[畑中たけし] 平成22年3月定例市議会 本会議質疑・討論

◎議案第20号茨木市老人医療費の助成に関する条例の一部改正について
 議案第22号茨木市身体障害者及び知的障害者の医療費の助成に関する条例の一部改正について

◎議案第39号大阪府茨木市一般会計予算(10.03.11)

  ○建築物の形態制限に関する取り組みと(仮称)マンション茨木下穂積計画について

  ○公の施設の使用料等の見直しについて

◎請願第一号「国民健康保険料の引き下げなどを求めることについて」賛成討論


(一問目)議案第20号、茨木市老人医療費の助成に関する条例の一部改正について、質疑いたします。後ほど続きます議案第22号、茨木市身体障害者及び知的障害者の医療費に関する条例の一部改正についてもあわせて、一括してお尋ねいたします。それぞれ市単独助成部門の見直しによって、通年ベースでは約1億2,000万円のサービス削減となる議案であります。

 第1に、議会に示された資料によりますと、総額で1億2,000万円の削減となるこの4つの施策の見直しについて、今後のサービスは不要であると判断するに至った理由について、それぞれお尋ねいたします。

 第2に、今回の意思決定過程について、上から来たものなのか、それとも担当課から削減の提案をしたのかについて、答弁を求めます。

 第3に、意思決定過程において、4つの諸策の見直しについて、影響を受ける個々の世帯の状況把握、影響額、さらに関係者の意見を聴取し、判断の要素の加味したのかについて、答弁を求めます。

 第4に、今回の削減で影響を受けるのは、茨木市の障害者手帳をお持ちの方々のうち何割ぐらいを占めてるのか、お聞かせください。

 第5に、北摂7市における類似の医療助成制度について、府の制度に上積みするなど市独自の施策で実施している市とその実施内容について、お聞かせください。

 第6に、老人医療費と障害者医療費について、平成18年度の決算から21年度決算見込みまでのそれぞれの市負担額の推移について、お尋ねいたします。

 1問目、以上です。

 

[今村市民生活部長]

 まず、条例改正の理由についてであります。
 重度障害者の老人医療費助成につきましては、府の所得基準を超える方にも市の単独助成を行ってまいりましたが、一定の所得のある方には応分の負担をしていただくべきと考え、また中度障害者につきましても、同様の考えでありますが、非課税世帯の方々には、セーフティネット確保の観点から助成を継続することとしたものであります。

 次に、意思決定過程につきましては、今回の制度改正のプロセスは予算編成の過程において、すべての事業について給付と負担の内容の検討を行い、適正な負担のあり方、他市の助成状況等を総合的に判断し、市として決定したものであります。

 次に、意思決定過程における判断要素についてであります。対象となる方の所得状況から、重度障害者の方であっても、負担の公平性の観点から、一定の所得のある方については応分の負担をしていただくこととし、中度障害者については、本人所得224万円以下の方に対し市単独助成を行っておりましたが、セーフティネット確保の観点から非課税世帯に助成を行う制度としたものであります。なお、助成対象者から意見を聞いて見直したものではございません。 次に、北摂7市の状況につきましては、重度障害者に対する老人医療費助成は、池田市が府の所得基準を超える方に対する助成を行っております。

 また、中度障害者に対する助成では、吹田市が65歳以上の非課税世帯に属する方に対する助成を、摂津市が60歳以上の本人所得462万1,000円以下の方に対する助成を行っております。

 次に、老人医療費の市負担額につきましては、平成18年度から順に概数で申しあげます。なお、18年度から20年度は決算額、21年度は決算見込額であります。平成18年度2億2,800万円、19年度2億4,700万円、20年度2億6,500万円、21年度3億700万円でございます。 以上であります。

[谷口健康福祉部長]

 議案第22号に関する事項につきまして、ご答弁いたします。
 まず、改正理由についてでございますが、医療費助成の重度障害者につきましては、府の所得基準を超える方にも市の単独助成を行ってまいりましたが、一定の所得のある方につきましては応分の負担をしていただくべきと考え、また重度障害者の入院時食事療養費につきましても同様の考えでありますが、非課税世帯の方にはセーフティネットを確保するという、こういう観点から市単独助成は継続することといたしました。

 次に、意思決定過程における判断要素についてでありますが、助成対象となる方々の所得状況から、重度障害者の方であっても負担の公平性の観点から、一定の所得のある方については応分の負担をしていただくこととし、入院時食事療養費につきましては、これまで所得制限を設けない市単独助成を行っておりましたが、セーフティネットを確保するという、このような観点から非課税世帯に助成を行う制度としたものでございます。なお、助成対象者から意見を聞いて見直したものではございません。

 次に、削減の影響についてでございますが、今回の見直しにより助成対象から除かれる本人所得462万1,000円を超える方は、高齢者と合わせまして123人で全体の1%であります。また、非課税世帯以外の中度障害者は583人で全体の4.5%、入院時食事療養費の助成対象者は1,111人で全体の8.7%の方が影響を受けると試算いたしております。

 次に、北摂7市の状況でございますが、重度障害者に対する医療費助成は、池田市が府の所得基準を超える方に対する助成を行っており、高槻市では非課税世帯でかつ中度障害者の方を対象としております。

 また、入院時食事療養費につきましては、池田市、吹田市、高槻市、摂津市の4市が、本市と異なりまして、所得制限などを設けて助成をいたしております。

 次に、障害者医療費の市負担額についてでございますが、平成18年度から順に概数で申しあげます。なお、18年度から20年度までは決算額、21年度は決算見込額でございます。まず、平成18年度は2億3,200万円、平成19年度は2億2,500万円、平成20年度は2億2,000万円、平成21年度は2億3,500万円でございます。

 以上でございます。

 

(畑中2問目) それでは、2問目です。

 例えば、この老人医療費助成の中度障害者の方の場合で、通年ベースで7,511万円、影響人数が583人。1人当たりに換算すると、およそ13万円の負担増となります。月にすればおよそ1万円です。世帯非課税となると、本人のみの世帯とすると所得が125万円。これからすると1月分の所得が医療費に持っていかれるということになります。障害者医療費助成の市の積み増し分も、1人当たりの影響額は年間34万円の負担増です。入院時の食事医療費助成についても、世帯非課税という厳しい条件で、1人当たり1万4,500円の負担増となります。これでも低所得者に配慮をしていると言えるのか、これについて答弁を求めます。

 代表質問でも今の1問目の答弁でも、一定の所得があり負担能力のある方については、応分の負担をしてもらうという答弁でしたけれども、つまりは、これは、これまでも言われているように受益者負担の適正化の言いかえなんでしょうけれども、それでは、反対にどこが不適正だったのかをお聞きしたいと思います。要するに、最初から福祉サービス削減の結論ありきで、それを聞こえのいいように後づけの言いわけで受益者負担の適正化という、実は意味のない行政による、はやり言葉のようなキーワードを繰り返してるというのが本当のところではないでしょうか。見解を求めます。

