[畑中たけし] 平成21年6月定例市議会 本会議質疑

◎分譲マンション支援施策の充実について

◎彩都のまちづくりについて


◎議案第66号大阪府茨木市一般会計補正予算(第二号)について

(一問目)大きな一つめとして、茨木市の分譲マンション管理に対する支援施策の充実についてお尋ねします。

 第1に、分譲マンション管理に対する国の動向について、お尋ねいたします。

 2006年6月、住生活基本法が成立し、その中で、マンション政策については、住生活基本法の精神を踏まえると、良質なストックの蓄積という観点からとらえようとしています。また、同じく法に基づいてつくられた住生活基本計画では、具体的目標として、25年以上の長期修繕計画に基づく修繕積立金額を設定している分譲マンション管理組合の割合を20%から50%に引き上げるとし、共同で管理が必要な分譲マンションについて、適切な維持管理及び計画的な修繕を促進するため、マンション履歴システムの普及を図るとともに、増築、改修や建て替えにより、老朽化した分譲マンションの再生を促進するとしています。また、新たに国土交通省住宅局市街地建築課内にマンション政策室も設置されました。
 以上のように、国の分譲マンションに対する支援施策の充実については、大きな前向きな変化があったと理解しておりますが、この点について、茨木市の見解をお尋ねいたします。

 第2に、分譲マンション管理の支援施策充実の地方自治体の動向について、お尋ねいたします。

 同じく国土交通省は、社会資本整備審議会に分譲マンションストック500万戸時代に対応したマンション政策のあり方についてを諮問し、本年3月に答申を得ました。答申の中の地方自治体の取り組みの項では、「大都市圏を中心として、多くのマンションが存在する地方公共団体では、区分所有者等を支援するための取組みを行っている」と。「実態把握の取組みとしては、定期的に域内のマンションの実態を把握するための調査を実施し、又は、マンションの管理組合登録制度を設けている地方自治体がある」と。また、「情報提供や苦情相談のための対応としては、地方公共団体の内外に相談窓口を設置し、マンション管理士等の専門家団体と連携して相談会や説明会等を実施しているほか、ガイドライン、マニュアル等を作成している例がある。また、一部の地方公共団体では、管理や建て替えに関する専門家をアドバイザーとして派遣している」。さらに、改修や建て替えに対する支援としては、「相談窓口の整備等のほか、耐震診断・耐震改修・建替えに対して補助や融資、利子補給等の支援を行っている地方公共団体がある」としています。
 こうした地方公共団体の先進的な取り組みの例や分譲マンション管理等に、国や地方自治体が政策的に関与することについての意義について、茨木市はどのような見解を持っておられるのか、お尋ねいたします。

 第3に、茨木市の分譲マンション管理の支援施策の現状について、お尋ねいたします。

 茨木市の分譲マンションは、約210か所、総戸数約2万2,000、推定居住人口約5万2,000人とされています。いずれにしても、全人口の5人に1人は分譲マンションに居住しているという計算になります。中には1970年代初めに建設されたものも相当あります。したがって、約40年経過しています。こうしたマンションは老朽化とともに、高齢化、単身化、賃貸化など、多くの問題を抱えています。
 そこで、茨木市の実態把握の現状と施策内容の現状について、お尋ねいたします。
 いずれにしても、茨木市としてマンション管理組合登録制度の採用と実態把握のための詳細な調査の実施が不可欠であると考えますが、見解を求めます。

 大きな2点目として、彩都のまちづくりについて、お尋ねいたします。

 第1に、彩都土地区画整理事業の現状について、その認識について、お尋ねします。

 2008年度、昨年度の西部地区の土地区画整理事業による保留地と都市機構所有の仮換地の処分状況ですが、茨木市の水道施設用地約0.7ヘクタールと、箕面水道施設用地0.2ヘクタールの処分を除くと、民間への譲渡処分はゼロであります。機構は急激な経済情勢の悪化を理由にしていますが、破綻の状況は明白です。譲渡価格も茨木市水道施設用地の場合は、1平方メートル当たり約5万円と大幅に地価が下落していることが推測されます。
 こうした傾向は長期に続くものと予想されます。もとより区画整理事業の成否は、事業費の財源を生み出す保留地の処分の状況によって決まってきます。すなわち保留地と機構所有の仮換地の処分状況は、当然、茨木市の財政へも、新住民の生活環境、個人地権者の土地利用にも多大な影響を与えます。茨木市として、現状に対する認識とその打開策について、どのように考えておられるのか、お尋ねいたします。

 次に、彩都中部地域の開発についても、お尋ねします。

 第2に、中部地区の進出事業所エントリー募集について、お尋ねします。

 西部地区の現状からすれば、中部地区への開発促進がいかに無謀で、見通しのないことかは明白です。それだけではなく、そもそも中部地区は、文化・学術交流拠点として、国際文化公園都市のシンボルゾーンとして位置づけられてきた地域です。それを投げ捨てて、工場も物流施設も何でもありというのなら、まず、国際文化施設という看板をかけかえるべきではないでしょう。
 また、具体的な区画整理事業の計画や用途地域造成計画の変更、具体的な議論もないままに、既成事実がつくられていくのは問題です。また、西部地区に居住する住民の生活環境にも影響を与える可能性も少なくありません。茨木市の認識について、お尋ねいたします。

