[畑中たけし] 平成23年3月臨時市議会 本会議質疑、討論

◎議案第19号 茨木市立幼稚園条例の一部改正について
◎議案第35号 平成23年度大阪府茨木市一般会計予算
   ☆立命館茨木進出について
   ☆公契約条例の制定について
◎請願第1号 国民健康保険料の引き下げなどを求めることについて[賛成討論]


◎茨木市立幼稚園条例の一部改正について

(畑中一問目) それでは、議案第19号、茨木市立幼稚園条例の一部改正について、お尋ねいたします。
 本条例改正案については、基本的に賛成の立場でありますが、改正後の運用について、たとえ退園規定を設けるとしても、極めて慎重を期するべきであるとの立場から、幾つかお尋ねいたします。
 1点目に、滞納状況とその理由、滞納総額など、茨木市が分析している実態について、お尋ねいたします。
 2点目に、滞納に対するこれまでの対処手順とその後の債権の処理状況について、お尋ねいたします。本改正により、どのようにこれまでの状況から変化することになるのか、お聞かせください。
 3点目に、北摂7市における入園料、保育料未納を原因とする退園規定の整備状況、本条例改正案との主な違いについて、お尋ねいたします。
 4点目に、明らかに払えるのに払わない悪質な滞納者はともかくとして、問題は払いたくても払えない世帯の幼児を機械的に退園させるような方向に流れてはならないということです。市の基本的な見解をお尋ねいたします。
 本条例改正案では、単に期限が述べられているだけです。しゃくし定規に解釈すれば、いかなる理由であろうと期限までの納付がなければ退園措置の可能性が生じてしまいます。北摂他市では退園規定に、正当な理由なくしてという文言がつけ加えられている例もあります。本市でも規則等で、適用は極めて悪質な場合に限る旨など、明確な基準づくりが必要であると意見いたしますが、その見解をお聞かせください。
 1問目、以上です。

[小西管理部長] まず、1点目の滞納状況とその理由、滞納総額についてでございますが、平成23年2月末時点での滞納状況につきましては、平成22年現年度分の12月までは完納となっております。が、1月分につきましては、未納者は5人、未納総額は5万円となっております。その理由でございますが、生活困窮による者が2人、他の3人につきましては、特段の事由はないものと考えております。
 次に、滞納繰越分につきましては、滞納者数は12人、滞納総額は35万4,000円、滞納理由でありますが、生活困窮による者が2人、支払いを約束したものの規範意識の欠如により園児の卒園以後において支払いを履行しなくなった者が10人となっております。
 次に、滞納状況に対するこれまでの対応手順と改正後の手順についてでございますが、現在、保育料等の未納者に対しましては、文書により督促し、それでも支払いがない場合、電話催告、自宅訪問等を行っております。催告に当たっては、未納者の経済状況等の把握と納付の相談に努め、3か月以上滞納し、一括払いが困難な場合は分割納付、子ども手当による支払いの確約を求め、徴収に努めております。
 今後につきましても、未納者の経済状況を踏まえた丁寧な対応に努めるとともに、子ども手当が支給され、負担能力があるにもかかわらず規範意識の欠如等により支払いの誓約に応じない者がある場合は、幼稚園が義務教育ではないことも踏まえまして、公平性を保つため、退園命令も選択することとなります。
 次に、北摂7市の同様規定の整備状況と本市改正案との相違点でございますが、現在、北摂他市の状況でありますが、未納による退園規定を条例で定めておりますのが2市、規則で定めておりますのが2市であります。また、退園規定が適用される未納月数につきましては、内規も含めまして3か月が3市、1か月が1市となっており、本市改正案が他市と大きく相違するところはございません。
 次に、規則などで運用基準をつくる必要があるのではないかということでございますが、これまでから毎年度、徴収方針を定め、教育的配慮を行いながら徴収業務を実施しておりますが、今後は徴収方針に、子ども手当の取り扱いと退園命令を加え、徴収方針をフロー化し、運用してまいりたく考えております。
 以上でございます。

(畑中二問目) 1問目、一定お答えいただきました。とりあえず改めて、みだりな退園措置に走らないよう戒める内部規定が必要であると意見するものです。その上で、本当に悪質な事例に限るためには、的確な滞納理由の把握、分割納付相談、現実の実態に即した入園料、保育料の減免適用が必要であると考えますが、それぞれ改めて見解をお尋ねいたします。
 また、それについて、分割納付の適用状況、それから減免の適用状況、本市の減免適用の実施基準についても、あわせてお尋ねいたします。
 2問目、以上です。