 平成21年3月の障害者福祉サービスに関する調査報告書でも、身体障害者の9割が医療機関にかかっておられるという調査結果です。それも日常的にという方も相当数存在します。特に、重度の方ほど比率は高いというのが実態です。

 また、医療にかかる際に困ることとして、困っている場合の1位が交通費の負担が大きい、2位が医療費の負担が大きいと、経済的事柄があげられています。今度の削減が実行されれば、さらにこのような困窮される方がふえることが予想されます。市は、4つの施策の後退によってどのような影響をこの方々に及ぼすと認識を持っておられるのか、答弁を求めます。

 さらに、今後の特に不安を思うことについて、という調査項目で、健康と生活費が1位と2位であり、続いて障害者施策について望むこととして、経済的な負担の軽減を望む項目が合わせて約3割、これからにしても、障害者の方々にとって医療や生活費にかかわる心配は決して軽んじてはならない事項だということが如実にあらわれています。そうでなくても、障害者自立支援法の応益負担の導入によって、障害者の方々は負担増からサービス利用を控えるなどのデータも同様のアンケートから見てとれます。不適正かつ過酷な負担にあえいでいます。一定の支援施策により緩和は施されていますが、根本的には、この障害者自立支援法の矛盾は解決されていません。これ以上の負担増は避けるべきであって、また、本制度は、他市に比べてすぐれた水準にあって、茨木市が自慢できる独自施策であると思います。2004年、大阪府の福祉4医療が後退した際に、他市がそのまま多く撤退する中、茨木市は維持しますと自慢してきたと聞いています。市としてもその際に継続を決めたのは、市民から必要とされてるサービスであると当時認識したからではないでしょうか。それは今も変わらないことであり、歴史的な役割は終えたというわけでもないはずです。特に、今お答えになったように、障害者利用費の市負担額の推移はほぼ横ばい状態で、決してふえていってるわけでもありません。ビルド・アンド・スクラップと言われていますが、なぜ高齢者施策や障害者福祉施策がスクラップの対象としてねらわれているのでしょうか、答弁を求めます。

 2問目、以上です。

 

[今村市民生活部長]

 低所得者に配慮をしていると言えるのかということでございますが、中度障害者にありましては、非課税世帯の方々に対しまして、引き続き助成を継続することとしておりますので、低所得者層には一定、配慮をいたしております。

 次に、受益者負担の適正化についての見解でございますが、本市では、茨木市行財政改革指針に基づき、受益者負担の定期的な見直しに努めているところであります。見直し前が不適正ということではなく、より適正化されるべく見直しに努めているということでご理解いただきたいと考えております。

[谷口健康福祉部長]

 議案第22号に関する事項について、ご答弁します。
 まず、低所得者に配慮しているかというご質問でございますが、重度障害者の医療費助成につきましては、これまで所得制限なしで助成しておりましたが、負担能力のある方には応分の負担をしていただくべきと考えておりまして、府制度は、本人所得462万1,000円、収入にしますと645万1,000円を超える方は対象外としております。また、入院時の食事療養費助成につきましては、入院中の食事につきましても、同様の観点から見直しを行い、その対象を低所得者層に配慮をいたしまして非課税世帯としたものでございます。

 次に、見直しに対する影響についてでございますが、ご指摘の調査は、第2期の障害福祉計画の策定をするための基礎資料として実施したものでありますが、全体的には経済的負担が大きいとの回答があることは承知いたしております。しかし、この見直しによりまして、助成対象から除かれる方は、一定の所得がある方で対象者全体の数%でありまして、負担能力のある方に応分の負担をお願いするもので、このことによりまして、たちまち生活が困窮されるということはないと考えております。

 次に、高齢者施策や障害者施策が、なぜスクラップの対象となるのかというご質問でございます。急速に進展する少子高齢化や昨今の厳しい社会経済状況にありまして、福祉施策におきましても、やはり時代にあったものへと転換すべきものは転換していくということが必要であると考えております。福祉予算が年々ふえる中、福祉が本来果たすべきセーフティネットとしての機能を維持していくためには、これまでの福祉サービスのあり方、また財源の見直しも踏まえまして、給付と負担のあり方を検討していかなければならないと、このように考えております。

 平成22年度の予算編成に当たりましては、すべての事業において見直しを図っていくという、こういう基本に立ちまして、高齢者や障害者の施策も例外ではなく見直しを行ったところでございます。 以上でございます。

 

(畑中3問目)

 細かい各論については委員会付託でもありますんで、そちらのほうに回すといたしましても、やっぱり特に所得制限で世帯非課税の方ね、こちらはあまりにも1人当たり最低限、ぎりぎりのところで125万円と、単独世帯やったら。ここの部類については、あまりにも負担能力があると断ずるのは過酷であると思います。入院時食事療養費、これもこれだけ取り出すれば、議論はともかくね、居宅生活と入院生活ということでは、食事以外のさまざまな経済的な負担がふえてしまうというのはもう当然なわけで、そうした中で、せめて食事療養費を支援して負担を緩和していこうという趣旨の制度ではなかったんでしょうか。

 医療費、障害者更生費など障害者福祉関連の予算に係る一般財源の投入額はこの間、多少のでこぼこはありますけれども、同じような水準で推移してます。一方で、障害者手帳所持者の数は、平成14年度の8,827人から19年度の1万2,202人と、3,375人と増加しています。行政が把握してるサービス対象人数はこれだけふえていくということは、財政負担についてもある程度ふえていくことは避けられないはずであります。しかし、障害者医療費についても18年度以降、予算額は減りこそすれ、ふえていません。市負担額についても、これまで国が行ってきたような社会保障費の自然増分を毎年カットすると。このような、これに似たような愚にもつかないやり方をまねるのだとしたら、住民の福祉を守る防波堤である地方自治体がやってはならないことであると考えます。

 それに、この市の独自の福祉施策、他市もどんどんやっていない中で横並びでオーケーというなら、どこに独自性が出ているのでしょうか。国や府の制度に乗っかってる部分、この府の制度については、四百六十数万円の所得制限で削れないというふうな、これはもう府に乗っかってるからやれないだけで、もしこれが市の単独やったら、同じようにそちらのほうについても市民税非課税とまで後退したんやないかと私は予想します。

