにも同じような理由で言われていたんですけれども、男性の平均寿命でさえも79歳となっている状況で、77歳の支給について見直すという理由となるのは、短絡的ではないでしょうか。

 そもそも平均寿命というのは、医療が高度に達した今現在において、生まれた0歳の男の子が79歳までは平均的に生きられるだろうという余命のことであって、77年前に生まれた高齢者にとって、そのまま当てはめては、はた迷惑なことではないかと考えますが、いかがでしょうか。

 77年前当時といえば、昭和7年であって、そのころに生まれた方の平均寿命は、当時まだ60歳にも達していなかったのではないでしょうか。もちろん今の高齢者の方々も、現在の発達した医療の恩恵を受けられているとはいえ、いずれにせよ、79歳と比べて、平均寿命に達していないから敬老に値しないと切り捨てるのは、いかがなものと考えますが、見解を求めます。

 今、お答えいただいたように、府下の支給状況についても見直した市が13市、77歳支給も13市という状況で、半々です。一昨年のときにも支給を取りやめたのは12市ということでしたので、その後、2年で見直したのは、わずか1市ということで、この敬老祝金支給事業についても、府下で見直しの流れが大勢になっていると到底言えないと考えるんですけれども、改めて見解を求めます。

 そして、敬老祝金支給事業の必要性と効果について、77歳支給停止で、本来なら合計対象人数2,749人のはずが724人と、4人に1人程度まで激減してしまいました。ほんの2年前までは5,500人の高齢者が敬老ということで祝いを受けていたことを考えると、制度としての根幹を失ってしまったと言っても差し支えありません。また、長寿を祝うという、この志的な意味に加えて、今、公的年金等控除の減額、定率減税の廃止、後期高齢者医療制度の導入、介護保険制度は、制度あってサービスなしと言われるほど、高齢者を取り巻く環境は、ますます厳しくなっています。

 こうした課税強化による負担がふえる一方であるのに、さらに敬老祝金、家賃補助、介護見舞金の後退など、懐の面からも徹底した高齢者いじめの波状攻撃です。

 昭和1けた時代に生まれて、戦中戦後の苦しい時期を乗り越えて社会を支えてきた高齢者、特に元気な方を含めて慰労するという、敬うという市の制度はこれくらいではないでしょうか。ともすれば、うば捨てか、年をとれば早よ死ねということかと高齢者の方々が嘆かれるような政治が続けられている中、節目節目の年齢に茨木市から敬老祝金が支給されると。自分たちが忘れられていない、大切にされていると、ほんの少しでも思い出す大切な機会であると思いますが、見解を求めたいと思います。

 そして、受給率についても、今お答えいただいたとおり、総合で98.9%と、やはり高齢者にとって、その志が非常に喜ばれている制度ということは、この数字からも明らかです。

 以上の理由から、どのように判断しても、今回の77歳支給停止に至る合理的理由を見出すのは困難であると考えます。直ちに撤回するように意見するとともに、今後、制度全体の見直しの考えも取りやめにして、制度をもとに戻す、つまり70歳支給の復活を望む市民の声は大きいと思いますが、市として、その声をどうとらえておられるのか、見解を求めます。

 2問目、以上です。

(谷口健康福祉部長)順次ご答弁いたします。

 まず、市独自の補助の削減は、地方自治の放棄ではないかというご質問でございますが、高齢化の進展や厳しい財政環境など、今の本市を取り巻く状況を精査しまして、敬老祝金につきましては、先ほど申しあげましたが、この事業が個人への給付事業であること、また、平均寿命の延びやこの条例の趣旨などを勘案しまして、今回見直しを行ったものでございます。

 次に、今回の77歳の見直しが平均寿命に達していない、敬老に値しないので、切り捨てなのはどうかというご指摘でございますが、高齢者への敬老精神は、今も昔も、また、これからも変わるものではありません。しかし、人生80年時代を迎えまして、高齢者像というものが大きく変わってきており、高齢者施策も時代にあったものへと見直しをしていくことが必要ではないかと、このように考えております。

 次に、府下の実施状況について、他市では見直しをされていないのではいう質問でございますが、平成20年度、今年度において年齢を引き上げている市は3市で、事業が廃止された市は1市あります。

 また、平成21年度予算において、本市と同様に年齢の引き上げを予定している市は3市、廃止を予定している市は1市、現在実施している市におきましても、本市と同様の見直しが現在行われているということでございます。

 次に、77歳の廃止の撤回と70歳の支給復活についてでございますが、今回の敬老祝金の見直しは、高齢化への急速な進展や本市の厳しい財政状況などを勘案しまして、事業の見直しを行ったものでありまして、制度の改正の撤回、また、70歳の方への支給を復活する考えは持っておりません。

 以上でございます。

(三問目) 税収減が見込まれる中、党市会議員団は、財政運営について、あらゆる手段を通じて財源確保を行って、大型開発や箱物をつくらんがための財源を捻出しようとする意図が透けて見える財政運営はきっぱり捨てて、歳出構造を見直すことが先決であると。真っ先に市民に痛みを押しつけるようなやり方は愚の骨頂であると改めて意見しまして、本条例案には反対であることを改めてお示ししまして、質疑を終わります。

(野村市長)今、畑中議員から愚の骨頂であるというような言葉が出ましたが、今、厳しい財政状況にあるということはご理解をいただいているものと解釈しておりますが、昨年の年末から、景気の後退で大幅に本市の歳入が激変をいたしました。21年度に当たりましては、その予算編成につきましては、これまで種々ご答弁してきたとおりの状況でございます。

 今回は、先ほどご指摘がありましたようにさまざまな個人給付をいろいろご協力を願っているところでございます。今、これからの財政運営、そしてまた、私たちの子どもや孫への確実な茨木市を引き継ぐためにも、ぜひともこういった個人給付の削減につきましては、決して影響がない、あるいは喜ばしいとは考えておりませんが、ぜひともご協力をいただきたいと考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 


◎議案第13号 茨木市立保育所条例の一部改正について

(一問目) それでは、議案第13号、茨木市立保育所条例の一部改正について、質疑いたします。
 平成19年度から2か所ずつ行われた公立保育所民営化も、新年度、21年度で3年目を迎え、6か所目ということになります。また、22年度の2か所で、当初計画の8か所が完了するということになります。この時点で、改めて公立保育所の民営化について、2か年の状況を総括し、検証する必要があると考えます。

 そこで、茨木市は、公立保育所の民営化の目的と必要性について、1つは、経費の節減となる、もう1つは、硬直化した公立保育所より、柔軟な私立保育園のほうが市民の多様な保育要求に対応でき、全体として茨木市の保育水準が向上すると、2つの理由をあげました。そこで、この2つの点について、お尋ねしたいと思います。

 大きな1点目として、経費節減について、お尋ねいたします。
 まず、公立保育所民営化による経費の節減の定義について、お尋ねします。茨木市が当初、公立保育所民営化の議論を始めたときは、経費節減見込額ということで、定員120人モデルで1か所8,000万円を節減できるという数字を示しました。そして、18年の3月市議会に初めて、茨木市立保育所、中条、三島の廃止条例を提案したときには、公立保育所保育士等正職員は、保育所が廃止されても、ほかの保育所に異動するか、ほかの関連部署に配置転換するだけなので、茨木市全体として経費は節減にはならないという議論があって、茨木市もこれを認め、人件費は、臨時職員等の減員、光熱水費、維持管理費等、減少の推計、合計で19年度に節減できる経費は約1億9,500万円と見込み、一方、経費増は、私立保育園への市の補助金の増額で約3,400万円、差し引き1億6,000万円の経費の節減、これは当初の1か所約8,000万円と符合すると説明しました。

 そこで、実際には19年度決算でどうだったのか。19年度の議案第10号参考資料、公立保育所民営化に係る節減効果について、健康福祉部児童福祉課の試算に基づいて計算すると、公立保育所2か所廃止により節減できた経費の合計額は幾らになったのか、お尋ねいたします。

 次に、私立保育園運営経費に対する茨木市の支出額について、お尋ねいたします。18年度に私立保育園は19園、入園・入所園児数は1,908名、それが19年度は21園となり、入所園児数は2,308名と、400名の増となっています。うち、民営化の保育園による増加分は279名で、約70%です。

 一方、私立保育園に対する市の支出総額は、18年度の6億6,000万円から19年度は9億円と、2億4,000万円ふえています。全部が民営化の影響にならないとしても、ふえた2億4,000万円の70%の1億7,000万円は、民営化による経費増と言えます。

 同じく、19年度議案第10号参考資料、公立保育所民営化に係る節減効果についての試算によると、私立保育園運営経費に対する茨木市の支出額増は3,400万円としています。この差はあまりにもずさんな予測だったと言えますが、見解を求めます。

 いずれにしても、公立保育所1か所民営化で8,000万円の経費節減の根拠がなかったことは明らかです。あわせて見解を求めます。

 大きな2つ目として、保育の質と民営化の影響の観点からお尋ねいたします。
 第1に、民営化の目的の理由の2つ目である硬直化した公立保育所より、柔軟な私立保育園のほうが市民の多様な保育要求に対応でき、民営化により、全体として茨木市の保育水準は向上するという理由について、お尋ねいたします。答弁を求めます。

 公立保育所のあり方懇の意見書では、(3)今後の公立保育所のあり方についてで4項目のまとめがありました。それぞれの実施状況と関係予算の増額状況をお尋ねいたします。
 特に、「公立保育所は、障害児保育の実績を継承しつつ、ノーマライゼーションの立場から、すべての子どもたちの発達を支援する拠点して位置づけ、障害を持つ児童を支援する」としています。しかし、実態は、実績や蓄積の乏しい私立保育園に、少ない経費の補助で障害児保育を押しつけています。改善を求めるものです。

 さらに、あり方懇の意見書では、10項目の附帯意見がつきました。この10項目の実施状況と関係予算の増額状況をお尋ねいたします。

 次に、民営化により市民の多様な保育要求に対応でき、全体として茨木市の保育水準が向上するに関連してお尋ねいたします。

 民間保育園は、今、厳しい事態に立たれています。国の施策により、公的保育の後退により、直接契約方式の導入が強行されようとしています。これらはすべて国の保育予算の削減と結びついています。こうした事態に備えて、しかも耐震化と老朽化した施設の改修に備えるためには、人件費を含む諸経費の抑制による経常収支の大幅な黒字化と積立金の積み増しが迫られています。

