[畑中たけし] 平成21年12月定例市議会 本会議質疑・討論

◎議案第102号大阪府茨木市一般会計補正予算(第5号)09.12.09

  ○公契約条例の制定について

  ○使用料・手数料の見直しについて

  ○子育て支援施策の拡充について

◎請願第1号「乳・幼児期から学童期までの保育・学童保育、子育て支援施策の拡充を求めること」について(賛成討論)09.12.17


◎一般会計補正予算質疑(09.12.09)

[一問目]大きな1点目として、公正な契約と委託先労働者の賃金等労働条件の確保のための公契約条例の制定を求める立場から、お尋ねいたします。

 本年9月に千葉県野田市において、全国で初となる地方自治体による公契約条例が制定されました。当市会議員団も野田市を訪問して、野田市版の公契約条例制定にかかわる事項について、勉強してまいりました。今回はそれも踏まえて、お聞きいたします。

 従来、価格だけを評価して業務委託先を選定する入札制度は、下請業者へのしわ寄せや従事する労働者の低賃金をはじめとした、さまざまな公正労働の問題を引き起こしてきました。当議員団は、入札制度の大きな問題点として、公共事業、物品購入をめぐっての業者との癒着、口利きなどの談合と、そして、ごみ収集、施設管理、庁舎メンテナンスなどの業務委託契約の入札時に不当に安い価格で落札するダンピングをあげ、問題の解消を求めて、これまで何度も質疑してまいりました。

 現在の入札制度は、基本的に可能な限り安い価格で調達することで、税金のむだをなくすという考え方に基づいたものですが、結局、価格というファクターに偏重して業者を選ぶ手法が労働者の労働条件の劣悪化につながっています。 茨木市でも、昨年から総合評価入札制度が導入され、価格だけで入札を決定するのではなく、価格以外の要素である技術的評価、公共性評価が判断の50%を占めるなど、一定の取り組みがなされています。特に、公共性評価では、障害者雇用率、男女平等参画の取り組み、パートタイム労働者の雇用改善取り組みなど、雇用に関する配慮項目も加えられていますが、下請業者や委託先労働者の賃金等労働条件の確保までしっかりと担保するというところまでには至っていません。

 自治体が自治体の責務として公正労働基準、環境や福祉、男女平等参画になどにかかわる政策を推進するためには、公契約入札を希望する企業にも、このような社会的価値の実現に向けた取り組みを実現することが必要です。従来の価格入札から脱皮して、社会的価値の実現を図るための政策入札に転換していくために、自治体がどのような社会的価値を追求するかを基本条例で宣言する、こうした社会的価値の実現をするための茨木市による公契約条例制定についての見解を改めてお尋ねいたします。

 第2に、野田市の公契約条例では、条例の冒頭に理念や市の決意が示されており、低賃金問題の改善については、「公平かつ適正な入札を通じて豊かな地域社会の実現と労働者の適正な労働条件が確保されることは、ひとつの自治体で解決できるものではなく、国が公契約に関する法律の整備の重要性を認識し、速やかに必要な措置を講ずることが不可欠である」との考えのもとに、2005年に公契約法の早期制定を全国市長会を通じて要望してきたとのことですが、茨木市は、全国市長会の決議として決定される過程で、賛同したのか、異議を唱えられたのか、どのような態度をとられたのか、お尋ねいたします。

 第3に、野田市から茨木市に対しても、趣旨に賛同して同様の取り組みをしてほしいとの資料つきの要請文書が送付されていますが、座して待つのではなく、行動して国に法整備を迫ろうという野田市の呼びかけに対する市長の見解をお尋ねいたします。

 第4に、茨木市のこれまでの答弁では、「個々の労働条件の部分につきましては、それぞれ、やはり労働基準法あるいは最低賃金法でその確保が図られているということでございまして、それぞれの部分につきましては、基本的に労使間で決定されるというふうに理解をしておりまして、私どもといたしましては、全体的な国の法整備が優先されるべきであろうというふうに考えております」として、1点目として、労基法の遵守はともかく、賃金については、最低賃金さえクリアしていれば、それで問題ないという考えが読み取れます。