 こういう姿勢で、市の独自施策については、財政運営において、特定の使い道には聖域を残してはばからずに、むだや浪費を改めないまま、その一方で、特に高齢者や障害者の施策をどんどん削るだけ削ろうという姿勢では、私たちが地方分権の放棄だと言うてるのは、そういう視点からです。今、どんどんと行われてるのはこの受益者負担の適正化ではなくて、市民にとっては受益者負担の不適正化です。4施策の後退提案は撤回するべきと改めて意見いたしまして、私の質疑を終わらせていただきます。

 


◎平成22年度大阪府茨木市一般会計予算質疑

(一問目質疑)大きな一点目として、茨木市の建築物の形態制限に関する取り組みと仮称マンション下穂積計画についてお尋ねいたします。

第一に、高度地区指定の基本的スタンスと例外規定の適用方針についてお尋ねいたします。

素案においては、「高度地区による最高高さ制限は、市街地での極端に高さの異なる建物の混在を防止し、建築物の高さの観点から望ましい市街地像を示すものとして、おおむねその地域で許容される建築物の最高高さの上限を定めたもの」としています。また、「しかしながら、一方では、最高高さ制限により建物の壁面が隣地に近接するなどの課題も予想され、きめ細やかな対応や良好な開発計画を適正に誘導していく視点も求められる」とし、「そのため、周辺の市街地環境に配慮した良好な建築の場合などには高さ制限の緩和や除外といった例外規定を用意しています。懇談会での委員の意見においても「周辺市街地環境との調和の視点が大切である」との意見もだされています。高さ制限適用についても、例外規定適用の方針についても、なにをおいても「周辺市街地環境との調和とられた建築物であるか」どうかが、まず第一に問われるポイントであると考えます。制限緩和をすることができる場合として@敷地条件、A空地・緑地条件、B建物配置(壁面後退距離)の三条件が課されていますが、この3つの条件に適合しさえすれば、あとは基本的に制限緩和が適用されるとのスタンスをとるとすれば、現実には個々の事例において調和を崩す建物が出現しかねず、せっかくの高さ制限が形骸化するおそれがあります。建築審査会の意見を聴取しつつ市長が認めるにしても、三条件の適合は前提としても、実質的な判断においては周辺市街地環境との調和を崩さない建築物であるかどうかで判断しなくてはならないと考えますが、見解を求めます。

[大塚都市整備部長]今回の取り組みは、高度地区という都市計画の手法を用いて財産権に関わる制限を行うものでございます。そのため、例外規定として緩和制限を適用するにあたっては、行政による裁量を排除し、あらかじめ定めた条件に合致しているか否かで判断することが求められていると考えております。

第二に、素案を固め、市内各地で市民に提案し、パブリックコメントに付した後の、計画手直しの具体的内容についてお尋ねいたします。茨木市による建築物の形態制限に関する取り組みは、学識経験者などを委員とする懇談会が平成20年9月から計7回の開催をへて、平成21年9月に素案が発表されました。発表にともなって市内各地域で住民に対する説明会が催されるのと並行して、パブリックコメントも10月7日まで募集され、寄せられた意見に対する市からの一定の回答も12月半ばになされています。この間、経過報告が都市計画審議会にもなされたと聞いています。本来のスケジュールですと、3月の都市計画審議会で承認され、必要な手続きを経た後、4月から実施と聞いていましたが、この間、細かな技術的運用基準の変更だけはでなく、計画書に記載されるほどの大きな基準内容についても手直しが入りつつあると聞いています。具体的にどのような変更が加えられつつあるのか、項目名とその内容についてお示し下さい。

[大塚都市整備部長]今回の高さ制限の実施は、事業者による創意工夫により、良好な建築計画が実現することも、考慮しているものであります。良好な計画を誘導するこれらの運用基準については、都市計画の案そのものを変更したり、計画書に記載するものではないと判断しております。具体的な内容を、現在お示しすることはできませんが、周辺環境への影響に十分配慮した範囲の中で、都市の活力推進につながるものとなるよう、検討しているものであります。

 

第三に、具体的対応についてお尋ねいたします。たとえば新規建築物建設予定地の隣接や近接に既存不的確建築物が存在する場合、新規建築物の高さ制限について例外規定適用する際の可否の判断としてどのように勘案されるのかが疑問となります。既存建築物が当該地区の高さ制限を超える最高高さであった場合に、隣接にすでに高い建築物があるのだから、新規建築物ついて例外規定を適用しても周辺市街地環境との調和が崩されることはないと判断されてしまうのか。それとも既存不的確建築物も建て替え時には基本的に高さ制限による規制を受けるのであるから、新規建築物の例外規定適用に際しては判断要素から除外するのか、お尋ねいたします。

[大塚都市整備部長]今回の高さ制限の実施により、既存不的確となる建築物につきましては、お住まいの方々の生活基盤が緩和規定を使っても確保できないなど、著しい不利益が発生する場合に既存の高さまで緩和することができるとしているものであります。したがいまして、あくまで既存の権利を保護する趣旨で設けようとしているものであり、その考え方が新規の建築計画に及ぶことはございません。

 

第四に、今後のスケジュールについてもお尋ねいたします。例外規定の適用方針など多くの課題を抱えながらも、茨木市は「良好な住環境を保全・誘導し、茨木らしい町並みを形成し、市街地の質を高めていくために、高度地区による建物高さの絶対制限を導入する」としています。今後の制度発足への予定について、最終計画案はいつまでを目処にとりまとめるのか、変更部分について市民への周知方法はどのように行われるのか、審議会での決定はいつごろになるのか、実施予定時期はいつごろになるのか、それぞれお尋ねいたします。

 

[大塚都市整備部長]高度地区による計画全体を見直すのではなく、住環境の保全と事業者による創意工夫との調和が可能となるような、運用基準について検討を加えているものであります。その内容でまとまれば、公表し、必要に応じパブリックコメントも実施した上で、都市計画の手続きを進め、できるだけ早期に決定したいと考えております。

 

第五に、日本たばこ産業工場と社宅跡地の経緯と仮称マンション下穂積計画に対する近隣住民・周辺住民の要望内容についてお尋ねいたします。

一つめに経緯についてお尋ねいたします。マイカル用地と産業道路を挟んでちょうど向かい側の下穂積1丁目の旧日本たばこ産業社宅跡地の所有者移転の経緯についておたずねいたします。もともとマイカル用地はもちろん社宅跡地も専売公社の所有地であり、いわば国有地=国民の共同の財産でした。税金で買った土地だということです。たとえ民営化されても、元は国有地であったという経緯を尊重する必要があります。ところがJTは茨木市の公共施設も入っているマイカル用地を外資系投資会社に処分し、また社宅跡地をマンション会社に処分しました。今やマイカルの今後とともに、マイカル用地内の図書館やコミセンの将来も心配です。両用地の処分についてのJTと茨木市との事前の協議の経緯についておたずねいたします。またこうした事前の通告や協議の内容について、茨木市はその時点で地元自治会等に連絡したのかもお尋ねいたします。とくに周辺住民は工場操業時はもちろんマイカル出店時にも種々の影響を受忍してきました。にもかかわらず、いずれの場合もたばこ産業から何の事前の連絡はありません。さらに今回は高層マンション建設計画が持ち上がり怒り心頭の状況です。茨木市はこれらの経緯を十分ふまえて、該当の高層マンション計画の開発指導に当たるぺきと考えます。見解を求めます。