[小西管理部長] 実態に即した減免対応が必要ではないかということでございますが、現在、保育料につきましては、条例により生活保護世帯は免除、要綱により当該年度に納付すべき市民税の所得割が非課税となる世帯は、年間最大2万円の減額を行っております。
 年度途中の家計急変などに対しましては、分割納付や子ども手当による支払いの確約を求めるなど、丁寧な対応に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。

(畑中三問目) それでは3問目、今、子ども手当というものがありまして、その子ども手当法の中には、子ども手当の支給を受けた者は、支給の趣旨にかんがみ、これをその趣旨に従って用いなければならないと法律にも記述されておりまして、給付金を子どもの成長及び発達のために使用する責務があるとの建前があります。今、こういう厳しい雇用情勢の中で、実際には、生活困窮世帯では生活の維持のほうが先決で、給付金を丸々そのまま保育料満額納付に回せればいいですけれども、払いたいという意思があっても、どうしてもそうならない場合が多々あり得ると考えます。特に急激な生活困窮に陥った場合、茨木市、先ほど生活保護に対して減免があるとおっしゃいましたけれども、一応、条例の文言上は公的扶助になっているんですけれども、他市でも生活保護と書かれているんですけども、この公的扶助というのは生活保護に限られるのかについて、ちょっと確認でお聞きしたいんです。公的扶助といえば、就学援助なんかも公的扶助に当たらないのか、これについて、ちょっと確認でお聞かせ願えますか。
 それから、生活困窮世帯、こちらに対しての減免をやっぱり柔軟に適用してほしいというところなんです。この制度趣旨から考えても、納付相談ができるならばそうですけれども、やはり減免のほうも積極的に適用していただきたいと。その中でも、すべての方策を尽くした結果、それでもという場合には、悪意という場合には、退園規定はやむを得ないかと考えますけれども、退園規定の適用には、慎重にも慎重を重ねるべきであると重ねて意見いたします。
 ちょっと聞いた部分だけ、わかればお答えください。

[小西管理部長] 減免申請に関してでございますが、子ども手当につきましては、保育料の支払いを優先していただけるのが趣旨と考えております。
 なお、先ほどもご答弁申しあげておりますが、減免につきましては、茨木市立幼稚園保育料等減免措置要綱に基づきまして、生活保護世帯や当該年度に納付すべき市民税の所得割が非課税の世帯が対象となっております。したがいまして、丁寧な対応を今後も続けてまいりたいというふうに思っております。
 就学援助につきましては、ちょっと私のほうは所管外でございます。

[岡田学校教育部長] 就学援助につきましては、小・中学校での適用でございますので、幼稚園ではございません。
(「その世帯が就学援助にかかわってれば、公的扶助を受けてる世帯が幼稚園にも公的扶助かかってるということで、幼稚園でも減免できるんちゃうかっていう話なんです」と畑中議員呼ぶ)

[小西管理部長] 条例の中に免除ができる規定が、生活保護世帯というふうに規定をされてますので、この場合の公的扶助は生活保護世帯というふうに考えております。
 以上でございます。