 公共サービス基本法第11条でも、地方公共団体は、「公共サービスの実施に従事する者の適正な労働条件の確保その他の労働環境の整備に関し必要な施策を講ずるよう努めるもの」と定められています。この法の趣旨について、市の見解を求めます。

 また、最低賃金は地域における単身生活者を基準とした額であり、現実問題として、安心して子どもを産み育てられるという観点からは、生活保護法による最低基準額にも劣るというのが実態です。

 野田市では、条例制定に当たって、まずは一番の問題点である最低賃金に着目し、工事、製造請負契約については公共工事設計労務単価の8割を最低額としました。8割の根拠として出てきたキーワードは、少なくともほぼ時給1,000円をクリアできる額であるという返答でした。生活できる賃金として時給1,000円という基準が自治体側からも出てくるという流れがあります。

 業務委託などについては、正規職員の一定の俸給額を時給換算して時給815円以上としました。千葉県の最低賃金は728円ですから、プラス87円の上乗せということになります。ここでは正規職員と同等の扱いをするという考え方に基づいています。

 このように、公契約において従事労働者が地域別最低賃金がクリアできているだけでは自治体の責務は果たせないとの考えから、条例の目的として、労働者の適正な労働条件を確保することにより、業務そのものの「質の確保及び公契約の社会的な価値の向上を図り、もって市民が豊かで安心して暮らすことのできる地域社会」の実現を目的とするとうたっています。茨木市も同様の立場に立つべきです。市の見解をお尋ねいたします。

 2点目として、基本的に労使間で決定されるというのは、他の関連答弁からも労使間の契約に法的に介入しない、または、できないという意味だととらえますが、この問題に関しては、そもそも問題とする観点が間違っているのではないかと考えます。

 自由主義社会においては、契約に関しても契約の締結、内容、方式を国家の干渉を受けずに自由にすることができる契約自由の原則があります。契約するかしないか、だれと契約するか、どんな内容の契約をするか、どんな形式の契約をするか。茨木市には、公契約における労働者の最低賃金を定め、この基準を守ってくれる人と契約するという自由があります。基本的に法律や公序良俗に反しない限り有効です。

 そして、受ける側も、不本意なら応札しないという自由があります。茨木市の示した基準をクリアする意思があるなら、応札して契約する。契約すれば、信義誠実の原則に従って契約内容は守らなければなりません。守らなければ、契約解除等一定のペナルティーを受ける。市内のすべてに上乗せの最低賃金を課すわけでもありません。市内すべての労使間契約に介入するわけでもありません。受け手の業者にとって不本意な契約を強制するわけでもありません。市の見解を求めます。

 第5に、公契約条例にかかわっては、尼崎市での議論をはじめ、これまでさまざまな行政的あるいは法的検討事項があげられていますが、野田市送付の資料にもあるように一定解決されており、障害はなくなっていると考えますが、市の見解を求めます。

 大きな2点目として、公の施設と使用料の改定について、お尋ねいたします。

 第1に、内部での検討状況について、お尋ねいたします。来年3月議会での議決、10月実施ということで、作業部会、検討部会での作業を進めているそうですが、既に各施設の使用料金の経常経費のうち、受益者負担の比率を決定し、各施設及び施設内の具体的料金の設定の作業を年内に終わるとのことですが、素案の作成について、現時点での進捗状況をお示しください。

 第2に、検討の内容についても、お尋ねいたします。地方自治法第244条第1項には、公の施設とは、住民の福祉を増進する目的をもってその利用に供するために地方公共団体が設ける施設とあり、さらに、利用そのものが福祉の増進に結びつく施設であることとされ、福祉の増進に結びつけることが重要です。