 

[大塚都市整備部長]大規模の土地売買につきましては、国土利用計画法の規定に基づき、届け出が必要でありますが、本市との事前協議や周辺住民への説明等は義務づけられておりません。なお、開発協議は、周辺への影響を考慮しながら法令等の基準に合致しているかを基本に行うもので、土地所有者の履歴に左右されるものではありません。

 

 次に、社宅跡地の高層マンション建設計画に関連してお尋ねいたします。計画の内容は敷地約6000平米、戸数139戸、高さ14階建て・42メートル、駐車施設は139台です。周辺に大変な影響を与える開発計画です。もとより計画の主体は民間事業者であり、改善の責任は事業者にありますが、茨木市は市開発指導要綱の目的からして指導責任があります。その立場から、市の見解をお尋ねいたします。まず建築物の高さ制限(高度地区見直し)と例外規定の制限緩和適用についておたずねいたします。茨木市は本年4月より魅力ある都市景観を創造するため、景観法に基づく条例の制定と景観計画の制定に取り組むなど「景観行政団体」となるとされています。同時に「良好なまちなみ形成や適正な土地利用をすすめるため、建築物の高さ制限(高度地区見直し)に取り組む」として、当該地区は最大で高さ22メートル−およそ7階建てに相当する高さに規制する素案を示していました。ところが大規模敷地の場合、例外規定の制限緩和を適用して、本来の2倍にもなる高さ最大43メートル−14階建てが許容されると聞いて、周辺の皆さんは驚きもし失望もしておられます。これでは「景観行政団体」の名に値しないとも言っておられます。一度、地域に来てこの例外規定の制限緩和の経過、理由やその手続きについて明らかにしてほしいと言っておられます。茨木市は出向く用意があるのかお尋ねいたします。

 

[大塚都市整備部長]開発計画に関する説明は事業者の責任で行われるものであります。なお、市として定める高度地区における制限緩和の運用基準について、詳細な条件が固まれば、出前説明会なども可能と考えております。

 

 次に、事業者による住民説明会の開催についてお尋ねいたします。本計画に対して、地域では下穂積1丁目、2丁目、松ヶ本町自治会で構成するマンション対策協議会を結成し、対応しておられます。いわゆる近隣住民と周辺住民の多数を環境協議のための委任状に集約するなど、文字通り地域住民の意見の代弁者であり、代表者として対応しておられます。ところが事業者はこの実態を無視して、住民説明会の日時を一方的に決定するなど、説明会開催のルールを無視しています。茨木市は事前相談各課意見で、「関係住民及び自治会に対して、十分協議、説明を行い、誠意を持って対応する事」と指導しています。あらためて適切な指導強化をするよう求めます。答弁を求めます。

[大塚都市整備部長]本市の「中高層建築物の紛争の防止及び調整に関する指導要綱」にのっとり、関係住民及び自治会に対しまして説明・協議を行うよう指導しております。

 また、マンション対策協議会との協議につきましても、工事協定締結などについて協議するよう指導してまいります。

 協議経過報告書の受理につきましては、住民の合意を取得していないことなどの理由により、協議を拒んだり、手続きを遅延させたりすることは要綱の趣旨を逸脱した運用になることから、要綱の手続きにのっとって適正に処理してまいります。

 また、建築物の高さ制限の緩和につきましても、高さに関する条件を満たし、適正に計画されているものであれば、恣意的に手続きを止めることはできないものであります。

 

 また、引き続き住民説明会を開催し、協議継続中でありますが、よって事業者が説明会を一方的に打ち切り協議経過報告書を提出しても、茨木市として受理ないし承認しないようにと望んでおられます。見解を求めます。

 次に、建物及び施設の位置・規模についてお尋ねいたします。建物の高さについてですが、本計画への建築物の高さ制限の例外規定の制限緩和適用の可否の判断に際しては、申請地西側の生産緑地の存在をはじめ周辺環境保全のための近隣住民や周辺住民の意見を尊重して決定してほしいと願っておられます。市の見解をお示し下さい。

 次に、提供公園の位置と開設後の維持管理についてお尋ねいたします。提供公園の位置は既存の児童遊園の位置や近隣住民への環境への配慮から、敷地北側が適切と考えておられます。見解を求めます。また開設後は茨木市はもとよりマンション管理組合、新住民が適切な維持管理を行うよう、協定等で明記するよう望んでおられます。見解を求めます。

 次に、駐車場の位置と既存道路の接続についてお尋ねいたします。事業者は新住民の保有車輌の出入り口を既存の敷地北側市道への接続を計画していますが、これでは近隣住民や周辺住民の安全等に重大な影響を与えると考えておられます。したがって敷地内に車路を設け、新住民の保有車輌の出入り口は直接府道大阪高槻京都線へ接続する構造にするよう願っておられます。またとくに都市計画道路茨木松ヶ本線整備に伴う府道交差点計画との整合性についての事業者への指導について、近隣住民や周辺住民の意見を尊重してほしいと言っておられます。また軟弱地盤として危惧されている位置への駐車場位置の再検討を指導してほしいと言っておられます。それぞれ見解を求めます。

 次に、旧JT飲料倉庫解体工事についてお尋ねいたします。この工事での近隣への種々の影響が危惧されておられます。茨木市に対して、事業者から解体工事実施についての協議かあれば、即刻知らせてほしいと言っておられます。見解を求めます。

 次に、その他廊下などの目隠しの設置などプライバシー確保について、当事者間で十分な協議が行われるよう、事業者を指導してほしいと言っておられます。見解を求めます。

 次に、埋蔵文化財の確認のための試掘とその結果についての見解を求めます。

[大塚都市整備部長]提供公園の位置、形状、維持管理、駐車場及び出入り口の位置、プライバシー対策などにつきましては、今後、庁内および関係機関との協議の上、適正に指導してまいります。

 なお、埋蔵文化財の確認のための試掘につきましては、まだ行っていないと聞いております。

 いずれにいたしましても、解体工事を含めまして、周辺住民の方々へ十分説明・協議を行うよう開発者に対しまして指導してまいります。

 

 

(畑中2問目質疑)