 第3に、彩都西部地区箕面市域の機構所有仮換地への20年間借地による岡山県美作市の農林産物直売所の開設について、お尋ねいたします。

 開設位置は、厳密には箕面市域ですが、茨木市域とも接しています。当面は彩都内居住の茨木市民への影響は避けられません。そこで、彩都内の彩都西モノレール駅前の商業施設の現状ですが、開設以来、進出商業施設の撤退が相次ぎ、営業中の商業施設もピーク時間でも閑散としており、このままでは住民の生活の利便性にも深刻な影響も与えかねません。現状についての認識をお尋ねします。
 こうした中で、岡山県美作市の農林産物直売所の開設というわけですが、農家所得の向上、観光産業のPR拠点、都市との交流によるコミュニティ活動の拠点として、国の補助事業として、都市に直接進出して、都市の農業団体や消費者団体とも協力して、事業を推進するという意義は十分に理解できるものですが、彩都内に開設するのは、慎重に検討する必要があります。
 開設は10月初旬としていますが、機構や開設者から、これまで茨木市に対して、どのような説明が行われてきたのか。また、茨木市は、直売所開設による彩都内の商業施設への影響について、どのような認識を持ち、対応してきたのか、お尋ねいたします。

(大塚都市整備部長) 分譲マンションについて、お答えいたします。
 まず、国の動向でございますが、老朽マンションの増加に対応し、区分所有者によるマンションの建て替えの円滑化を図るため、区分所有法が改正されております。また、マンションの建替えの円滑化等に関する法律が、平成14年に施行されておりまして、全員合意から5分の4の合意による建て替え、あるいは権利返還手法による事業化などの環境整備が一定、進んできているというふうに理解をいたしております。
 また、住宅の価値をできる限り保全をし、ストックとして活用していくという視点も非常に重要でございますので、長期優良住宅制度なども設けられているところでございます。
 いずれにいたしましても、既存マンションの老朽化も進んでまいります。したがいまして、今後、適切な維持管理、あるいは将来の建て替えに向けた区分所有者の合意形成、資金の確保等の対策は住宅政策として重要なものと認識をいたしております。
 2点目の地方自治体の関与についてでございますけども、区分所有というマンションの特性を踏まえますと、将来課題となります建て替え等を円滑に進めていくためには、特に課題となります合意形成に向けて、身近な団体であります地方自治体が情報提供、あるいはアドバイス等の一定の関与をしていくことが求められていくというふうに考えております。
 市といたしましては、既に大阪府、大阪府住宅供給公社、財団法人マンション管理センター、また、本市を含む市町村等で設けました大阪府分譲マンション管理・建替えサポートシステム推進協議会に加入し、この協議会におきまして、情報提供や幅広い相談に総合的に応じる相談アドバイザーの派遣並びに耐震性能の調査診断、修繕・改修計画、さらには建て替え計画等の検討等に専門的な立場からサポートする実務アドバイザーの紹介等を行っているところでございます。加えて、本市におきましても、担当職員によります建て替えに関する相談、技術的支援に努めているところでございます。
 3点目の本市の分譲マンション支援施策の現状についてでございますが、区分所有者による適正な維持管理が行われることが重要でございますので、本市独自の取り組みとして、市内の約210棟の分譲マンションの管理組合を対象に、昨年11月に茨木市分譲マンション管理組合連合会の設立をいたしました。この連合会におまして、大規模修繕や改修、日常管理等に関する講演会、勉強会、また各種補助制度等の情報提供を行っており、支援の充実を進めているところでございます。
 また、連合会の活動の中で、それぞれのマンションが抱える実態、あるいは課題等について、把握できるものと考えております。

(松田市理事) 彩都に関するご質問にお答えをいたします。
 まず、保留地等の処分状況と土地区画整理事業の現状に対する認識についてでございますが、彩都の土地区画整理事業における保留地等の処分状況につきましては、都市再生機構の経営に関することであり、市として把握する立場ではございませんのでコメントは差し控えますが、現在、西部地区につきましては、地区の約90%に当たる約290ヘクタールが工事に着手しており、これまでの人口の定着状況や施設の立地状況を踏まえますと、順調にまちづくりが進んでいるものと認識しております。
 また、保留地等の処分の関係で、これまでに市の財政、住民の生活環境や地権者の土地利用に影響を与えたような事項はございません。
 次に、中部地区の開発についてでございますが、中部地区につきましては、昨年度末に、これまでのコンセプトである自然文化学術の振興とあわせて、産業都市構造などの社会経済情勢の変化を踏まえ、ライフサイエンス分野やイノベーショナルな企業の集積により、産業の活性化を図ることなどを盛り込んだ開発整備の基本方針が、大阪府や都市再生機構などの関係者間で確認されたところでございます。
 この基本方針は、シンボルゾーンとしての基本理念を継承した上で、時代のニーズを踏まえて、新たな考え方を追加するものであり、彩都のまちづくりコンセプトに整合しないとは考えておりません。
 市といたしましては、この基本方針を受けまして、現在、大阪府と連携を図りながら、必要な都市計画の変更内容を検討しております。
 また、土地区画整理事業の事業計画や造成計画の変更内容につきましては、都市再生機構において検討されていると聞いております。
 なお、この基本方針を実現する上で、西部地区住民の生活環境に影響が生じることはないとものと考えております。
 次に、駅前商業施設の現状についてでございます。モノレール彩都西駅前の商業施設につきましては、一部の店舗で入れかえや撤退する例が見られ、将来のことを心配される声もお聞きはしておりますが、今後、西部地区の茨木箕面丘陵線西側の地域や箕面市域での入居が始まり、人口が増加していく中で、一定の店舗需要は維持されていくものと考えております。
 次に、美作市の農林産物直売所開設の経過と影響についてという点でございますが、岡山県美作市の農林産物直売所につきましては、昨年の段階で、美作市や都市再生機構から彩都の箕面市域で開設を計画しているとの説明を受け、茨木市域の駅前施設の現状も認識してもらうよう、申し入れを行ったところであります。
 また、この直売所の開設に伴い、既存の駅前商業施設にどのような影響があるかにつきましては、現時点で予測することは困難でございます。
 以上です。