 こうしたことから、施設の設置と存在の意義の検討のポイントとして、@公の施設として設置意義が薄れてはいないか、A同種の民間施設建設による運営改善の必要性の有無、B施設の利用性が低くはないかなどと言われています。これらはいずれも使用料の設定と深く結びついていると考えます。今回の使用料の改定対象は36施設等であり、ほぼすべての公の施設が対象となっています。この3つのポイントについて、それぞれの施設について検討したのか、お尋ねいたします。また、それぞれの施設の問題点と改善の方向について、資料でお示しください。また、特に利用率の低い施設の具体名もお示しください。

 第3に、検討委員会では、負担割合と使用料の算定を中心に議論が行われています。報告書には、使用料の算定は原価掛ける負担割合という計算式で行い、本来、施設サービスを利用した場合、その必要なコストはすべて受益者が負担することが原則と記述されています。この記述に法的、行政的根拠があるのか、お尋ねいたします。

 第4に、使用料負担割合の設定についても、お尋ねいたします。11月25日の報告書資料では、使用料負担割合の設定について4つの区分、すなわち第1は使用者が100%負担するもの、第2に使用者が75%負担するもの、第3に使用者が50%負担するもの、第4に使用者が0%負担するものと区分して、市の考え方として、それぞれの施設の分類をしています。これらの施設の分類と負担割合の設定に法的及び行政的根拠があるのか、お尋ねいたします。また、茨木市独自の基準なのかどうかもお尋ねいたします。

 第5に、公の施設の施設の分類と負担割合の設定の具体的内容について、お尋ねいたします。市の考え方として、検討部会に示す使用料改定対象36施設について、すべて4つの分類を具体的にお答えください。斎場、市営葬儀についてもお示しください。

 また、具体的には、使用者100%の負担施設として、各施設のテニス場、市民農園、スポーツ公園、宿泊施設をあげています。民間に同種の施設があるとはいえ、公の施設として福祉の増進のために税金で設置された施設の維持管理経費をすべて使用者が負担するとしたら、それは公の施設としての設置目的をそもそも損なうものと考えますが、市の見解を求めます。

 第6に、各施設の現況の使用料負担割合と、新たな4つの区分との差額について、お尋ねいたします。党議員団が資料請求で得た数字によると、経常経費に対する使用料や利用料収入の比率は、市民会館と福祉文化会館は27%、クリエイトセンターは15%、ローズWAMは7%であり、新分類と比較すると、これらの施設の使用料は2倍から3倍以上になってしまいます。また、市民体育館は23%、市民プールは35%、運動広場は70%と、これらも同様です。公民館は16%、生涯学習センターは31%で、これらも同様です。この現状と使用料負担割合の設定の差額について、使用料引き上げにするのか、市の考え方をお尋ねいたします。

 第7に、無料施設の有料化について、お尋ねいたします。老人福祉センター、青少年センター、障害者施設会議室等ですが、いずれも多くの対象者にそれぞれ利用促進や行政の目的に沿って無料としてきた、茨木市では伝統の施設です。それを覆して有料化する理由について、殊さら特別の理由があるのか、お尋ねします。

 第8に、施設使用料の減額、減免について、お尋ねいたします。報告書では、広く市民の利用に供する施設は減額、免除の対象から除外するとのことですが、市の考え方として提示されるであろう対象となる具体的施設名を明らかにしてください。また、減額、免除制度の基準を示していますが、新たに対象から外される具体的使用形態もお示しください。

 第9に、市民の検討過程での情報公開と広報について、お尋ねいたします。来年3月議会での議決、10月実施までの半年間の周知期間としていますが、まさに10年に一度とも言うべき大改定を市民に事前に知らさないというのは市民参加に反しています。年明けには市民に素案を示し、6月議会提案にすべきです。見解を求めます。また、国でも地方でも政策決定過程への議員の参加が言われています。使用料改定のようないわゆる事業仕分けの決定過程に地方議員も参画させるべきと考えますが、見解を求めます。