 一方で、公立保育所は、各保育所での黒字の収支を考える必要がありません。また、施設の改修に備えて積立金をつくる必要もありません。このような基本的条件から考えると、私立保育園が公立保育所を上回る保育水準を向上させる財政的な基盤がないことは明らかです。見解を求めます。

 次に、茨木市は、民営化に当たって、市の単独補助金を約1億2,000万円増額させましたが、これに関連して、お尋ねいたします。

 民営化された保育園、すなわち、たんぽぽ中条保育園の場合の経常収支についてですが、民営化された、たんぽぽ中条保育園の19年度の経常経費収支を見ると、収入額約1億8,100万円に対して支出額は約1億4,900万円と、3,200万円の繰越金、黒字を計上しています。それは収入額の約18%に当たります。国は、3から5%繰り越しは適正額としていますので、その数字の6倍に当たります。また、初年度から1,000万円の積立金も計上しています。

 茨木市は、民営化に当たって市の単独補助金を全体で総額約1億2,000万円増額し、土地を無償で貸与し、建物を無償で譲渡しました。また、民間保育園全体、とりわけ民営化保育園には、市単独補助金も重点的に配分しました。しかるにこれでは、その効果があらわれているとは言えません。市の見解を求めます。

 次に、19年度の私立保育園の経常収支と積立金についてですが、19年度の私立保育園の経常収支は、すべての園で黒字となり、黒字額総額は約4億円となりました。18年度は赤字が4園あり、黒字総額は約2億2,000万円でしたので、大幅に収支の改善が図られました。黒字率も9.8%から13.7%となりました。これも民営化に当たって市の単独の補助金総額1億2,000万円を増額したことが寄与したと思われます。もとより、市の単独補助金の増額は、民間保育園の収支の改善が目的ではなくて、保育の充実のために増額されたものです。この結果について、市の見解を求めます。

 また、19年度の私立保育園の積立金の総額は1億8,600万円、18年度の積立金総額3,200万円と比較して3倍になっています。やはりこれも市の単独補助金を総額1億2,000万円増額したことが寄与したと思われます。

 19年度末の積立金総額は5億9,000万円となっています。私立保育園も、施設が老朽化して、国の制度の後退も予想される中で、一定の積立金は必要です。しかし、経常収支で多額の黒字を出して、それを原資に積立額が多額になるのは問題であります。市の単独の補助金が保育の充実に充当されるよう改善すべきと考えます。市の見解を求めます。

 9月の市議会では、茨木市は、「繰越金が出ていることにつきましては、各保育園の運営の結果が反映されたものであると考えております。また、繰越金を長期的に安定した経営を図るために計画的に積み立てることは何ら問題ないと考えます」と答えておられますが、適正な黒字と積立金というのが求められていると考えています。こうした中で、公立保育所を上回る保育水準の向上が期待できるのか、お尋ねいたします。

 次に、19年度、私的契約児が存在する私立保育園が3園あります。さらに、看護師が未配置も7園あります。さらに、私立保育園の保護者負担が18年度、19年度と項目がふえたり、増額となっています。あわせて、こうした状況について、見解を求めます。

 これも9月市議会では、「私立保育園の私的契約児童、看護師配置、保護者負担についてでありますが、私的契約児童につきましては、私立保育園に対し、正規の入所手続による入所指導をするとともに、新たに私的契約児童を受けないよう指導しております。また、看護師の配置につきましては、平成19年度に市単独補助金の看護師配置対策費を拡充するなど、その促進に努めております。なお、私立保育園の保護者負担につきましては、不適切な保護者負担は府の法人指導監査において是正されるように指導がなされているところでございます」と答えました。この3年間、同じ答弁が続いています。補助金増額の効果は、この点でも見ることができません。なぜ効果がないのか、答弁を求めます。

 次に、19年度私立保育園への市単独助成の中でも給食材料費新設の効果についてですが、19年度から民営化に当たって、市単独補助金として、おおむね児童1人当たり月額600円、1日1人当たり27円50銭の給食材料費の補助を創設しました。保育所調書から見ると一定の効果があらわれていますが、中には、その額が前年度より減額している保育園もあります。この結果についての市の見解を求めます。

 また、公立保育所の場合は、19年度、1日1人当たり経費は307円、私立保育園の平均245円とは大きな差が依然としてあります。これも9月市議会で、「給食材料費新設の効果につきましては、20園に対し、1,257万円を助成し、各私立保育園からは、給食材料を充実することができ、非常に効果があったとの報告を受けております」と答弁されました。公立は、食材は国内産、仕入れ先は、市内業者保護の立場から市内業者からの調達優先と聞いています。それぞれの私立保育園について、献立や食材の産地など、実地的に検証したのか、お尋ねいたします。

 1問目は以上です。

 

(刈谷こども育成部長) 順次お答えを申しあげます。
 まず、保育所民営化による経費節減についてでございますが、19年度決算の数値で経費の削減効果を2園の保育所について申しあげますと、人件費は2億6,400万3,000円、光熱水費が689万円、維持管理費が4,767万2,000円、合計3億1,856万5,000円の削減となっております。

 また、支出についてですが、新たに民間保育園となる当該2保育所への補助金の増額分につきましては、1億2,194万7,000円となっております。したがいまして、削減額から増額する経費を差し引いた額1億9,661万8,000円が節減額となります。

 続きまして、公立保育所のあり方に関する懇談会の意見書についてですが、意見書では、今後の公立保育所のあり方について、1つとして、子育てのセーフティネットとしての役割を担う、2つとして、幅広い地域の子育て支援のネットワーク化を図る、また3つ目として、障害を持つ児童を支援する等の項目をあげております。

 この内容につきましては、こども育成部全体で施策を展開しており、特に、障害児保育につきましては、公・私立保育所が連携し支援に努めているところであり、公私合同で研修会を開催するとともに、加配保育士につきましても、その人件費の全額を市独自の補助金で支出し、支援をしております。
 10項目の附帯意見につきましては、意見書としては取り上げれなかった少数意見を記載したものではございますが、保育所をはじめ、子育て支援の施策を展開していく中で、参考とさせていただいております。

 次に、茨木市の保育水準の向上についてということでございますが、国において保育制度の改革が現在議論されておりますが、直接契約方式の導入が補助制度とどのようにかかわってくるか示されておりませんので、見解を述べることは差し控えさせていただきます。

 なお、現行制度におきましても、国の補助金は一般財源化され、公立保育所へは補助金は支出されず、私立保育園のみの対象となっていることはご理解をいただきたいと思います。

 次に、市単独補助金の効果についてでございますが、補助金は、それぞれ目的を持って設けられ、その運用につきましては、実績と効果を確認しております。また、府の法人指導監査も定期的に実施されており、適切に保育所運営がなされていることが確認をされております。

 なお、民営化保育所の初年度改修費は、移管後の施設等の修復費や設備の充実を目的に、また、対数配置費は、移管条件として配置基準を義務づけておりますことから、それぞれ目的に沿って有効に活用をされております。

 次に、民間保育園の積立金についてでございますが、積立金につきましては、民間保育園では、一定制約の中で施設の改修や老朽化、また耐震改修等のため、目的を持って計画的に設けているもので、保育園の運営全体から経営努力で積み立てられたものであり、市単独補助金を充当しているものではなく、府の監査におきましても適正なものと認められております。

 続きまして、民間保育園の経常経費の黒字についてでございますが、市の単独補助金は、国や府の補助金以外に、本市の保育施策を推進する上で必要なものとして設けており、支出に当たっては実績内容を十分精査しておりまして、保育内容の充実に活用されていることを確認をいたしております。

 次に、私的契約児童や看護師等についてでございますが、民間保育園の私的契約児童につきましては、府と協調して、市として私立保育園に対し正規の入園指導するとともに、新たに私的契約児童を受け入れないよう指導はしております。

 また、看護師につきましては、平成19年度に市単独補助金として看護師配置対策費を拡充するなど、その推進に努めております。

 なお、私立保育園の保護者負担につきましては、現在、不適切な負担はないものと考えておりますが、府の法人指導監査において是正するように指導がなされることになりますと、そのときは協調して指導に当たってまいりたいと考えております。

 続きまして、給食材料費の充実についてでございますが、保育園の給食につきましては、各園でメニューに工夫を凝らすとともに、食材につきましても、アレルギー児への対応を含め、産地との直接契約を行ったり、遺伝子組み換え食材の排除や低農薬野菜の導入など、安心で安全な給食を目指して努められておりますことを確認しております。

 以上でございます。

 

(二問目) 経費節減の額についてですけども、今、お答えいただいた額は、9月議会でも一度答えいただいたわけで、人件費2億6,400万円の節減というのは、正規の保育士も含まれた額でありまして、私が聞いているのは、18年度3月議会、中条、三島保育所、最初の民営化のときに、議案第10号にこの議会に参考資料として出された経費節減額、この算定基礎に従って今回の19年度決算、したがって、この節減額を出してほしいという問いかけをしたわけです。その問いかけに的確に従った答弁をよろしくお願いいたします。

 このとき茨木市は、人件費の経費節減額として、正規の保育士は含まれておられませんでした。これはそれまでの議論の経過があって、正規の保育士は、保育所が廃止されても他部署に異動するだけなので、人件費の経費節減にはならないから、これを外して、民営化の該当保育所に勤務されている臨時保育士等、非正規職員の人件費、この削減額だけを計算して議案第10号の資料として、この議会に提出されたはずです。今回、また新しい別の経費節減額を出されているということは、議案第10号資料というのは、うそだったということでしょうか。見解を求めます。

 あり方懇の意見書についてですけども、10項目の附帯意見、少数意見として出されたと言っておりますけれども、このあり方懇の意見書、最終の採択をなされるときに全会一致でなされたと思いますが、それについて、確認を求めたいと思います。