形態制限の必要性については一問目でも挙げましたが、地域の環境への配慮をなおざりにし、短期的な経済性を優先する開発者の行為・意識と地域の景観や環境に関する地域住民の意識とのギャップによる紛争等が発生し、こうした紛争が、分譲後の新旧住民の地域コミュニティ形成に悪影響を与えるとの懸念の下に、市も形態制限の取り組みを開始したはずです。懇談会の議論でも、「ベースとして、突然高いものが建つことがないという激変緩和の考え方がある」と、そして「高さ制限は実質的には容積率の制限となるはずである」としています。さらに「規制があっても開発業者による短期の利益追求を行う開発が行われる以上、課題は根本的には解決しない。敷地面積が大きいからと言って単純にスケールメリットを追求できないようなソフトの仕組みを作れば、単純な利益追求の開発にはならないという」視点も出ています。

 ところが、仮称マンション下穂積計画の概要をみると、22m制限地域でありながら、いきなり例外規定の2段階緩和が適用できる計画となっており、最高高さ上限の14階建て、かつ容積率もほぼ200%いっぱいいっぱいの短期的経済的利益追求が最優先にされた設計となっています。配置についても移管公園や車両出入り口、日影の影響など、近隣住民・周辺住民のみなさんが大変危惧を覚える内容となっています。懇談会の委員さんもそのものずばり「紛争の解決については、すべて解消するのは難しいと思うが、隣に急に14階建てが建つのと、7階が建つのとでは影響は異なると思う」と指摘しています。

 「最近は高層ほどプレミアム化する傾向にあるが、低層でも価値のある開発を事業者には行ってほしい」という考えを少しでも進めるためには、やはり市もその姿勢にのっとって高さ制限や例外的用の運用を行い、良好な建築物の形態を積極的に誘導していかなくてはならないのではないでしょうか。あらためて見解をもとめます。

[大塚都市整備部長]建築紛争は、都市計画法、建築基準法に従い適法に計画されているものを対象に発生していることをご理解いただきたいと思います。

 高さ制限は、この状況もふまえながら、周辺住民への影響を軽減し、良好な市街地形成を誘導するため、土地利用や公共施設の整備状況も考慮した案を作成し、実施すべく取り組んでいるものでありますが、財産権に関わるものであり、過度な制限にならないよう配慮も必要と考えております。

 緩和規定の運用にあたっては、現在の建築紛争の要因の多くが、近接して高い建築物が建設されてること等に起因しているものとの判断から、周辺環境への影響を考慮して、敷地面積や隣地との後退距離を定めようとしているものであり、いたずらに、高層建築物を容認するものではありません。

 なお、緩和規定を適用することにより、敷地から後退距離が確保され、適用しない場合の敷地境界付近に中高層建築物が建設されることによる圧迫感の軽減につながると考えております。

 

 

また、景観行政団体を標榜する茨木市として、22m制限地域に最初から例外規定がばんばん適用されて、31mや43mの高層建築物が当たり前、本来の22m制限を守る建物の方が例外的であるような町並みという状況になってしまうのは決して好ましくはないのではないでてしょうか?見解をもとめます。

[大塚都市整備部長]一定規模以上の敷地面積を有する土地を対象とする考えであり、その上で外壁後退等の基準を設けるものであり、ご指摘のようなことにはならないものと考えております。

 

 また「事前協議の段階からの開発者の説明責任を高めるような仕組みが必要である」とも指摘されていますが、その具体化として市はどのように考えておられるのでしょうか?

[大塚都市整備部長]開発指導要綱に基づく事前協議に先立って、中高層建築物に関する要綱の手続きにより、これまでから影響のある範囲の住民への説明を求めており、この手続きは、今後も継続して実施する考えであります。

 

 また、「開発者にとっても紛争を避けることで経済的なメリットが期待できる。今は近隣説明や対策などが開発者に委ねられており、結果的に開発者と住民だけでなく、住民同士の軋轢を生むきっかけになっているケースもあり、地域の混乱を引き起こすようなやり方が問題になっている。そのためより広い視点でのルールが必要とされている」との意見もありますが、茨木市はその具現化としてどのような方策が必要であると考えておられるのか答弁を求めます。

[大塚都市整備部長]市として、建築物の高さを規定することによる環境の保護と、周辺環境に配慮した事業者による創意工夫の誘導により、市全体として都市魅力の向上につなげていくというのが、今回の高さ制限の目的と考えており、あらかじめ、そのための基準を明らかにすることが必要と考え、取り組みを進めているものであります。

 

 日本たばこ産業滑ヨ連用地の経緯について、あらためてお尋ねいたします。

義務云々はともかくとして、事実経過としてお尋ねいたします。マイカル用地を日本たばこ産業鰍ゥら投資会社に所有権移転を行う連絡があったのはいつか、同じく元社宅用地はどうか、お答え下さい。マイカル出店時に公共施設設置等を含む協定を日本たばこ産業鰍ニ締結していたと思いますが、新所有者との契約変更はいつ行ったのか。内容に変更はあったのか。答弁を求めます。昨今、全国で百貨店や郊外型大規模店の閉店が続出しています。茨木マイカルの場合は心配ないのか市の認識をお示し下さい。さらに図書館など公共施設を民間所有者から無償借り受けを行うのは再検討したらどうかと考えますが市の考えをお聞かせ下さい。次に、元社宅用地を地元自治会等から、「公共施設用地として買い上げて欲しい」との要望があったと思いますが、市として検討したことはあるのかお尋ねいたします。いずれの所有権移転もマイカル出店時の経緯からして、茨木市が所有権移転を知った時点で地元に報告すべきでなかったでしょうか。それが、「住民参加」、「開かれた行政」の基本であると考えます。市の見解を求めます。

[大塚都市整備部長]マイカル敷地の土地売買に伴う国土利用計画法の届け出は、平成16年8月で、元社宅敷地は平成21年3月でございます。

 穂積図書館および穂積コミュニティーセンターの使用貸借契約につきましては、平成16年8月に住友信託銀行(株)と本市におきまして従前と同内容で契約しております。

 なお、契約内容についての再検討をする考えはございません。

 また平成18年11月に下穂積1丁目南自治会より公共施設用地としての取得を提言されておりましたが、市として利用計画がない旨回答しております。所有権移転の情報提供につきましては民民の契約であり、他の場合も含めて情報提供する考えは持っておりません。

 

 事業者の住民説明会等について、あらためてお尋ねいたします。

 地元マンション対策協議会は本高層マンション建設の影響を受ける近隣住民と周辺住民の環境保全に関する改善の意見・要望の代弁者であり唯一の代表者です。しかし、事業者の対応はきわめて不誠実です。事業者に「指導要綱」に則り、協議会に対して誠実に対応するよう強力に指導すべきと意見いたしますが、見解をお聞かせ下さい。事業者は「2月末の説明会をもって説明会を打ち切る」と言っているそうでありますが、現時点で協議経過報告書の受理はあるのかお聞かせ下さい。