 大きな3つ目として、子育て支援施策の充実について、本議会に提出されております請願内容を踏まえて、お尋ねいたします。

 第1に、家庭保育施設の助成について、家庭保育施設についての茨木市の認識と、今後あるべき方向性の考え方について、お尋ねいたします。あわせて、補助金の増額も望まれていますが、茨木市の見解をお尋ねいたします。

 第2に、茨木市保育所保育料について、保育料条例により茨木市は国基準の75%という設定になっていますが、大阪府下各市の状況について、お尋ねいたします。70%、75%、その他について、それぞれ何市あるのか、お示しください。

 いずれにせよ、9月の常任委員会でも保育料の滞納状況について質疑いたしましたが、大きな理由は経済的逼迫ということでした。長引く不況のもと、今望まれているのは保育料負担の軽減です。来年度の保育料は条例改正も含めて保育料の値下げを行うべきです。見解を求めます。

 第3に、公立保育所の保育士対数配置基準について、現行の1歳児、5対1を4対1、3歳児の20対1を12対1に改善し、保育の質を高めるべきであると考えますが、見解をお尋ねいたします。また同時に、民間保育所でも公立と同等の保育士を対数配置できるよう補助金の創設を行い、財政的支援を行うことについての見解をお尋ねいたします。

 1問目、以上です。

 

[楚和企画財政部長] 公契約条例と使用料の見直しに関しまして、答弁させていただきます。
 公契約条例の制定についての見解でございますが、公契約における適正な労働条件の確保につきましては、その必要性は認識しておりますが、一自治体で解決できるものではなく、これまでも答弁させていただいておりますが、法律によるべきものと考えております。

 全国市長会の決議として決定される過程で賛同したのかどうかということでございますが、公契約法の制定の必要性を認識しておりますことから、異議は唱えておりません。

 公共サービス基本法の趣旨についての市の見解ということでございますが、公共サービス基本法は、公共サービスが国民生活の基盤となるものでありますことから、公共サービスによる利益を享受する国民の立場に立って制定されているものと理解しております。

 野田市の条例の目的についての本市の考え方ということでございますが、野田市の条例第1条で、「適正な労働条件を確保することにより、当該業務の質の確保及び公契約の社会的な価値の向上を図り、もって市民が豊かで安心して暮らすことのできる地域社会を実現することを目的とする」と、こういうふうに規定されていると認識しておりますが、他市の条例でありますことから、コメントは差し控えさせていただきます。

 次に、契約自由の原則の論点からのご質疑でございますが、契約自由の原則は、発注者と受注者がそれぞれ対等な立場における自由な意思表示がなされた場合でありまして、国や地方公共団体が発注者の優位な立場をもって労働条件等に介入することは契約自由の原則に問題があるのではないかと考えております。
 野田市の条例についての市の見解なんですが、野田市の条例は最低賃金法上は問題はないとされておりますが、条例化によるその他の法制度の関係や条例の実効性の担保など、懸念される点もありますことから、今後の実施状況を見守ってまいりたいと考えております。

 次に、使用料、手数料の見直しの検討状況についてでございますが、現在、外部委員の参画も得ました検討部会を設置し、検討しているところであり、検討部会の下部組織である作業部会において、使用料、手数料の見直しの考え方、原価計算の考え方、減免制度についての素案を作成し、検討部会へ示し、議論している状況にあります。

 個々の施設の目的と運営状況についてでありますが、個々の施設の運営につきましては所管します施設管理者におきまして、公の施設の目的であります住民福祉の増進を図るため、サービスの向上に努め、適切に運営しております。このような認識のもと、検討部会では、各施設のサービス提供に要する経費、いわゆるコストや減免制度の適用状況などを調査し、利用料金の適正化を検討しております。したがいまして、個々の施設の問題点や利用率等の資料は作成しておりません。

 次に、負担割合の考え方についてでありますが、使用料につきましては地方自治法第225条におきまして、「行政財産の使用又は公の施設に利用につき使用料を徴収することができる」とされております。この法律を根拠といたしまして、行政財産や公の施設を利用する者からその利益に対する応分の負担を求め、利用しない者との負担の公平性を確保すること、すなわち受益者負担の適正の原則に基づき検討していることであり、その負担の割合につきましては、施設の性質を考慮の上、決定していくというものでございます。