 改めて言いますけども、他部署に異動して新しい役割に従事していると。その分、新規に雇わずに済んだからといって、効果額という、9月の決算議会でも朝田議員の質疑に対して部長が答えはったと思うんですけれども、これを節減額と言い張るのは、民営化したものの、現実には経費節減にはならへんかったから、新しい理由をつけてごまかさんと、経費節減額プラスにならへんという実態をあらわしているのではないでしょうか。

 茨木市は、山本前市長の時代から、民営化の理由に、一にも二にも経費節減額と言うてきはったはずですけれども、これは経常経費の節減であって、公立保育所運営経費部分だけの節減ではなかったはずです。茨木市の答弁でも、異動先の人件費の動きについては、節減額には勘案していませんと、しっかり答弁で答えてはりました。そして、その物的証拠として、19年度の議案第10号に出された資料も、そのことをあらわしていました。今ではそれを到底、言えなくなった。都合が悪くなった。ころころ変わる後づけの理由をつけて、節減額の膨らましを行っている。これはあまりにも無責任です。答弁を求めます。

 そして、私立保育園に対する市の負担額の増加の部分についても、19年度の議案第10号参考資料では、市の補助額の増加額だけを算定してはりました。現実に考えてみると、公立保育所が2か所消滅して、新たに民間保育所が2つ出現するわけですから、ふえる経費は市の単独補助だけではなくて、支弁費にかかわる市の負担部分、市負担4分の1、そして保育料の超過部分75%に抑えてはりますから、25%の超過負担、そして、国や府の補助制度に付随した市の負担部分、それから、市単独でやってはる私立保育園に対する単独補助、この4つの額が全部私立2園、出現することによってふえているはずです。この額が合わせて幾らなのか。中条、三島保育所が民営化されたことによって、民営化保育園が2つできて、19年度決算額では幾らなのか、改めてお答えください。

 大きな2つ目の1として、公立と私立の違いについても、改めてお聞きします。
 公立はなぜ硬直化しているのか。自分たちがやっている保育所で硬直化しているのがわかっていながら、なぜ改められないのか。基本的な問題ですけれども、見解を求めたいと思います。

 私立保育園の補助要綱で実施されている、今、最新の補助要綱を見ると、22項目、私立保育園の補助として出されております。多くは公私間格差是正のための補助内容となっています。看護師の配置、障害児の保育対策、給食材料費、園外保育費、延長保育促進費等々です。それを除けば、一時保育の対策だとか病児・病後児保育、こういうことは公立保育所でも拠点保育所となるところで実施していけばよいことであって、公立保育所全部で一斉にスタートせなあかん理由は全くありません。

 要は、公立保育所でも市民の多様化するニーズに対応する、しないというのは、市の意思次第です。そもそも民間保育においても、自分たちで勝手に子どもたちを保育するためのニーズを多様化しますといって、すぐにできるわけでありません。それぞれ自治体がサービス拡充に補助金を出すということが今、前提になっています。このことについて、見解を求めたいと思います。

 それから、あり方懇の意見書にちょっと戻りますけども、今の1問目の答弁では、提言内容が実際に重視されておらず、特に附帯意見は、少数意見ということで切り捨てられて、その実現、具体化の努力は全然見受けられないんですけれども、これでは不十分だと考えますが、改善を求めます。答弁を求めます。

 最後に、補助金とその効果について、民間保育園を運営する法人の黒字、積立金とか繰越金、これが多額に生じている問題は、単に、部長が言わはるように、経営努力の結果ですと片づけてしもたら、市民の税金や負担金、補助金として投入している市として、あまりにも無責任な答弁であり、姿勢であると言わざるを得ません。

 営利を営む企業が、人件費を圧縮して利益を出すというのは次元が違うと思います。補助金に見合っただけの対費用効果、これが実際に得られるよう、市として、しっかり検証して対応していかなければならないと考えます。見解を求めます。

 民間保育園の運営費収入の内訳は、保育料と国・府・市の義務的負担額、さらに補助金、それから、少ないですけれども、保護者から実費としてもらっている利用料、こういうことからなっています。保護者からの利用料を除けば、国や府、市、それから保育料、こういうものは、すべて基本的に保育の提供と充実に使われるのが前提です。見解を求めます。

 こうした経費の基本となっているのは、国の定めた保育単価がベースになっておりますけれども、つまり人件費や事業費、管理費からなっている、こういう経費それぞれが、必要十分な額が保育の充実、提供のために使われていない。その結果、法人の黒字、繰越金や積立金が多額に生じていると。繰越金や積立金が全部悪だというわけではありません。国も3%から5%ぐらいならオーケー、ここまでならオーケーという目安を出しているわけです。茨木市も、民間保育園に対して相当の負担部分を出している以上、国が、府がと他人任せにせずに、一定の見識を持って、望ましくないことは望ましくないという態度で対応するべきだと考えますが、見解を求めます。

 それで、個別の補助事業についても、補助事業を実施しました、効果がありましたという形式的な事業の実施報告書を見て検証するんではなくて、もっと対費用効果が検証できる部分まで厳しく、具体的に検証する必要があり、市はそれを把握して評価していくべきと考えますが、答弁を求めます。

 2問目は以上です。

 

(刈谷こども育成部長) 順次、ご答弁を申しあげます。
 少し多岐にわたりますので、前後しましたら、ご容赦をいただきたいと思います。
 まず、今回、経費削減額に人件費を入れている、その中に正規職員も入っているのは、おかしいのではないかということでございますが、削減効果の算定につきましては、種々の考え方はあろうかと思いますけれども、人件費を含めるということは、これはやはり当然のことであると考えております。それにつきましては、当該保育所が民営化されたことによりまして、当該職員は、退職者の補充や現在の欠員の補充、そして保育所以外の子育て支援の展開に充てることにつながります。もしも、そこに新たに職員を配置しますと、採用等、必要になってこようかと思います。そういう意味から考えますと、正規職員の数も含んで計算することが本来の削減額の計算であるというふうに考えております。

 それから、次に、あり方懇の意見書で、附帯意見は全会一致で認められたものであるということに対する認識でございますが、確かに、意見書そのものにつきましては、附帯意見も含めまして、本文も含めまして、最終的には全会一致で認められております。ただ、附帯意見をつけますときに、経過といたしまして、本文には入れられないけれども、少数意見として、そういう意見が出てきたので、これを10項目、参考として入れることについて全会一致であったと、そういうふうに理解をいたしております。

 次に、私立保育園の市単独補助についてでございますが、確かに私立保育園には、いろいろな補助を行っております。ただ、やはりこれは国のほうの制度といたしましては、例えば延長保育促進事業なり、一時保育促進事業、休日保育の促進のための事業、これは国の制度として補助金が設けられております。市独自制度といたしましても種々の制度を設けております。特に民営化につきましては、民営化に伴う施設改修事業、民営化に伴う保育士の基準対数の配置のための費用、また、これは一般すべての民間保育園に対して出しておりますが、障害児保育の実施対策費なり看護師の配置対策費、または給食の材料費ということであります。

 先ほど議論のありました給食の材料費等につきましては、それぞれの園で十分努力をされまして額が下がりましたので、もうこれを要らないという園も確かにございますが、基本的には高い評価を受けているものでございます。

 公立は硬直化しているというご指摘につきましては、少しよくわからなかったんですが、公立は確かに民営化の基本方針の中におきましても、今後やはり地域に開かれた特別の拠点施設として、公立保育所は将来、頑張っていくべきであろうという方針になっております。したがいまして、やはりいろいろな面で、今後、民営化を進めていく中で、公立保育所のあり方につきましては、総合的に判断をしていきたいと思っております。

 それから、附帯意見の個々の内容について、もう少しということでご質問をいただきましたが、附帯意見につきましては、少しご紹介いたしますと、やはり民営化については、多くの意見を聞きながら慎重に進めていただきたいと。公立、民間を問わず、子どもの権利として保育を守っていただきたい、そういった理念的な意見が10項目にわたって書かれております。

 この辺につきましては、全く無視をしているというんではなしに、先ほども申しあげましたように、十分、今後の民営化、また市全体、公私協調して保育を進めていく中で生かしていきたいと。参考として、その内容を頭に置いて進めていきたいということを申しあげております。

 それから、補助金とその効果で、民営化された、または、その他の私立保育園が営利企業のように経常経費の黒字を出し、積立金を上げているというご指摘であったかと思うんですが、これはとんでもないことだと私は思います。それぞれ当然、社会福祉法人でございますので、営利というのは目的にできませんし、それぞれ府の監査もございます。市としても、日々巡回しまして、保育内容についても、公私協調してサービスの向上に努めるように協力し合っております。そして、何よりも、そこにおられる保護者がそれぞれ理解を示されて、その保育所に行きたいということは、皆、市の保育園、私立も含めまして、すべてでございます。

 そういう意味では、やはりその内容につきましては、保育内容について問題があるものとは考えておりませんし、経営努力というんですか、積立金ないしは経常経費の黒字につきましても、当然、どこからも指摘もされておりません。これでいいというふうに認識されておりますので、問題はなかろうかと考えております。

 それと、補助事業の検証でございますが、補助事業の検証につきましては、これは先ほども申しました、いろいろ障害児保育とか看護師配置対策費とか給食費とか、それぞれございます。これにつきましては、市の担当課のほうで巡回し、ヒアリングを行い、適正に運営されていると、使われているというふうに確認をいたしております。

 それと、今、国が考えております直接契約に対しまして、市としても意見を申し述べてはどうかということでございますが、これは国のほうで考えておられる制度でございます。内容につきましては、まだ詳細は明らかになっていません。一部報道は確かにありますが、細部にまではわかっておりません。いずれにいたしましても、国が責任を持って保育行政を考えている内容でございますので、今、ここで、市のほうで国に対して意見を申し述べる考えはございません。  以上です。

 

(三問目) 1問目でも2問目でも、18年度3月議会に出された議案第10号参考資料の市が出しはった資料です、経費節減額として。この基準に従った経費節減額を出さはることはありませんでした。今持ってはれへん。もし持ってはれへんのでしたら、この後、民生常任委員会で再度お尋ねしたいと思いますので、用意していただきますよう、よろしくお願いします。

 今回、2億6,400万円と人件費削減額、市は言うてはるんですけども、このうち正規職員の人件費は幾らで、その他の非正規職員の人件費は幾らなのか、その内訳をお示しください。