 高さの制限の緩和については、「条件を満たし、適正に計画されている」ものであれば、恣意的に手続きを止められないと言いますが、行政の制限緩和の許可手続きはどのようになるのかお聞きしたいと思います。また指導要綱・施行基準で言う「紛争あっせんの申し出」、「紛争調停の申し出」については、制限緩和の許可手続きのどの時点で「申し出」が出来るのかお示し下さい。

[大塚都市整備部長]指導要綱におきまして説明すべき関係住民を規定しており、対策協議会に対しての説明義務はありませんが、自治会において立ち上げられた対策協議会に対しましても、一定、説明を行うよう指導してまいります。

 説明会につきましては、引き続いて3月も2回おこなうとの報告を受けており、協議経過報告書の提出はなされておりませんが、これにつきましてはも要綱の規定に基づき適正に処理してまいります。

 また、制限緩和の許可手続きにつきましては、建築審査会の意見を聞いた上で、市長が許可することとする予定です。「中高層建築物の建築に関する紛争の防止及び調整に関する指導要綱」に基づく、「あっせんの・調停の申し出」手続きとの関係につきましては、現在検討しているところでありますが、制限緩和の許可については、要綱等に基づく協議等が進捗した上で行うことが妥当ではないかと考えております。

 

 周辺住民からの要望に対する対応について、お尋ねいたします。

要望に係わる諸問題は「今後、庁内及び関係機関と協議の上適正に指導する」との事ですが、

関係住民の声や意見はどのような方法で反映されることになるのか具体にお示し下さい。事業者に対して主張しても、内容のある議論にならないことは必定です。茨木市が直接、関係住民の意見を聞く機会を確保して欲しいとの声がありますが、市の見解を求めます。とくに将来、茨木松ヶ本線開通時には府道との交差箇所に信号が設置されることになると思われます。ところが、その直近の位置が開発地域から市道を通じての車輌出入り口になるならば、交通安全上も問題であると考えます。茨木市は現計画についてどのように考えているのか答弁を求めます。

また、埋蔵文化財の試掘は実施させるのかお答え下さい。

[大塚都市整備部長]周辺住民からの要望につきましては、事業者に対し口頭にて伝えておりますが、あくまで事業者と周辺住民での協議が原則であると考えております。

 今後、開発指導要綱に基づき、具体的な協議を進めていくことになろうかと思いますが、車両の出入り口につきましては、道路管理者等、関係機関との十分協議の上、茨木松ヶ本線開通時に起きましても、適切に交通処理ができるよう指導してまいります。

 なお、埋蔵文化財の試掘は実施すると聞いております。

 

 

(畑中3問目質疑)
 仮称マンション下穂積計画と高さ制限について、懇談会の意見の中で「住民との協議の中で具体的な形態が決まっていく仕組みが望ましい。」とも指摘されています。その意見を尊重するならば、当該計画においても、事業者と地域住民が十分に協議を重ねていかれるよう、事業者に対して住民代表である対策協議会に誠実に対応することをあらためて市から強く指導することを改めて意見いたします。さらに高さ制限の例外規定の適用についても単なる図面上、数字上の3条件合致で機械的に可とする包括同意のような運用をするならば、なんのための建築審査会や市長許可かわかりません。事業者に創意工夫をさせるというのなら、茨木市が望む町並み、周辺環境に調和した町並みの方向に誘導した創意工夫をさせる必要があるのではないでしょうか。事業者に任せっきりでは結局のところ短期的経済利益優先の計画に流れざるをえません。せっかくの高度地区指定です。規制緩和で後退してしまった自治体の裁量権を発揮してイニシアチブをとる素晴らしいツールになりえます。そして、周辺環境保全のための近隣住民や周辺住民の意見を少しでも汲み上げた運用をなすことが、形態制限の取り組みを始めた本来の趣旨に合致することではないかと考えます。1問目や2問目の答弁のような運用に終わっていては、これからも決して建築紛争が減ずることはないと思われます。あらためて市の見解をもとめます。

   

大きな二点目として、公共施設の使用料等の見直しについてお尋ねいたします。

昨年の12月議会でも質疑いたしましたが、検討部会で示されているこれまでの資料も踏まえて、あらためてお聞きいたします。

第一に、公共施設の運営とその所要経費の住民負担の基本的原則についてお尋ねいたします。

公の施設とは、地方自治法第 244 条第1項に規定する施設のことで、住民の福祉を増進する目的をもってその利用に供するために地方公共団体が設ける施設です。すなわち、すべからく住民の福祉の増進に寄与するものかという観点から判断しなければなりません。そしてより具体的には以下の5点の要件により判別することとしています。

1)「住民の福祉を増進する目的」をもって設けるものであること

2)住民の「利用」に供するためのものであること

3)「当該地方公共団体」の住民の利用に供するためのものであること

4)「施設」であること

5)「地方公共団体」が設けるものであること

施設の存在意義についての検討ポイントとして

@ 公の施設としての設置意義が薄れてはいないか

A 民間施設と競合してはいないか

B 施設の利用率が低くはないか

が挙げられるとしています。しかし茨木市は検討部会に対して、これらの公共施設の基本的性格や存在意義について諮問をしたという形跡はありません。まず行うべきはすべての茨木市の公共施設の現状と問題点を把握して、改善点を整理するところから、議論を始めるべきと考えます。なぜ「使用料」だけにこだわって、使用料の水準と減免のあり方のみに特化した議論を行うのか、見解を求めます。

[楚和企画財政部長]施設の設置意義や運営状況を議論せずに料金算定と減免制度を検討することの見解につきましては、個々の施設運営につきましては、所掌する施設管理者において、公の施設の目的である「住民福祉の増進」を図るためサービスの向上に努め適切に運営しておりますので、今回の検討対象とはしておりません。

 使用料等の検証は、社会経済情勢の変化等を勘案し、概ね5年スパンで行っていく考えにありますので、今回、「受益者負担」及び「公平性」の観点に立ち、市民の意見を参考にしながら、料金算定と減免制度、団体補助金を会わせまして適正化を図るものであります。

 

 

 第二に、「受益者負担の原則」の考え方についてあらためてお尋ねいたします。

 市は「施設利用という利益を受けたことに対して応分の負担を求めることを受益者負担の原則」と定義しています。

 地方自治法第225条では「普通地方公共団体は、第238条の4第7項の規定による許可を受けてする行政財産の使用又は公の施設の利用につき使用料を徴収することができる」と規定しています。条文の文言は「徴収することができる」であり、「徴収するものとする」や「徴収しなければならない」ではありません。通常の解釈としては公の施設の利用については無料が原則であるけれども場合によっては徴収しても差し支えない、禁じるものではないという意味です。それを超える解釈は拡大解釈であり、法の解釈適用を誤ったやり方です。すなわち徴収すること=負担が原則であるとすることは違法です。見解を求めます。