 施設の分類と負担割合の設定につきましては、より適正な受益者負担を求める1つの基準といたしまして検討しているものであり、自治法上の定めはございません。

 施設の分類と負担割合の設定の具体的な内容につきましては、現在検討を行っている段階にありますので、お示しすることはできません。また、維持管理経費を利用者に100%負担させれば公の施設の設置目的を損なうということでございますが、公の施設であっても民間において同様のサービスが提供されている場合は、税配分の公平性の観点からも100%利用者が負担すべきものと考えております。

 なお、公の施設は市全体の財産でありますことから建設費、大規模な改修費、それに伴う減価償却費につきましては全額公費負担で負担すると、そういう考え方で検討しております。このような考え方で検討しておりますので、公の施設の設置目的を損なうものではないというふうに考えております。

 各施設の使用料算出の考え方ということで、各施設の維持管理経費に占める使用料の割合というものをお示ししていただいておりますが、使用料については各施設のサービス提供に要する経費に性質別負担割合を乗じる、こういうことを基本にいたしまして、現行料金との乖離度、近隣各市との比較、そういうことを考慮して算出する方向で検討しております。

 無料施設の有料化についてでございますが、現行無料施設につきましても一般利用できる施設があることから、改めて受益者負担の適正の観点に立ち、検討しているものであります。

 施設使用料の減額、減免の具体的な施設につきましては、市民会館、福祉文化会館、市民総合センターなど、広く市民の利用に供する施設につきましては減免制度を見直すこととして検討しているところであります。また、個人利用に係る減額、免除の取り扱いにつきましても見直しの対象とし、検討することとしております。 検討部会への市民への情報公開と広報についてでありますが、市民への素案の提示につきましては、来年2月初めまでに見直し案を作成し、パブリックコメント等を実施する予定でございます。議会の提案時期につきましては、平成22年の3月議会に上程し、半年後の10月から施行を予定しており、その期間において、適切な市民周知に努めてまいりたいと考えております。

 また、今回の検討部会は外部委員の意見を聞きながら検討を行いますが、改正に当たっては議会に提案し、ご審議いただくことから、議員に外部委員として参画していただくことは、ふさわしくないんではないかというように考えておりまして、議員は公募対象としなかったところでございます。
 以上でございます。

[野村市長] 公契約条例の制定につきまして、野田市の呼びかけに対する私の考え方ということでございますが、野田市では地方発の議論として国を動かすという思いから条例制定をされまして、全国それぞれに送付されたと聞いております。本市といたしましても、9月の本市議会で、公契約に関する基本法の制定を求める意見書が全会一致の採択をされておりますので、本市としても研究をしてまいりますが、やはり基本的には国が早期に法整備をするべきであるという考え方でおります。

[村田こども育成部長] 子育て支援策にかかわって、順次、お答えを申しあげます。
 まず、家庭保育施設への助成についてでありますが、家庭保育施設につきましては、待機児童の解消のため、保育所における保育を補完する役割を果たしているものと考えております。また、待機児童解消のためには、まだ家庭保育所は必要であるという認識をしておりますが、最終的には、私立保育園の協力も得て認可保育所を整備していくことが重要であろうというふうに考えております。

 なお、家庭保育施設へのさらなる増額助成は考えておりません。

 次に、保育料についてですが、府内各市の保育料徴収基準につきましては、大阪市を含む32市で国の定める徴収基準額の75%以上の市が8市、それから71%以上74%以下、これが1市、それから70%以下が23市となっております。来年度の保育料につきましては、前年度国基準の75%とする条例によりまして決定をいたしたいと考えておりますので、これを見直す考えはございません。
 それから、保育士の配置基準でございますけれども、国基準を基本に行っておりますので、現時点では現行の配置基準を変更する考えはございません。また、特に民営化された民間保育所につきまして、市基準に基づく配置を行っていただいておりますので、国基準を上回って配置している1歳児については、それに伴う補助金を交付しておりますが、民営化以外の民間保育所まで助成を拡大する予定はございません。
 以上でございます。