 中条、三島保育所が民営化されたときに出された議案第10号参考資料、これからすると、議員団が当時、児童福祉課長が答えはった臨時保育士のフルタイム保育所は、230万円の人件費です。そのほかの何々については77万円ですと、それぞれ個別に、職種について数字を示された。その積算を積み上げていくと、非正規職員の人件費の削減額はこれだけになりますと答えてはりました。その数字に従って、誠実に答えていただきますよう、改めてお願いします。

 これに従いますと、19年度非正規職員人件費、約1億円減っているんですね、18年度決算と19年度決算。それで、光熱水費と維持管理費のほうが差し引きすると約6,000万円減っている。合わせて1億6,000万円、10号資料を参考に、ベースにすると、そういうことになるんです。それに対して、同じように決算で民間保育園に対する補助金は2億4,000万円ふえていると。差し引きすると、結局、保育所民営化すると経費はふえてしまうという数字が決算で出ているわけです。
 あり方懇の意見書の問題についても、これは全会一致で決まったわけです。市長が委嘱して懇談会を開いてもらって、答申を得て、全会一致のというわけですから、その経過を踏まえて、茨木市として、あり方懇の意見書、最初から最後まで重視する、尊重するというのが当然じゃないでしょうか。  これまで議論させてきました。19年度の公立保育所廃止条例に際しても、日本共産党は、第1には、経費削減には根拠がないと。第2も、あり方懇の意見書を全く反映していないと。第3に、公立保育所民営化により保育水準は向上するに全く根拠はないと、その当時、反対しました。今回の審議でも、その後の経過を見ても、それは明らかになったと思います。したがって、今回の条例提案、理由に根拠のない新年度の民営化は、断固中止すべきだと意見いたしまして、私の質疑を終わらせていただきます。

(刈谷こども育成部長)1点、人件費を削減額に入れるということにご質問がありましたので、お答えさせていただきます。  先ほども申しあげましたように、常識的に考えまして、やはり人件費というのは、例えば新たな民間を引き受けられた園は、すべて新たに職員をそこに採用しなければならない。そのための費用があるということで、人件費というのは、やはり当然、認められるべきものであろうと。 内訳については、総額でしか現在、手元にございませんので、よろしくお願いをいたします。

 


議案第15号 茨木市乳幼児の医療費の助成に関する条例の一部改正について

(1問目)) それでは、議案第15号、茨木市乳幼児の医療費の助成に関する条例の一部改正について、質疑いたします。

 子どもの医療費助成制度の拡充は、子育て支援施策の1つとして、市民からニーズの高いものであり、毎年、12月市議会にも提出される、いわゆる子ども署名でも要望項目にもなっています。

 本議案は、乳幼児医療費助成制度の対象年齢を1歳拡充する提案であり、賛成の立場ではありますけれども、さらなる拡充の余地があるのではないかという立場から質疑いたします。

 第1に、対象年齢を7歳から8歳、小学校2年生まで引き上げることによる対象人数の増加数と影響試算額について幾らになるのか、お示しください。

 第2に、平成20年度当初の事業費のうち、特に手数料について、19年度と当初予算比で5,600万円減となっておりますが、その原因について、お示しください。

 また、昨年12月議会の補正でも5億8,770万円から5億3,270万円と、扶助費と手数料に合わせて、一般財源で5,500万円の減額となっておりますが、こちらについても、その原因をお答えください。

 第3に、本事業における通院と入院の1件当たりの助成額について、お示しください。
 あわせて、北摂7市で入院について対象年齢を先行させている市があれば、その例について、お聞かせください。

 第4に、0歳から12歳まで、各年齢別児童1人当たりの医療費について、おわかりになれば、お示しください。

 1問目は以上です。

(刈谷こども育成部長)順次、ご答弁申しあげます。
 乳幼児医療費助成の対象を小学校2年生までに拡大するに当たっての対象児童数等についてでございますが、平成21年度予算におきましては、小学校2年生の対象児童数は2,385人、助成額として1,535万4,000円を見込んでおります。

 次に、平成20年度予算において、前年度と比較して手数料が減額となっていること等についてでございますが、平成20年度当初予算につきましては、府内医療機関に支払っておりました請求手数料が、平成20年4月診療分から廃止されたことを主な要因として減額となったものでございます。
 12月補正の理由につきましては、扶助費については、平成20年4月の医療保険制度改正に伴い、公費負担額が減少したこと、また、手数料については、平成20年度分に係る申請手数料が、当初の予想よりも少なかったことが主な要因であると考えております。

 続きまして、通院、入院の1件当たりの助成額と北摂7市の状況についてでございますが、1件当たりの助成額につきましては、平成21年度予算でお答えをいたします。

 0歳から小学1年生は、通院が1,131円、入院が2万1,141円、小学2年生は、通院が1,225円、入院が2万2,889円として積算をしております。

 入院と通院で対象年齢に差を設けている北摂7市の状況といたしましては、3月1日現在、3市ございますが、その内容といたしましては、1市が、入院が小学6年生、通院が就学前児童、1市が、入院が就学前児童、通院が4歳未満児、1市が、入院が就学前児童、通院が3歳未満児となっております。

 続きまして、乳幼児医療費助成制度に係る年齢別の医療費ということでございますが、平成19年度実績で申しあげます。

 0歳児は7億8,700万円、1歳児は4億6,100万円、2歳児は3億4,200万円、3歳児は3億3,700万円、4歳児は3億1,900万円、5歳児は3億200万円、6歳児は1億5,400万円、7歳児は5,900万円となっております。

(二問目) この間、乳幼児医療費助成については、18年度が扶助費として4億6,000万円、7歳まで拡充された19年度では5億円、7歳対象年齢通年実施の20年度では5億3,300万円という推移になってきました。今、1問目でお答えいただいたとおり、手続の改正があったり、20年度で手数料5,600万円減りました。20年4月から医療費の自己負担率も公費負担が軽減されまして、5,500万円減りました。その結果、21年度は、対象年齢が10月から実施とはいえ、8歳まで拡充されたにもかかわらず、4億2,000万円と軽減されています。制度変更によって前年度に比べての市の負担額は、結果的に1億円以上軽くなっています。せめて負担額が軽くなった分については、頑張って維持して、対象年齢のさらなる拡充ができるのではないかと考えますが、答弁を求めます。

 昨年12月議会の市の答弁でもありましたが、19年度決算の数字では、5歳で7,100万円、6歳で3,600万円、7歳では通年で2,600万円程度という金額であると思いますけれども、年齢が上がるごとに、今、1問目でもお答えいただきましたように、かかる医療費は下がってくるということで、同時に、やっぱり扶助費も負担が軽くなるという傾向が出ていると思いますけれども、それについて、答弁を求めます。

 一方、国のデータでも、区切りは荒いんですけれども、0歳から4歳の1人当たりの医療費は20万8,000円、5歳から9歳が10万9,200円と落ちます。10歳から14歳は、さらに下がって7万6,600円と、こういう状況であります。反対に、一方で、0歳から1歳の子どもさんをお持ちの家庭の医療費の負担というのは、5歳、6歳の子どもさんがいる家庭に比べて重いということも十分に推測できます。

 そういうことで、乳幼児医療費の所得制限、茨木市は、かけてはるわけですけれども、これは児童手当の基準が準用されておりまして、世帯当たりの扶養の人数、子どもの人数によって制限額が上がっていくという、緩和されているものの、扱いは0歳の子どもでも、8歳の子どもでも、扶養の子どもということで同じです。乳幼児の年齢の違いによる子育て世帯の負担の度合いには差があると思いますけれども、これについて、市の見解を聞きたいと思います。

 2問目は以上です。

(刈谷こども育成部長) お答えいたします。
 まず、経費節減に補正でなっておりますので、その内容を拡充に広げてはどうかというご意見だったと思いますが、総合的に経費節減というのは、市全体の財政の面から考えるべきであろうかと思います。

 いずれにいたしましても、この11月に通院、入院とも、小学校2年生まで拡大いたしますので、現在のところ、さらなる制度拡大は考えておりません。

 それから、年数が上がりますと経費が下がる認識についてということですが、これは統計上、やはり年がいきますと、やはりお医者さんにかかる率は減ってくると。これは統計上の内容でそのとおりだと思います。

 それから、0、1歳の負担軽減のために所得制限を撤廃してはどうかということでございますが、乳幼児医療費助成制度における所得制限につきましては、やはり一定以上の所得者については応分の負担をしていただくという考えに基づきまして、所得限度額、ご指摘のように、児童手当の額になるかと思いますが、これを設けているものでございまして、これを見直す考えはございません。

(三問目) 今の答弁でもございましたように、経費の節減というのは、市の全体の経費の節減を見ていただきたいとお答えになったと思うんですけど、それはさっきの公立保育所民営化の件でも、その態度を貫いてほしいと思います。

 結局、市の負担、軽減されております。5億円まで出してたやつが、結局、新年度では4億2,000万円ということですから、この負担減分、これ幸いと引っ込めるんでなくて、そのまま維持するだけで子育て支援としての制度がさらなる拡充ができるはずです。この負担減部分、一体どこに回してしまわれたのか、お答えください。

 小学校就学年齢児の医療費は、低年齢児と比べても負担は軽いはずです。せめて、この減部分だけでも拡充すれば、小学校4年生まで拡充できると考えますが、いかがでしょうか。せめて来年、再来年と1年ずつ拡充していけば、計画的に実行できるのではないかと考えますが、見解を求めます。

 また、乳幼児の医療費、年齢によって変わってきます。やっぱり高くつく0歳と1歳、所得制限をせめて撤廃して実現すれば、きめ細やかな子育て支援施策になるのではないかと考えます。改めて答弁を求めます。

 また、きめ細やかな施策を充実するということでは、1問目でもお聞きしましたけれども、通院と入院の助成額の差が非常に大きいという事態があります。低年齢児の場合、通院が1,131円に対して入院が2万1,141円でしたかね。この1件の差が物すごく大きい。こういうことでいえば、入院について、助成について年齢を先行させていけば、さらにきめ細かい子育て支援施策になるんではないかと考えますが、市の見解を求めます。
 以上です。