 

[楚和企画財政部長]受益者負担の根拠につきましては、地方自治法第10条第二項において「住民は、法律の定めるところにより、役務の提供を等しく受ける権利を有し、その負担を分任する義務を負う」と規定されておりように、サービスの提供を受ける者はそのサービスに要する経費を負担する義務があり、住民が負担を分任する収入には、税だけでなく分担金や使用料、手数料も含まれております。。

 また、地方自治法第225条において「公の施設の利用につき利用料を徴収することができる」こと、すなわち施設を利用する者には料金を徴収することが可能であることが明記されておりますので、それらを法的根拠として「受益者負担の適正化」に取り組んでおりますので適法であります。

 

 

第三に、使用料算定の考え方についてお尋ねいたします。

「適正な負担のあり方という視点で、明確で統一的な基準を設けることとする」としていますが、基底となるそもそもの算定基礎の算出方法がこの間開かれている検討部会ごとに切り貼りのように内容を小手先でころころと変わってきています。 市民に負担を求める算定基準額(原価)について、10月の部会で「職員人件費」+「維持管理費」と定義していますが、なんらかの行政的ないし法的根拠は存在するのでしょうか。答弁を求めます。使用料の算定式についても、昨年10月には「使用料=原価×負担割合」としていましたが、2月の部会では「使用料=算定基準額×負担割合+事務費」と変化しています。要するに、始めにこの部分は市民からとってしまおうという結論ありきで、それを聞こえが言いような理由付けをあとからこねくりまわして肉付けしているだけで、市民負担を求めるための明確で揺るぎのない行政的・法律的根拠はないのではありませんか?見解を求めます。

[楚和企画財政部長]算定基準の行政的・法律的根拠については、施設の維持管理費や職員の関わる経費をサービス利用者に負担を求めることは、「受益者負担の原則」として地方自治法を根拠に認められたものであり、また、「受益者負担の適正化」は、税配分の公平性の確保に資する行政の基本的かつ不可欠な取り組みでありますので行政的な根拠を有しております。

 また、算定式等の変更につきましては、検討部会は、市民公募や学識経験者等の外部委員の意見を参考にしながら進めており、議論の経過の中で、その都度、適正化に向けた修正を行っているものであります。

 料金決定の基本となる算定基準や算定式は、行政の考えに固執するのではなく、より市民の視点に立った内容となるように、取り組んでいるところでありますので、決して「結論ありき」の議論を行っているものではございません。

 

 

 

次に、使用料改定のいわゆる激変緩和措置についてお尋ねいたします。当初は負担割合のランクを設定し、その所要の経費を積算し基本的にはその経費をすべて住民負担に転嫁するとして、料金を設定を検討していました。ところが現行料金との乖離が明らかになると結論は上限引き上げ率1.2倍、下限0.8倍と朝令暮改です。見通しのないことを進めようとした責任の所在を明確にするよう求めます。

[楚和企画財政部長]検討部会において、現行料金との乖離度や近隣各市との比較等の要因を適切に配慮し決定していく考えを。検討当初から持っていたものでございます。

 

 

次に、公共施設の所要経費のいわゆる料金としての「負担割合」についてお尋ねいたします。100%使用者負担施設を忍頂寺スポーツ公園、斎場、市民プールのレジャー部分、ギャラリー、庭球場を挙げています。理由は「税の投入により民業を圧迫する」です。税を投入して、民業を圧迫している事実は存在するのでしょうか。その根拠はあるのでしょうか。答弁を求めます。

[楚和企画財政部長]民業圧迫について、「税の投入により民業を圧迫している」事実はございません。なお、検討部会において、民間におけるサービス提供の有無という視点に立ち、民業を圧迫することのないような負担割合について検討しているところであります。

 

 

次に減免制度の考え方についてお尋ねいたします。

今回、減免全廃を予定している施設の減免登録団体数と20年度の施設実使用における減免状況を率でお示し下さい。

さらに、施設利用料の減額免除制度を「受益者負担の原則」の例外として、あくまで限定的・特例的におこなわれるものと定義していますが、これについて行政的・法律的根拠はどこにあるのかお示し下さい。本来の減額・免除制度の考え方としては、「施設の利用者はその一定の利用料を公平に負担するのが原則であるが、例外として社会的な弱者や政策的な配慮に基づいて実施するものである」と考えるのが法の趣旨ではありませんか?見解をもとめます。

[楚和企画財政部長]減免制度の見直しの行政的・法律的根拠と社会的弱者への配慮については、減免の適用により、減額または免除された料金の負担は、市民の税金で賄われることになります。そして、その幅広い適用は税配分の公平性を損なうことになりますので、減免制度の適正を図ることは、行政の基本的かつ不可欠な取り組みであり、地方自治法を根拠とする「受益者負担の原則」に基づくものであります。

 

 

次に、使用料の改訂と減免廃止と縮小による公共施設利用率の低下についてお尋ねいたします。利用率低下が10%から20%になると予想していますが、明確な見通しをお示し下さい。使用料の改訂と減免改悪により、利用率の低下を来す事への見解を求めます。

[楚和企画財政部長]広く市民に供する施設として、減免の廃止を検討しております市民会館、福祉文化会館、市民総合センターについてお答えします。3館共通の減免適用団体は、約600団体で、3館合計した20年度の減免適用率は24%となっております。

 

 

次に、老人福祉センターなど無料施設の有料化についてお尋ねいたします。

このところ、敬老祝い金の事実上の廃止、医療費公費負担制度の縮小、家賃補助など市独自の制度の縮小と高齢者施策は「野村行革」の標的にされてきました。せめて老人福祉センターは無料施設として残すべきです。市長の見解を求めます。

[楚和企画財政部長]老人福祉センターの利用料は、国の「老人福祉センター設置運営要綱」において、原則、無料としておりますが、徴収する場合は、当該利用に直接必要とする経費以下の額は徴収できるともなっており、また、有料化をすでに実施している市もありますので、「使用料・補助金等見直し検討部会」において負担の適正化の観点から検討してまいります。

 

 

次に、いのち・愛・ゆめセンターなど「解同優遇施設」においては、使用料や減免について解同や関連団体は別扱いを検討しているように見えます。見解を求めます。コミセンと公民館といのち・愛・ゆめセンターの使用料についての見解も求めます。

[楚和企画財政部長]愛センターの減免見直しの考え方とコミセン、公民館、愛センターの使用料については、愛センターについても、コミセンや公民館と同様に、地域活動の拠点となる「地域集会施設」として、その趣旨、目的等を踏まえ、使用料及び減免の見直し作業を行っているところであります。したがいまして、特定の団体のみを対象とした減免制度は考えておりません。