 

[二問目] 公契約法について、全国市長会の決議で異論は唱えなかったということで、少なくとも、その意義は理解されてはると思うんですけども、自治体として、公平な立場に立たねばならないからこそ、弱い立場に置かれている労働者の人件費を削っての低価格入札を防止しなければならないのではないでしょうか。

 例えば、昨年の茨木市役所の本庁の警備、清掃業務委託がその実例です。この業務委託の場合、それぞれの職種の人件費について茨木市の設計基礎金額、幾らで算出して予定価格を決定し、実際にそれぞれ従事しておられる方が時給換算で幾ら受け取っているのか把握しておられるのか、お答えください。

 野田市の基準を茨木市に当てはめれば、業務委託の場合、高卒初任給15万5,700円を基礎とすると、時給984円になります。公契約条例の制定について、確かに早急に国による公契約の制定が望まれることは言うまでもありませんが、しかし、それだけにとどまっていては不十分です。かつてパチンコ店の出店規制条例の制定が各地の自治体で先行して、後に風営法の改正に至ったという例も、勘違いでなければ聞いております。
 野田市の条例制定に続いて、4日の参議院本会議では、公契約法の制定を求める請願が採択されたと聞いております。こうした動きをさらに加速させるためにも、茨木市としても、何らかの声なり行動なりを示していくべきだと改めて意見いたします。

 法律的や行政的な問題について、いずれにしても、法律で最低限守られている、その後は労使間の問題というところにとどまっていては、自治体の持つ無定見、無責任な姿勢が今日の入札における不当廉売と従事労働者の低賃金という問題を引き起こしているのではないでしょうか。改めて、この問題に対する市の見解を求めます。

 その他のさまざまな問題については、質疑時間も限られておりますので、議論は次の機会を待ちたいと思います。

 使用料、手数料の見直しについて、検討内容について1問目にあげました公の施設にかかわる3つのポイントから、個々の施設について詳細の検討もせずに、乱暴に一律に区分けするのは、基本中の基本として行政がなすべきことを懈怠しており、大いに問題です。少なくとも3つのポイントについて、改めて詳細に検討し、外部委員や市民委員に資料として示して、検討部会で十分に討議すべきです。今後の取組課題と書いておられましたが、それだけではなく専決事項だと思います。見解を求めます。

 受益者負担については、コストはすべて受益者が負担すべきというスタートからの考え方が法的にも行政的にも何ら根拠がないことは1問目の答弁からも明らかになっています。負担率についても同様です。単に負担率を上げるために取ってつけた基準と言わざるを得ません。数々の法律をひもといても、民間でのサービス提供の度合い等に基づくなどという判断要素が出てくるものは1つとしてありません。すなわち、具体的には、住民のうち、当該施設を利用する者の範囲と施設の利用によって受ける住民の程度等によって決定されるべきであるとしています。見解を求めます。

 また、100%負担でも設置目的を損なうものではないという部分には到底、納得できません。100%の受益者負担は個別の法律で規定されているものを除けば、基本的に公の施設としては、ごく一部の例外であるべきであり、地方自治法225条の趣旨、地方公共団体の施設の利用者に対し経費の一部を負担させる趣旨で徴収されると法律書にもあります。一部です。また、際限のない施設需要に対して財政的な歯どめを置く効果もあるとして、その効果の出る範囲内にとどめておくべきものでもあります。見解を求めます。

 無料施設の有料化についても問題です。今お聞きした根拠では、これまで市の進めてきた政策をひっくり返すことになる合理的な理由にはなりません。そうした考えは中止するべきです。見解を求めます。