 

(刈谷こども育成部長)お答えいたします。
 先ほど総合的に判断してという内容で申しあげましたのは、最初にご答弁申しあげましたように、いわゆる保険の内容に基づくそれぞれの負担割合とか、こういうのは、その保険の中での健全化を図る意味でそれぞれなされてきた内容でございまして、そういう意味で、いろんな要素がこの削減の中では、なっておりますので、市全体、または国全体で考えられた内容でございますので、それをそのまま乳幼児医療と、そういうふうな形で考えるものではなく、総合的に判断していかなければならない内容であると、そういうふうに考えて、今の発言をさせていただいた内容でございますので、ご理解をいただきたいと思います。
 以上でございます。

(「議事進行」と畑中議員呼ぶ)
○辰見議長 6番、畑中議員。
○6番(畑中議員) 3問目で、一応それぞれ個別の問題について一定、聞いたわけですから、それぞれについて、答えていただきますように、よろしくお願いします。

(刈谷こども育成部長)失礼いたしました。ご答弁を申しあげます。
 まず、4歳児まで拡充するということでございますが、先ほど最初にご答弁申しあげました平成21年度予算の助成額1,535万4,000円、これは11月から2月までの4か月分の経費でございます。したがいまして、通年ベースになりますと、これに3倍を必要になりますので、4,606万2,000円と。これにまだ学年を引き上げますと、相当な、2学年9,212万4,000円という話になろうかと思います。
 あわせて、入院の先行というご提案でもございましたが、これも先ほどご答弁申しあげましたように、入院では1人当たり2万2,889円がかかります。これも人数を掛けて、年数を掛けますと、相当な金額になろうかと思います。
 いずれにいたしましても、非常に厳しい財政状況の中、今回、1学年のご提案をさせていただいております。ご理解をいただきたいと思います。伸ばすことは難しいと考えます。
 以上でございます。

 

 


◎議案第47号平成21年度大阪府茨木市一般会計予算

大きな一点目として彩都開発とその関連事業についてお尋ねいたします。

第一にその基本姿勢についてお尋ねいたします。
施政方針で明らかにしているように、「市税収入の減少」「財政の自立性」「徹底した行財政改革」「市独自施策の見直し」「地域の特性とニーズ応じた施策の展開」などとして、今回の一斉負担増と制度廃止・縮小を強行しようとしています。これは明らかに「世界経済の急激な減速による市税収入の大幅な減少」を千載一遇のチャンスとばかりの「福祉切り」であります。しかし、一転、施政方針の彩都開発の項では、世の中なべて事も無しとばかりに、「西部地区において、良好なまちづくりが進みつつありますが、中部地区につきましては、府の「(仮称)岩阪橋梁」の事業化等に併せて、都市計画道路「山麓線」の整備を進めるとともに、全地区における彩都事業の継続が図られるよう、関係機関などと協議・調整を進めてまいります」と述べています。これは「福祉切り」のためには、世界経済まで持ち出して、強行する。彩都推進では世界経済や「福祉切り」はどこ吹く風と、相変わらず「彩都推進」をこれまでと変わらず打ち出す。一体、この矛盾した姿勢をどう考えておられるのか、市長に現下の経済情勢と彩都開発について、どのように考えているのかお尋ねいたします。

第二に彩都西部地区の現状についての認識についてお尋ねいたします。
この事業の主な財源は、土地区画整理事業により確保した保留地の処分金ですが、宅地需要の激減で処分が進んでいないこと。そして保留地処分価格の下落、評価損により、多額の欠損金を生じ、将来、国民の税金で処理することとなる事を明らかにして、したがって欠損金を最小限に食いとめるためにも、今後予定している事業予定額を、区画整理事業完了に必要な範囲で最小限に圧縮させる必要があると、12月市議会で党市会議員団は指摘しました。
そうした中でも、西部地区の国際文化施設地区の約22ヘクタールがさらに問題です。この地区は都市機構が約10区画の保留地に指定していますが、売却処分されているのは4区画で、用地の譲渡による処分が困難となると、次善の策として保留地を事業用施設用地として、20年間の借地権を設定して、土地利用を推進しています。これは事業が破たんしている象徴的な状況です。またその価格は平方メートルあたり、月額300円から350円ときわめて低額です。また、期限が来たら、経済情勢等によりあっさり撤退することも十分考えられます。こんな状況でも、「西部地区において、良好なまちづくりが進みつつある」と言えるのでしょうか。市長の見解を求めます。12月市議会で、松田市理事は「西部地区における事業計画の変更は、西部地区のうち、主に箕面市エリアの事業化に伴い、必要な見直しを行うもので、現在国と協議を行っており、今後、変更案についての縦覧手続を行い、年度末を目標に変更認可を取得する予定である」と答弁しました。その後の状況についてお尋ねいたします。

第三に彩都中部地区の事業化についてお尋ねいたします。
いずれにしても国の方針で、機構のニュータウン事業は平成25年度までに工事を完了するということになっています。問題の府の「(仮称)岩阪橋梁(全体事業費17億円)」も、予算化はされていますが、その執行については測量・土質調査・設計は都市機構の立地企業の募集に併せて、用地取得・工事は立地企業との契約成立後にとしています。(立地企業の動きも含めて)機構と府の動向について、お尋ねいたします。また12月市議会で市理事は「中部地区の提案型市場調査を行う際に設定いたしました宅地販売価格(平方メートル5万〜10万円)は、周辺の市場価格から算出した想定金額で、造成等に要する具体の事業費につきましては、今回の調査結果も踏まえ、今後、検討していく」と答弁しました。その後の検討状況をお尋ねいたします。
 また理事は「企業の進出の担保性は社会経済状況の変化等により、企業の意向が今後どのように変わるかについて予測することは困難で、彩都推進協議会は、進出意向を示している企業に対して、今後とも、継続的に情報提供を行うことなどにより進出意向の維持に取り組んでいく。茨木市も大阪府や都市機構とも連携を図りながら、進出企業のニーズ把握に努めていきたい」と答弁しました。その後の(動き、変化、数、進出意向、ニーズなど)状況をお尋ねいたします。

(松田市理事)
 

第四に中部地区事業化と密接に関連する都市計画道路山麓線と区域外国文3号線についてお尋ねいたします。
これらの道路整備すなわち上郡佐保線から中部地区までは2013年(平成25年)の予定街びらきまでに供用開始という整備プログラムはあるのか答弁を求めます。またこの範囲1.08キロの内、0.43キロは大阪府施行、残りの0.65キロは都市機構による施行とされてきたが、現時点でどのような計画になっているのかお尋ねいたします。

(梅田建設部長)
 これら路線の整備計画につきましては、「彩都・中部地区に係わる提案型市場調査検討会」の提言を踏まえ、大阪府及び都市再生機構において推進に向け協議調整されていることから、本市といたしましてはその動向を注視し、歩調を合わせてまいりたいと考えております。また、整備区間の事業主体につきましては、変更はございません。

 

第五に、平成21年度に実施する彩都開発および関連事業について、そのすべての事業名、その内容、事業費を明らかにされるよう求めます。

 

大きな二点目として市内民間バス路線など公共交通機関の充実についてお尋ねいたします。
地域バス路線の課題解決のための「地域公共交通会議」設置について、代表質問の答弁では、「研究する」ということでしたが、法改正で、地域路線バスの路線廃止や減便など利用者サービスの変更が規制緩和により届け出だけで可能になるなどの中、その影響を緩和し、対策を協議する目的で、市町村単位の「地域公共交通会議」の設置が法制化されています。そこで、

第一に、茨木市は「地域公共交通会議」設置の必要性と緊急性について、どのような理解と見解を持っておられるのかお尋ねいたします。

第二に、「地域公共交通会議」は地方自治体にとって、事前の情報提供や対策の協議という事では利点がありますが、一方では課題解決のために、路線サービス維持のために新たな財政負担が生ずるかもしれないということで消極論もありますが、茨木市はどのように考えておられるのかお尋ねいたします。

(梅田建設部長)
 地域公共交通会議は、地域の実情に応じたバス運行の態様や運賃、計画等について、地方公共団体が主体となり、交通事業者や地域の関係者による行為形成を図る場として、平成18年10月の改正道路運送法に位置づけられたものでありますが、茨木市におきましては、減便等はあるものの、路線バスが一定充足しており、また、会議では利用者の要望を協議するだけではなく、事業者の考え方も協議事項となるため、設置については、十分な研究と慎重な判断が必要であると考えております。

 

大きな三点目として、安全で便利なJR茨木駅前整備にかかわって3点お尋ねいたします。

第一に、ラッシュ時に駅前周辺エキスポロードに乗り入れているを通勤・通学バス等の問題ですが、送迎バスがJR駅前を利用して乗客を乗り降りさせ、道路を1レーン占有することで交通混雑の原因になり、その解消のため、茨木市は多額のお金をかけて上穂東町とマイカル横にバス発着場を整備しました。毎年3100万円のターミナル維持管理費も支出しています。ところが二つのバスターミナルを利用するはずの送迎バスが決まりを破って朝夕のラッシュ時にエキスポロードでの乗降をおこなっているという状況が続いていました。議会でも指摘し、市としても解決のために努力するというお答えをいただいたんですが、いまだにルール違反が常態化しているばかりか、その後、新たにエキスポロードを利用する送迎バスが増えるなど、問題が解決どころか緩和されているようにも見えません。こうした状況に対する市の認識と取り組み状況についてお尋ねいたします。また改善するようあらためて求めるものですが答弁を求めます。

(梅田建設部長)
(送迎バスについて)数台については身障者の方が乗っておられ、やむを得ないものと考えておりますが、それ以外の降車については、以前にも送迎バス運行者に注意しておりますが、今後もバスターミナル利用者協議会等において、厳しく指導してまいります。

 