 


◎請願第1号「国民健康保険料の引き下げなどを求めることについて」賛成討論

 日本共産党茨木市会議員団を代表いたしまして、請願第1号、国民健康保険料の引き下げなどを求めることについては、願意もっともであり、採択すべきという立場からの討論を行います。

 なお、本日現在、この請願署名は20,106筆の提出となっていると聞いております。

 以下、請願項目に沿って、採択すべきという理由を述べます。

 請願項目の第一である「国民健康保険料を来年度つまり2010年度は引き下げてください」についてでありますが、長引く不況の下、今、市民のくらしは、突然の解雇や雇い止め、派遣切り、倒産、廃業など大変厳しい事態に直面していることは、今更云うまでもありません。こうした中、とりわけ、国民健康保険料、介護保険料、後期高齢者医療制度保険料といった福祉や医療にかかわる保険料の負担は大きく、特に、少ない年金からの天引きが老後の暮らしをも脅かしています。市内の国保料滞納世帯は、過年度分だけでも5262世帯と多数の世帯が滞納に陥っており、21年度の数が確定すればさらにふくれあがることが予想される深刻な状況にあります。茨木市の国民健康保険料は2007年度、2008年度と一定の引き下げの措置がありました。しかし、昨年は、市民の世論の力もあって、一般会計からの料金抑制のための繰入額が一人当たり14636円に復元されるなど一定の措置は執られはしたものの、結果的には一人当たりの保険料は、20年度の83016円から、21年度は86436円へと値上げとなってしまいました。新年度の保険料については現時点での仮算定では賦課限度額の引き上げによる負担配分の改定により低所得者から中所得者層については所得割率の低減による恩恵が一定受けられる試算ではあるものの、一人当たりの保険料は昨年と同額であり、平成21年の賦課対象総所得はさらなる悪化が確実に予想される中、市民の負担能力から考えても、一層の引き下げが切実に求められています。国民健康保険料が全国的にも、また茨木市においても絶対的に高いという事実は否定のしようのないことであり、本市の財政力からしても、さらなる引き下げ努力の余地は十分にあり、かつ政策優先順位としても非常に高いものであると考えるものであります。

 請願項目の第二である「他市に比べて低位の保険料減額・軽減の制度を拡充してください。」についてでありますが、本市の国保料滞納世帯の所得分布状況を見ますと、所得200万円未満までで88.7%を占め、圧倒的に低所得者層に偏在しており、所得に対する保険料の負担率も13%を超えるなど過酷な実態があります。有り体に云うならば、保険料が高すぎて払いたくても払えない、結果的に滞納に陥るという悪質なスパイラルに陥っています。市民の保険料負担軽減の方策として、一つは法定外繰り入れ金の投入により賦課徴収額を減らして全体的に保険料を軽減する方法。もう一つは独自の保険料の軽減・減額制度の内容および運用を充実させて、とくに保険料の負担能力について乏しい所得階層の負担を軽減する方策があります。つまりモデル世帯の保険料比較だけでは見えてこない負担軽減策が、各市の裁量の下バランスよく活用されているわけですが、茨木市における運用状況を見ると、法定軽減以外にいわゆる災害減免は実施されているものの、北摂他市のような身障者軽減や低所得者軽減、一人親家庭軽減などは行われておらず、またかろうじて行われている災害減免についても適用数が非常に少ない状況にあります。20年度の適用件数ははわずか617件。北摂では池田市の2384件、高槻市の1634件、吹田市の2996件などと比較しても保険料の減額・軽減制度については立ち後れた状況にあるといわざるをえません。このことは収入率が年々低下していく原因ともなっているとかんがえるものです。

 請願項目の第三である「払いたくても払えない人に対する容赦ない保険証の取り上げや差押えは止めてください」についてでありますが、これはもう端的に本年3月4日参院予算委員会での長妻厚生労働大臣による答弁であります「払えるのに払わないことが証明された人以外には慎重に対処するようお願いしている」という方針に従うべきであります。茨木市はこれまで国の方針に右に直れで資格証明書を発行しているという姿勢で来たわけでありますから、大臣の方針が示された以上、この際、機械的な資格証明書の発行は止めるべきであります。市は14段階の督促手続きを踏んでいるので機械的な発行ではないと言い張りますが、払える資力があるのに故意に払わない悪質滞納であることの証明を怠っている時点で機械的な処理であるというのが国の通知等からでも明らかであり、連絡がないことをもって払えるのに払わないという悪意を推定するのは「疑わしきは罰せず」という原理原則から足を踏み外した姿勢であります。

平成20年度、茨木市の資格証明書の発行数1261件に対して、高槻市506件、豊中市431件、吹田市9件、摂津市28件、箕面市12件、池田市53件。同じように国の法律等に従って執行されている国保事業において、このように茨木市のみが突出して発行数が多い現状を見ても本市の異常ぶりはあきらかであり、かといって、収納率は各市ほぼ横並びであり国から課される調整交付金減額のペナルティについても同水準なのであります。

 請願項目の第四である「後期高齢者医療制度の廃止を国に働きかけてください」についてでありますが、当該医療制度は2年ごとに保険料の見直しが行われ、その制度構造上、必然的に保険料の値上げに直結せざるをえない制度であります。今年4月には早くも1回目の保険料改定が行われますが、新政権の下でさまざまな支援施策が処置された結果、府下の保険料は5.07%増に抑えられたものの、当初の試算では20.8%という法外な保険料負担増が示されていました。そして、また同時に、都道府県としては、制度維持のために医療給付そのものの抑制にも並行して動かざるを得なくなってきます。これは、具体的には医療機関に支払う診療報酬を引き下げることで達成されるので、それはすなわち、75歳以上の高齢者を囲い込んでいる以上、高齢者が受けられる医療に制限が加わる、言い換えれば、高齢者が受けられる医療水準の質が今後下がってくることに容易に帰結する制度を意味するわけです。差別的医療制度であると糾弾される所以です。即時廃止により2度の制度移行が行われ高齢者や自治体が混乱するという意見もありますが、差別的医療制度であることが問題の核心なのであり、主権者である国民は一日も早い廃止を求めており、それは今回の請願にも意志となって現れています。また先の総選挙の結果についてもその民意が示されたものであると改めて指摘したいと思います。

 以上、各請願項目について賛成する理由を申し述べました。いずれの項目も願意もっともであり、多少の見解の相違があっても、請願者の願意を尊重すべきであると申し添えまして、本請願の賛成討論とするものであります。議員各位のご賛同をよろしくお願い申し上げます。ご清聴ありがとうございました。