 減免の見直しについても問題です。減免対象から外される施設として、市民会館、福祉文化会館、市民総合センター、生涯学習センターが示されています。これらはそれぞれ個別に、それぞれ文言は違いますが、福祉の増進という目的があります。文化教養の目的と企業の面接会での利用の料金が同じでは、どう考えてもおかしいのではないかと考えます。見解を求めます。 高齢者への減免対象、年齢を見直すことについても、単に高齢化社会が進行しているという理由であげる方向での考えを持っているとしたら問題です。そもそも高齢者に対する配慮は、一般的に定年退職して、次のライフステージの活動を充実させるために、また、年金受給世代になって経済的にも現役時代から低下してしまう、こうしたことへの配慮であるはずです。高齢化が進行しても、その様相に変化はありません。見解を求めます。

 以上です。

[楚和企画財政部長] まず、公契約の関係ですが、公共工事に関するものであっても、やはり労働条件につきましては、法律または当事者の交渉、これをもって原則によって進められるべきというふうに考えておりますので、そういう方向で、まずは国のほうが優先されるという形で検討してまいりたいと考えております。

 それから、使用料の関係でございますが、使用料の関係で、運営の状況でございますが、これらにつきましては、公の施設の目的である住民の福祉の向上というところにつきましては、各所管のほうでそういうサービスの向上に努めておりますし、また、一定の行政評価というところにも取り組んでおりますので、その中で適切に運営をしていくものと考えております。

 それから、100%負担という受益者負担の考え方でございますが、やはり税配分をどういう形で効率よく、また公平に配分するか、こういう考え方にも立ちまして、やはり一定のサービスを受けるところについては負担を求めると。特に、民間施設と同様の分につきましては100%負担させると。このことは、やはり行政として民業を圧迫すると、そういうことも考えられますので、そういう考え方を持って、今、検討しているという状況にあります。

 それから、減免、免除の関係でございますが、これらにつきましては、減免制度というのはあくまで例外的な措置であると。基本は、先ほど申しあげましたけど、受益者負担の適正化原則、これに基づいてやるのが原則であります。あくまで減免、減額というのは例外的な措置として考えてまいりたいと思います。

 それから、その中で、高齢者云々という話がありましたけど、やはり高齢者の方も人口がふえておりますので、その辺はいろいろ考えながら、検討部会で検討させてもらうという方向でございます。

 以上でございます。

[大野総務部長] 昨年、平成20年7月からの庁舎管理業務委託の契約の件でございますが、設計価格、予定価格でございますが2,009万5,238円、人件費の時給換算で幾らかということでございますが、この数字については把握をしておりません。

 以上でございます。

[3問目] 今回の使用料、手数料の見直しについては、公平な税配分、負担の公平化などとミクロの事例を個別に取り上げて問題であるとあげつらって、実態は受益者負担の適正化という、一見、害がなさそうで、実は悪質なキーワードを使ったあげく、市民サービスが後退すると具体性もない言葉で市民をおどかして負担を増大させ、新たなむだ遣いの財源をつくり出すこと以外の何物でもありません。拙速に事を進めず、広く市民の意見を聴取し、慎重な議論が必要であると改めて意見いたしまして、私の質疑を終わります。


請願第1号「乳・幼児期から学童期までの保育・学童保育、子育て支援施策の拡充を求めること」について

請願第1号の1「乳・幼児期から学童期までの保育・学童保育、子育て支援施策の拡充を求めることについて」請願第1号の2と一括いたしまして、日本共産党市会議員団を代表して、本請願を採択すべきであるとの立場から討論を行います。

本請願は17日現在21947筆の署名を積み上げておられると聞いております。これだけの数の署名を集められる努力は並大抵のものではないと推察され、取り組んで来られた方々、協力された方々に、心から敬意を表するものであります。

 本請願の採択に賛成する理由の第一は、その願意がもっともであり、かつ実現可能性のあるものだからです。市民が市議会に提出する請願は、その請願権を重んずる立場から、その内容が公共の福祉に反するものでない限り採択をし、市長に送付し、その実現を求めるのが憲法と地方自治法に定められた請願権の趣旨であり、市議会の務めではないでしょうか。