第二に、JR茨木駅前バリアフリー化と歩道橋の整備についてお尋ねいたします。
4年前に交通混雑緩和を主眼として交通社会実験が行われたわけですが、その後送迎バスがある程度振り分けられたということを前提に混雑は一定緩和されたという関係者の認識の下では、いまや優先すべきはバリアフリー化が緊急の課題になっていると考えます。高齢者の方をはじめとして駅前中心の路線バス降車点から歩道橋に上がらずに駅舎方面やイズミヤ方面に道路を横切りひやっとする場面が日常茶飯事の光景になっています。問題解決に向け、どのようなプランや方針の下に関係者間で協議が行われているのかお尋ねいたします。そしていつまでを目処に一定の結論を出そうと目指しておられるのかお答えください。いずれにせよ一日も早い解決が求められています。答弁を求めます。
次に、歩道橋については、床面のひび割れに対して雨水が浸透しないよう充填剤の塗布などは行われているようですが、ひび割れはそのままであり、その時々の補修によるつぎはぎ模様とあわせて、安全面でも、茨木市の玄関口としての美観上でも改善を検討する必要があると考えます。また冬期の床面凍結時に対しても歩行者がスリップしにくい材質のレーンを設けるなど歩行者の安全を工夫することが必要ではないかと考えますが、それぞれ見解をお聞かせ下さい。

(梅田建設部長)
 JR茨木駅西口駅前のバリアフリー化につきましては、市といたしましても重要な課題であると考えており、現在警察とバス停へ平面で歩行者動線の確保が出来ないか協議を行っているところであり、できるだけ早く実現できるよう努めてまいります。

 また、歩道橋の床面改善につきましては、現在必要に応じて補修を行っておりますが、冬期の凍結対策も含め、歩行の安全性や美観も考慮し、今後の経年変化等を見極めて対応してまいります。

 

第三に、JR茨木駅周辺の駐輪場整備についてお尋ねいたします。
新年度において実施される日本たばこ産業社宅跡地への駐輪場整備と、駅前に設置されるという駐輪ラックについて、整備時期や台数、種類、利用形態など詳細をお尋ねいたします。これらの整備によりJR駅前の駐輪需要についてどの程度満たされることになると見込んでおられるのかお聞かせ下さい。さらに、自転車と同時に近年スクーターの駐輪スペース増設の要望も大きくなっているように思われますが、市の認識と対応についてお示し下さい。松ヶ本への駐輪場については、平屋建てではなく、スペースを有効活用して、将来は2階建てに増設するなどの対応も視野に入れるべきであると考えますが、見解を求めます。

(梅田建設部長)
 (仮称)松ヶ本町駐輪場は、平屋式(シェルター設置)、自転車専用で、収容台数は定期が500台、一時利用は175台の合計675台の計画であります。
 平屋式の駐輪場であり、将来増設等の必要が生じた場合には、立体利用への改造は比較的容易に行える構造で考えております。
 また、バイクにつきましては、定期の収容不足が220台程度程度あり、西駅前駐輪場の自転車収容台数を変更して、対応してまいります。
 次に、駅前広場の三カ所の駐輪ラックの収容台数は、西口はバイクが19台、自転車が29台、東口では自転車が52台の整備内容としております。
 JR茨木駅周辺の駐輪需要台数はおよそ8700台と想定しており、現状の収容台数は8030台で、670台が不足でありますが、両駐輪場の整備により756台収容増となりますので、適正な規模になるものと考えております。
 なお、両駐輪場は本年10月1日供用開始を目指し、整備を進める予定であります。

 

(2問目)彩都開発について、市長の矛盾した姿勢についてですが、市長の言うように「景気後退の影響を受けて歳入の中心である市税収入が大幅に減少する厳しい状況の中で基礎自治体の責務である持続的なサービスを提供する」ためというのなら、まっさきにこうした無謀な大型開発に手を入れるべきではないでしょうか?既存事業を見直しをしたというのなら、彩都開発関連事業についてはどのような見直しをおこなったのか。お答えください。見直した後がまったく見えません。大企業の「派遣切り」よろしく「市民切り」では逆立ち市政といわざるを得ません。今はまず「大型開発の凍結・見直し」で、政治災害による不況で苦しめられている市民の暮らしと生活を守るべきです。あらためて市長の答弁を求めます。

個別の問題で、彩都西部地区の見直しについてですが、それでは今回の見直しで、西部に事業予定額はどれくらい圧縮されたのかお答えください。いずれにせよ、西部地区における状況は、肝心かなめの保留地の処分がほとんど進んでいない。処分率26%、処分面積も価格も年を追う毎に悪化しています。今の経済情勢で上を向く材料も見えません。処分以外の使い道も先行き不透明であると、市長がしがみつくような「良好なまちづくりが進みつつある」とは言えないのはどう見ても明らかです。欠損金を最小限に食いとめるためにも、今後予定している事業予定額を、区画整理事業完了に必要な範囲で最小限に圧縮させる必要があります。将来、国民・府民・市民にツケを負わせないためにも市としてそのような態度で臨むべきです。市長の答弁を求めます。

また、中部地区については、いずれにしても、中部地区の土地所有者は一部の府と市の用地(14ha)を除いて、ほぼ全部が阪急阪神ホールディングスの所有地です。一企業の利益と救済のために都市機構も大阪府も茨木市も奉仕するのは間違っています。景気の回復がまったく見えない中、事業終了期限までになんとか手をつけてしまおうと拙速で無謀な計画の強行は必ず失敗し、失敗のツケは国民・府民・市民が背負うこととなります。これ以上傷口を拡げてはなりません。事業の中止を強く求めます。市長の答弁を求めます。

山麓線と区域外国文3号線については、府と機構による施行分がこの先どう進展するかもあやふやでわかりません。東部は中止、中部も現在の経済情勢下ではきわめて不確かです。今後当該部分つにいて機構が負担しないということになれば、その多額な負担は茨木市に覆い被さってくることになります。あらためて都市計画道路山麓線および国文3号線整備の緊急性・優先性が問われています。茨木市もこれ以上の用地購入は中止した上で、事業そのものを見直しするべきです。答弁を求めます。

市内路線バスの問題について、昨年7月に近鉄バス春日丘線の事前通告無しの減便など、利用者サービスの後退があり、それに対して春日丘地域に住んでおられる住民の有志が2000名近いサービス向上を求める請願署名を集めて、今年の2月23日に、近鉄バス本社と国土交通省近畿運輸局に提出し、話し合いももたれました。また3月5日にも近鉄バス本社と住民有志の間で再度の話し合いももたれました。住民の個別の要望に対する議論はともかく、ここで総括的に議論になったのは、「地域公共交通会議」設置の問題です。近畿運輸局では担当部署である旅客第2課課長が出席しましたが、「『規制緩和』で、事業者のサービス変更の地元自治体への事前通告は法的にはなくなった。しかしその補完措置として、「地域公共交通会議」が法制化された。近畿の大阪をのぞく府県の自治体ではすでに、ほとんど設置されている。大阪府下自治体は現在、豊能町1箇所だけであり、必要性や緊急性が相対的に低いことと地元自治体への新たな財政負担の危惧があって消極的であるということ。しかし20年度は新たに大阪府下でも6市町で検討されている。ぜひ積極的に取り組んでほしい、住民からも声を上げてほしい」との事でした。近鉄バス本社は、住民の個別の要望には消極的ですが、地域のバス路線の維持や充実の問題を共同で検討する場としての「地域公共交通会議」の設置には前向きです。まず近畿運輸局の意向を直接、茨木市としてヒアリングする必要があると考えますが、見解をお聞かせ下さい。
近鉄バス本社は「たとえば茨木市として、新たなバス路線の新設の要望があるなら、個別の事業者に言うのではなく、「地域公共交通会議」を設置して、関係事業者や利用者、国や府や関係行政機関も一同に集まって議論するのが早道とのことでした。茨木市内運行の関係事業者に「地域公共交通会議」設置の意向について、非公式にヒアリングする必要があると考えますが、見解をお聞かせ下さい。

 

(野村市長) 先ほども答弁いたしましたとおり、市の市政の展開というものは、やはり子育て、あるいは福祉、あるいは教育、産業、さまざまな面がございますが、本市の将来を見据えたまちづくりも重要な事項でございます。

 本市にとりまして、彩都開発につきましては、非常に重要な事業でもあり、また、総合計画に大きく位置づけられている事業でもございます。そういった意味で、財源をバランスよく配分したというのが今回の21年度予算でございますので、決して矛盾をしているとは考えておりません。

 

(松田市理事) 今回、彩都の土地区画整理事業の事業計画を変更いたしまして、その際の事業予定額の圧縮は幾らかというふうなご質問でございますが、彩都全体の事業費で変更前、約3,650億円が変更後、約2,904億円に変更されまして、トータル約746億円の減額になったというふうに聞いております。

 なお、地区別にどうであったかという数字につきましては、把握はいたしておりません。

 それと、彩都事業、西部地区につきましては圧縮、中部地区につきましては中止をと、こういうことについて市の見解をという趣旨のご質問でございますが、先ほども答弁申しあげましたように、西部地区では、ほぼ造成工事が完了しておりまして、まちづくりが進みつつある。それから、中部地区では企業の進出意向も確認され、関係者が事業推進に向けた取り組みを進めているというふうな状況にもありますので、彩都事業を圧縮なり、中止をするというふうな考え方はございません。
 以上です。

(梅田建設部長) まず、山麓線と国文3号線の関係なんですけども、先ほどもご答弁させていただいておりますが、これにつきましては、本市としては現在の動向を注視して、歩調を合わせてまいりたいというふうに考えておりますので、よろしくお願いをいたします。

 それと、地域公共交通会議の設置の件でございます。近畿運輸局等とのヒアリングの関係でございますけども、現在、近畿運輸局とは、以前から府下の設置状況等につきましてヒアリングをしておりました。今後とも協議、調整をしていきたいというふうに考えております。

 また、現在、市内のバス3事業者、阪急、近鉄、京阪のほうとは、この関係で意見交換を現在しておるという状況でございます。

 以上です。  

 

(3問目)) それでは3問目、各地区別の彩都開発の事業費については、ぜひ、次の機会もありましたら、ぜひお聞かせ願いたいと思いますので、地区別の事業費の新計画での把握に努めていただきますよう、よろしくお願いいたします。

 また、彩都地区全体の問題について、これまでの答弁でも改めて、結局のところ、本音は市税収入が落ち込む中でも破たんしている、この大型開発を推進するためなら、市民の生活は置き去りの市政であると断ぜざるを得ません。市政の転換を図るべきです。