請願というのは、たいていの場合、必ずしも行政的知識に精通しているとは限らない市民が素朴な願いや要望を持ち寄って、市議会に提出されるものです。市議会議員は、その願意が世間一般の常識から見て、もっともかどうか、また、とうてい実現不可能なことを要求していないかどうかを判断して、採択か不採択かを決定し、議会として採択した場合は、議長がその結果を市長に送付する。そしてそれを受けた市長は、議会の意志を尊重しながらも、行政の最高かつ最終責任者として市全体の財政やほかの施策とのバランスを考えて、できるものから順次、実現するというのが法に予定された請願処理のあり方であると考えます。請願を採択したからといって議会が市長に対して一度にすべて実現しなければならないという法的義務を課すものではないのです。

今回、本請願の民生常任委員会での審査に当たって請願者から趣旨説明が行われ、その中で「広範囲での請願内容でもあるので、全部を実現していくという趣旨ではなく、一つ一つ改善されていくことで、子育てしやすい、住みやすいまちだと胸を張れる茨木になるのではないかと思う」と述べておられました。かつて茨木市議会でも、請願については、よほどの問題がない限り、ほとんど採択し、実現についても市長の判断にゆだねるという方法がとられていたと聞いております。また、請願者の意思も、採択されれば、すべてすぐに実現せよというものではなく、時間をかけてでも、切実なものから着実に実現させてほしいというのが願意であるということは先ほど述べたとおりであります。

毎年、この12月議会に向けて倦まず弛まず子育てをされている保護者やその関係者の市民が力を集めて2万から3万以上もの署名を集めて提出されています。乳児、幼児、学童期とその年齢幅は広く、望まれている施策にも全年齢共通の項目もあれば、またそれぞれの年代に個別の項目もあります。とにもかくにも子育てをされている世代が自分たちの切実な願いを集め、話し合い、慣れない署名に取り組み、茨木市議会に期待を込めて提出してこられます。これまでもまた今議会でも何人もの議員が述べておられる「項目が多すぎるから絞ってはどうか」という問いかけは、署名に携わった市民一人一人が個々の事情で許す限りの努力を積み重ねておられることを考えると、率直に言って議会の責任転嫁のそしりは逃れられないのではないでしょうか。請願者が民生常任委員会で答えられた「その中のどれといわれたら悩むんですけれども、でもやっぱりどう言ったらいいでしょう、悩みますが」という言葉に市民の思いが端的に表れていると考えます。

そうではなく、むしろ努力するべきは議会の側であり、「採択に賛成できる項目もあるが反対の項目もあるからどちらかと言うと反対」というのならば、茨木市議会の請願審査の方法を、一部採択を取り入れるなど、他市を参考に改善して、市民の請願権に最大限応えるべきであります。法律上、請願の一部採択は、請願者の意志に反するのでない限り、また全部採択でないと請願の趣旨が達成されないものでもない限り、可能であるとされています。議会としてこうした努力を怠り続けるならば、近い将来、市民から「こんな議会はいらない」と事業仕分けを言い渡されるのではないかと大いに危惧するものであります。

 本請願の採択に賛成する理由の第2は、本請願の内容は、いずれの項目をとってみても、すべての子どもたちが健やかに伸び伸びと育ってほしいという、保育、学童保育、子育て支援の充実を求める切実な市民の願いであり、子育て支援、少子化対策の具体化として、どの項目をとってもなんら過大な要求ではなく、本請願を採択するのに、全く異論の余地のないものであるからです。 不況が長引き、子育て世代の可処分所得も年々低下し続ける中、今、切実に安心して子を産み育てられるための環境づくりが求められています。そのためにも、自治体が責任を持つ現行保育制度を守り、拡充していくこと。学童保育は放課後児童クラブガイドラインの趣旨に沿った運営を行うこと。子育て施策を充実させていくこと。どれもが必要なことです。

以上、採択するべきという理由を大きく2点申しあげ、賛成討論といたします。議員各位のご賛同を賜りますよう、よろしくお願いいたします。