 現在の市民に痛みを押しつけて、また、将来、大型開発の失敗のツケを市民に負わせてはなりません。あれもこれもという言葉がありますが、あれもこれも押しつけられたら、市民はたまったものではありません。市財政が苦しいといって、今、不況の直撃を受けている市民から、さらに絞りとって、何の益があるというのでしょうか。市長は現下の市民の暮らしや家計について、どのように想像しておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。直ちに彩都開発の計画は見直し、凍結の態度をとるべきと重ねて強く意見を出します。

 次に、市内バス路線の問題については、いずれにしても道路運送法の改正、地域公共交通活性化法の制定、これからの地方交通の維持改善について、このままバス事業者と住民と市がばらばらに行動していれば、市内のバスの路線の地盤沈下がどんどん進んでいくということを危惧しております。

 国は、事業者と地元自治体に課題の解決を責任転嫁してるような意図も今の法整備には見られるんですけれども、財政負担を負わされることを恐れて交通会議に消極的では、ちょっとまずいと思います。是々非々で取り組む必要もあると考えますが、これは市長の見解をお聞かせいただきたいと思います。

 3問目は以上です。

(野村市長) 市民の厳しい生活から考えて、彩都事業の転換を図るべきではないかと、あるいは凍結を図るべきではないかというご質問だったと思いますが、先ほど来、答弁いたしておりますとおり、彩都開発は本市のまちの発展にとって重要な施策と考えておりますので、今後とも推進をしてまいりたいと考えております。

(山本副市長) バス路線に関しての地域交通会議の設置についてでございますが、近畿運輸局並びに今、運行していただいている3事業者については、従前からいろいろ議会でのご指摘もありますので、それを受けて、それなりに働きかけてやっておるという状況でございます。

 財政的な負担を避けて、それを延ばしていると、こういうようなご指摘ですが、決してそういうことではなしに、この交通会議というのは、それぞれの関係者が寄り合って、それぞれの立場での物言いができるということであります。したがいまして、事業者が今、路線の廃止、あるいは減便とかルートの変更とか、いろいろこのところ言うてきておるわけですが、こういうことについても、その中で取り上げられれば、かなりスムーズに、そのまま行ってしまうというようなこともあるわけです。

 我々は、あえて申しあげてはおりませんけれども、それぞれのそういう申し出のあった場合には、できる限り市内のバス全ルートを考えて、1路線のことだけではなしに、市内のバスの収益全体を考えた中での判断をしてくれと、こういうふうな立場で、常に申しあげてるわけでして、決して一方的な向こうの話を唯々諾々と受け入れてるというようなことではなしに、交通会議を設置した場合には、そういうことも一方であるということが現実ですので、そういったことで慎重に打ち合わせをしていると、こういう状況であります。

 いずれにいたしましても、近畿運輸局のほうでも、そういったご判断を出されてるということですので、設置については前向きに考えていきたいと思っております。

 


(介護反対討論)

議案第22号茨木市介護保険条例の一部改正即ち介護保険料の引き上げ等について、あわせて議案第52号大阪府茨木市介護保険事業特別会計予算について、一括して、日本共産党茨木市会議員団を代表して反対の立場から討論を行います。

 介護保険制度は今年4月には制度開始から10年目を迎えます。この間、介護サービスの総量は増えましたが、社会保障切り捨ての「構造改革」のもとで負担増や「介護とりあげ」がすすみ、家族介護の負担は重く、一年間に14万人が家族介護のために仕事を辞めています。高い保険料・利用料を負担できず、制度を利用できない低所得者も少なくありません。介護を苦にした痛ましい事件も続いています。ところが、現在の介護保険は利用が増えたり、労働条件を改善すれば、ただちに低所得者までふくめて保険料・利用料が連動して値上げされるという矛盾を抱えています。3年毎に保険料は値上げされ、すでに平均で月4000円以上の高額となっています。そのため、政府自身も、人材不足の改善のため4月から介護報酬を引き上げるにあたり、保険料値上げを抑えるために、これまで自治体にはきびしく禁じてきた介護保険会計への一般財源の繰り入れを決めました。従来の枠組みの破たんは明らかです。

 こうした中、本議案および特別会計予算案に反対の理由の第一は、今回の保険料の引き上げが、高すぎる保険料負担にあえいでいる被保険者にさらなる負担を押しつけようとしているからです。

 今回、第三期につづいて、基準保険料が値上げの提案となり、これでは3期連続の値上げとなります。今、米国発の金融危機から端を発した世界不況が、国内においては政治災害と言われる底なしの深刻な不況となって市民の生活を直撃しています。また、この間、とくに高齢者に対して強行された公的年金等控除額の引き下げをはじめとする課税強化は、介護保険料にも連動し、年金収入は変わらないのに、自動的に保険料段階が上がってしまい、第三期において2度も実質保険料値上げの被害を被っている第一号被保険者が3000人以上存在するのです。今回の提案は平均月額にして30円と一見小幅に止まっているように見えますが、内実はこうした2度目の理不尽な値上げも前提として含まれているわけです。これは第三期においては当初の保険料徴収予定額を3億7700万円も上回る保険料が徴収される事態を考慮しても市民への影響は重大であるといわざるをえません。昨年12月議会に2万7千筆あまりの国保料・介護保険料の引き下げ等を求める請願署名が市民から提出されたことからも明らかなように、市民は高すぎる保険料負担にあえいでおり、今や切実に保険料の引き下げが求められています。

さらに、その負担内容を所得段階別にみると、第三期の6段階から、新たに8段階、第四期での3年限りの特例第四段階を含めると実質9段階に細分化され、新・第四段階特例で年額46164円から41872円、新第五段階では年額57705円から51176円と、それぞれ4292円と6592円負担は一部軽減されるものの、こうした段階に属する被保険者の中には税制改正の影響で所得段階が自動的に上がってしまった人が含まれ、そうした市民にとっては第四期でもそれぞれ段階が上がったままということになります。また新第8段階では年額69246円から81417円と12171円の大幅値上げとなります。

 低所得者の保険料負担を軽減するため、国は保険料段階設定について市町村が条例により区分数、保険料率等について弾力的に設定できるようにしました。他市の例にもあるように、当然本市でも、独自に工夫して所得段階を更に細分化するなど、とくに低所得者や税制改正により自動的に段階が上がった層への負担軽減を図るべきであるにもかかわらず、市は国の示したモデル段階に従うのみで充分考慮しなかったのは、そうした方々に対する配慮があまりにも欠けると言わねばなりません。

 反対する理由の第二は、標準給付費約338億円および地域支援事業費約10億円で合計348億円と過大な見込みを根拠にまたしても保険料の引き上げをしようとしているからです。

第3期の介護保険料基準額算定の標準給付費および地域支援事業費見込み額と実績額を見ると、3年間合計で計画見込み約290億8千万円に対し実績は276億6千万円と、14億2千万円も下回っています。結果、第三期に保険料抑制のために取り崩すと約束していた1億9500万円の給付費準備基金もほとんど取り崩すことなく、かえってさらに2億円もの積み増しが生じ、第三期末で基金積立額は9億6000万円にふくれあがる見込みです。計画値と実績のずれの主な原因は、この間、国と市が一体となって行ってきた制度改悪と給付の抑制があります。ちなみに第二期においても15億5千万円も実績が計画値を下回りました。このような実績状況からみても、第4期の介護保険料基準額算定の基礎となる標準給付費及び地域支援事業費見込み額の約348億円は金額で約72億円増、率にして26%増としており、過大見積もりは明らかです。また4月から導入が予定されている新要介護認定方式と調査基準の変更が実施されれば、またしても介護認定の軽度化に拍車がかかることが予想され、報酬改定についても「加算方式」という仕組みであることを考え合わせると、なおさら過大見積もりと言わねばなりません。もっと適正な見込み額にして、保険料の値下げに踏み切るべきであります。

 反対する理由の第三は、保険料抑制のために、給付費準備基金積立額の適正な活用がはかられていないからであります。

第3期介護保険料基準額算定にあたり、7億8000万円の基金積立額から1億9500万円の取り崩しを予定しましたが、3000万円の繰入れに終わる見込みです。つまり第二期末までに取りすぎた保険料が3年越しでほとんど還元されないまま第四期を迎えようとしているのです。今回、第三期末の基金積立額は約9億6000万円を見込んでいますが、第4期保険料算定にあたり、市は3年間で7億6000万円の取り崩ししか予定していません。なによりも基金全額を保険料抑制に活用すべきです。基金をすべて保険料抑制のために活用すれば、基準保険料で月額107円値下げができます。そもそも基金積立額は、第1号被保険者より取りすぎた保険料です。市は基金の中には国からの交付金も残っていると説明していますが、これは当時、介護保険スタート時にさまざまな特別対策について保険料負担となって跳ね返らないよう交付されたもの、つまり第一期の内に繰り入れて活用されることを前提としたものであり、未だに還元されずに残っていることがおかしな話です。さらに、「給付費準備基金」というのは、三年を一期として見込みを立てる介護保険制度において、初年度は給付費が伸びないためにどうしても余ってしまう保険料を一時的に基金に積み立て、給付費が一定伸びてくる三年目に取り崩してあてるという制度設計から用意されたものであり、本来なら三年一期の期間内での運用を前提としているものです。三年が終わってもなお基金が余っているとしたら次善の策として取りすぎた保険料はせめて次期保険料抑制のために全額活用すべきであります。国も「介護保険制度は、計画期間内に必要となる保険料については各計画期間における保険料で賄うことを原則としており、保険料が不足する場合には財政安定化基金から貸付等を受けることができること、また被保険者は死亡、転居等により保険料を納めた保険者の被保険者ではなくなる場合があること等から介護保険給付費準備基金については、基本的には次期計画期間において歳入として繰り入れるべきものと考えている」としています。不測の事態に対しては今や193億円までに積み上がった府の財政安定化基金を利用する制度設計なのであり、その上わざわざ2億円を残しておく必要はありません。第四期の保険料算定に当たり大阪府下でも少なくとも15の自治体が給付費準備基金の全額取り崩しを予定しています。

 反対の理由の第四は、低所得者への実効ある保険料の軽減、また利用料についても市独自の軽減策の拡充創設が図られないからであります。

今回予定保険料収納率98.5%とし、所得段階別加入者割合補正後被保険者数を3年間で延べ160,329人と見込んでいますが、予定保険料収納率98.5%として、実際に保険料を納められる人は、157,924人と算出しています。結局、滞納ないし未納者が3,035人あると予想、その影響額・滞納額は約1億4千万円と予想されます。この滞納額・不納額は65歳以上の1号被保険者の保険料に上乗せされて、保険料引き上げにつながっていますが、これを避ける方策として基金を生かすなどの必要があります。本市の保険料軽減制度は存在はするものの、対象は第三段階の被保険者に限られ、適用者数も非常に少ないのが実状です。基金を活用して、全国で更にひろがっている、料率を0.5以下に低減するような低所得者への実効ある保険料軽減制度へと改善するとともに、ホームヘルプ利用者の負担軽減、ホテルコスト等の一部助成、生活困窮者に対する総合的な減免などサービス利用料の市独自の軽減策の拡充創設を強く求めるものです。

 以上の4点の理由をのべ反対する立場からの討論といたします。

 


(国保反対討論)

議案第24号茨木市国民健康保険条例の一部改正について、および議案第49号大阪府茨木市国民健康保険事業特別会計予算について、一括して、日本共産党茨木市会議員団を代表いたしまして、反対の立場から討論を行います。

いま、深刻な景気悪化のもとで、大企業が競い合って「派遣切り」「期間工切り」をすすめ、きわめて深刻な社会問題を引き起こしています。三月末にはこうした職を取り上げられた人々がいっせいに国保に流れ込んでくるのではと予測されています。危機的な景気悪化から脱却し、内需主導へと経済の体質転換を図るには家計を温める施策を推し進めることです。そのための方策して日本共産党は代表質問でも申し上げましたように国が実施するべき5つの提案を行っていますが、墜落するような不況を表して政治災害であると言われる中で、今ほど自治体においても国の悪政からの防波堤となることを求められているときはありません。

 こうした中、本議案および新年度国民健康保険特別会計案に反対する理由の第1は、平成21年度の国民健康保険料について、20年度に比べてほとんどの世帯において国保料が引き上げとなるからであります。

 本年2月開催の国民健康保険運営協議会で示された平成21年度保険料の仮算定においては、均等割は据え置き、世帯毎の平等割は年額140円引き下げとなったものの、所得割率が7.85%から7.94%と引き上げられ、この影響でほぼ全階層にわたって保険料の値上げが行われることになります。また今回あわせて昨年に引き続く賦課限度額の3万円引き上げにより2人世帯の基準所得590万円以上の世帯にとっては所得割と限度額引き上げによりダブルパンチの値上げとなります。運営協議会に示された数値はあくまで平成19年度の基準総所得を元にした試算額であり、本算定の確定数値は6月を待たねばなりませんが、今、国内を襲っている大不況の影響は昨年下半期から市民の家計を直撃しており、賦課総額算定の基礎となる平成20年度の基準総所得は19年度と比べても悪化することが十二分に高いと予想されます。総所得が下がれば、賦課額はほとんど変わりなくとも、所得割率は上がらざるを得ません。蓋を開けてみれば仮算定以上の値上げが待っている可能性が高いのです。大不況に加えて、他の社会保険に比べても、加入者の負担能力からしても高すぎる保険料の一層の引き下げがこれまでよりさらに求められていると考えます

反対する理由の第2は、今、切実に求められている少しでも保険料を引き下げのための一般会計からの法定外繰り入れについて、市の努力が不十分であるといわざるを得ないからであります。

 平成20年度当初の国保会計予算では、料金抑制のための一般会計からの繰り入れについて、従来からの市の姿勢を大幅に後退させ、一人あたり6800円という桁違いの水準にまで落ち込みました。ところが、昨年4月の後期高齢者医療制度の導入にともなう変更により、当初国の示す理論値通りの算定を行ったものの、結果として算定式における諸係数の変更により、収入に差異が生じて、大幅に赤字が出る見込みとなり、本議会における補正予算で5億9千万円の追加繰り入れを行うことになりましたが、国の制度変更のおかげで自治体の国保会計が危機に陥れられてしまったのであり、市としてしっかり財源補填せよと国に求めるべきであります。新年度予算においては、これまでどおりの姿勢に近い一人あたり14500円の繰入額を予定しているものの、さきほど述べた医療制度の変更により、75歳以上の高齢者が国保から脱退し、一方で、退職者医療制度の廃止であらたに一般被保険者として加入してきたことにともない、法定軽減額が減少し、平成19年度と比較しても、20、21年度は法定繰り入れの内、市負担部分も一定軽減される見込みであり、そのぶん、法定外繰り入れとして回せる余裕が生じるはずですし、また一般財源の歳出の優先順位から見てもさらなる努力が当然であります。

反対する理由の第3は、国保料滞納者に対するペナルティーが、あまりにも過酷な事態となっていることを改める姿勢が市に見られないからであります。

 代表質問の答弁によると、本年2月末現在で、本市の短期保険証交付は3497件、資格証明書交付は1230件、差し押さえ件数は、預貯金が62件となっており、とくに資格証明書交付については、北摂他市と比べても、本市の対応は、この間、少しずつ減少はしているものの、いまだ突出して強硬なものとなっています。その割には、滞納率は、吹田、高槻、箕面市等を上回っており、市は資格証の発行により滞納率は下がっていると主張するものの、他市では資格証の発行に頼らずにそれ以外の努力に重点を置くことにより滞納率を茨木市より押さえ込んでいることが伺えます。

 大阪府では100人あたりの年間レセプト件数は資格証世帯は11.66ポイント。それ以外の世帯は794.1ポイントと実に68.1倍もの受診抑制が発生しているとの調査結果が出ています。資格証を発行すれば窓口負担いったん10割を払う余裕がとうていあるはずもなく医者にいかないですまそうとする現実が端的に現れています。新聞等の報道でも、受診抑制の結果、重症化し、ときには死に至ってしまったという記事は後を絶ちません。

 法改正で資格証明書は発行することが「出来る」規定から実質「発行するものとする」という規定に変えられました。しかし自治体はがんじがらめに縛られているのではなく、「特別の事情」があれば資格証発行対象から除外できるという自治体の裁量の余地が残されています。これこそ地方自治の発揮のしどころです。国からの事務連絡では、資格証を発行されていても、被保険者が医療を受ける必要性や医療費の窓口一時10割支払いが困難なことを国保の担当窓口に申し出れば、小・中学生のこども以外の人にも短期証の交付が出来る考えを示しています。

 全国では551の市町村、全体が1781市町村ですから、実に三分の一に当たる自治体が裁量に任された特別の事情の解釈を柔軟的に運用して資格証の発行数をゼロにしており、発行ゼロの自治体は決して珍しくないという流れができつつあります。すぐお隣の京都では資格証ゼロ自治体が6割以上であり、政令市でもさいたま市と広島市がゼロ自治体に転換しています。こうした自治体は、国民健康保険制度が法第一条に規定するように、まずは社会保障制度であるということに重きをおいて、受診抑制という悪質な副作用のある資格証発行という手段を取らずに保険料納付機会の確保に努力しているのではないでしょうか。

 厚労省が発表した平成18年度の収納率向上を果たした自治体の取り組み分析において、収納職員の増員や応援態勢の実施、徴収嘱託職員の採用や増員等徴収体制の強化、滞納処理の積極的な実施が挙げられていますが、資格証発行は挙げておりません。また長期的に見ても資格証発行が義務づけられて以降も収納率はあがるどころか低下傾向にあります。

 保険者は、資格証明書の交付を機械的・画一的に行うのではなく、被保険者の生活実態等を十分把握した上で、個々の事例に応じ、特別の事情の有無を適切に判断することが求められており、他市では資格証発行に至るまで実に様々な取り組みを講じて収納率向上の努力を重ねており、その上でなお、命と健康を質に取る資格証発行はゼロ、または限りなくゼロに抑制するという決断を下しているのであり、茨木市もその立場を選択すべきであります。

反対する理由の第4は、本市の保険料減免制度が制度としても運用においても不十分だということです。

 現在の国保加入者の多くが、年金暮らしの高齢者や、企業による無法なリストラなど、社会保険からの離脱者、不安定雇用の若年層などが多くの割合を占めるようになりました。また、滞納者の多くが低所得者層に集中しているという傾向も見られます。保険料が高すぎて、払いたくても払えない被保険者に対して、もっと利用しやすい減免制度に拡充すべきであります。

ところが、市は、減免制度について、法定軽減制度とは趣旨も対象も異なるにもかかわらず重複適用にきわめて消極的であり、要綱では市長が認めれば重複適用の余地がある規定をしているのにもかかわらず、ホームページ等市民に対する周知では最初から重複適用できないような市民の誤解を招く説明をおこない、結果、実績としても重複適用はゼロとなっています。これについて市の答弁では、減免制度について、「こちらから門戸を拡げて、さあ、いらっしゃい」というものではないと言い放ちました。災害、倒産、失業など劇的な変化により収入が激減した際に、つまり市民がもしやの危難に直面したときに、せめて保険料を減免する制度であるはずです。「困ったときには、さあ、来てください。市がしっかり支えます。」と、市民にしっかり知らしめるのが基礎自治体である市の本来取るべき態度ではないでしょうか。市民の目線にたった運用に改めるとともに、制度内容についても制度の趣旨に沿ったきめこまかな対応ができるよう改善・拡充すべきであります。

 今や、本市の三世帯に一世帯が国民健康保険加入世帯であります。今日の国保財政の危機的状況は、国庫負担削減とあわせ、不安定雇用拡大、経済・社会情勢の悪化にともない引き起こされたものであり、その背景には、貧困と社会的格差を広げている構造改革路線にあることが明白であります。いたずらに相互扶助の精神や保険原理をふりかざすのではなく、国民健康保険制度が、憲法25条に定められた生存権を具現化する社会保障制度であるという原点に立ち戻った国保行政に改めることを強く主張するものです。

 以上、反対の理由4点を申し述べ、両議案について反対の討論といたします。