◎平成23年度大阪府茨木市一般会計予算質疑

(畑中議員) それでは、大きな1点目として、立命館大学茨木進出について、お尋ねいたします。
 施政方針で、市長は、「立命館大学の進出につきましては、キャンパス開設に向けた支援に努めるとともに、大学と十分な連携を図り、将来のまちづくりを見据えながら、本市の魅力と活力につながるよう、市民開放施設や周辺整備、さらには関連する道路整備の検討に取り組んでまいります」としています。
 そこで、第1に、昨年11月の用地取得、進出決定以後の状況について、お尋ねいたします。
 かねてより、党市会議員団は、計画策定と費用負担の協議は市民公開でと主張してきました。発表時に、年度内に学生数1万人に符合する移転学部の決定を行うと総長は記者会見で言っていましたが、3月末も迫っています。移転学部の決定状況について、どのように報告を受けているのか、お尋ねいたします。年度末までに内定するのか、その見通しについてもお尋ねいたします。
 次に、その後の茨木市と大学の計画策定や、費用負担についての協議の進捗状況をお尋ねいたします。この間の協議の実施状況、協議の内容、そして、合意の状況、さらに、協議文書の存在についてもお尋ねいたします。
 次に、本事業にかかわる都市再生特別措置法のまちづくり交付金等の活用の取り組みについて、基本的考え方を総括的にお尋ねいたします。特に防災公園街区整備事業は、URの直接施行ということで、国の補助金、あるいはURの立てかえ等の活用も図るということですが、市内部における取り組み、UR機構との協議の進捗状況をお尋ねいたします。協議の実施状況、協議の内容、さらに、合意があれば合意の状況、さらに、協議の文書の存在についてもお尋ねいたします。
 また、道路は社会資本整備総合交付金の活用について検討するとのことですが、こちらについても同様に、これらの進捗状況をそれぞれお尋ねいたします。
 第2に、大学敷地の土壌汚染についてもお尋ねいたします。真に適切な汚染除去は的確な原因究明ができてこその立場から、お尋ねいたします。
 昨年12月議会で、大塚都市整備部長は、「サッポロビールの用地につきましては、昭和30年代の前後に、市のほうで工場誘致をするために市において造成をしたというようなことを聞いた記憶はございます。ただ、その関係の書類等は既に残っていないというふうに思いますし、土壌汚染の内容から見ますと、多分、山土であろうかというふうなことが想像されますけれども、改めて調査をすることはちょっと現時点では難しいのではないかというふうに考えております」と答弁されました。ところが、その直後に、茨木市議会四十年史、66ページから69ページに、元茨木川堤防切り土を第1期工事では松下電器工場に、第2期工事では日本ビール(現サッポロビール)の敷地造成に使用したという記述を発見しました。この事実を都市整備部長も産業環境部長も知っていながら、とぼけて答弁したとしか考えられません。経過を明らかにするよう求めるものです。
 第2期工事の日本ビール造成にかかわる市議会での紛糾が詳しく、リアルに記述されています。また、元茨木川(廃川)後の、戦中から戦後の元茨木川の状況については、現存の茨木川緑地案内板、ちなみに、元茨木川は廃川となり、一時はごみ捨て場のような醜い環境になっていました、この案内板から見ても、廃棄物の不法投棄が大量、広範囲に行われていたとされています。関係者の証言でも、一般廃棄物のみならず、事業系及び産業廃棄物も含まれていたとされています。現敷地の土壌汚染の原因となった可能性も十分考えられます。市議会の議事録や保存書類から、当時の工事請負契約の締結の内容がわかります。当該の契約工事名、契約期日、契約先、契約金額、契約方法、契約内容を報告するよう求めるものですが、答弁を求めます。
 さらに、当時の造成工事の請負者は大成建設です。大成建設と言えば、今回の土壌汚染の自主調査及び報告者の当事者です。同じ業者が実施した調査の信憑性に疑問が残ります。市の見解を求めます。
 平成20年に茨木市に提出されたサッポロビールの大阪府条例第81条の4に基づく土地の区画形質の変更の報告書の土地の利用履歴等調査結果では、造成工事時に汚染土壌が搬入された可能性に関連する記述は全く見られません。その事実を承知しながら、サッポロビールも大成建設も意図的に隠したとしか思えません。茨木市も、知っていながら指摘しなかった責任も重大だと考えますが、市の見解を求めます。

 大きな2点目として、公正な契約と委託先労働者の賃金等労働条件の確保のための公契約条例の制定を求める立場から、幾つかお尋ねいたします。
 1つ目に、一昨年の12月議会において、千葉県野田市で全国初となる地方自治体による公契約条例が制定されたことを受けて、党市会議員団もその事例をあげつつ、茨木市でも公契約条例制定に向けて乗り出すように求めました。その答弁として、市長は、「公契約に関する基本法の制定を求める意見書が全会一致の採択をされておりますので、本市としても研究をしてまいりますが、やはり基本的には国が早期に法を整備るすべきであるという考え方でおります」と述べておられます。現況について、市長の考え方を改めてお聞かせください。
 もとより国による公契約法の制定が望ましいことは確かですが、自治体が汗をかいて努力し、国に重い腰を上げさせるべく働きかけていくのか、または、いつ実るのかわからない果実をただ座して待つのみなのか、自治体としての姿勢が問われていると考えます。今や、みずから能動的に動く自治体が市民から求められ、それは最終的に住民の福祉の向上という果実につながっていくのであると考えるのですが、この点についての市長の見解をお聞かせください。
 2つ目に、公契約条例の意義について、お尋ねいたします。これまで、価格だけを評価して業務委託先を選定する入札制度は、下請業者へのしわ寄せや従事する労働者の低賃金をはじめとした、さまざまな公正労働の問題を引き起こしてきました。御存じのように、建設業の元請、下請関係は、幾重にもわたる重層構造になっています。つまり、施工の労働力は、下位下請の労働者が担っています。ところが、自治体などの発注者と元請間の契約で計上される労務費額は下位下請になるほど減額され、賃金は低下する一方です。今では、公共工事をめぐる価格競争が激しくなり、国みずからが警鐘を鳴らしているほどです。大阪府下5市における2008年の現場実態調査によると、その平均賃金は、国の設計労務単価を、大工で37.5%、左官で23%も下回っているという結果が示されています。
 そこでお尋ねいたします。茨木市発注の公共工事、指定管理契約や業務委託している現場の労働者の賃金や労働条件の実態をお示しください。もし把握していないとしたら、公契約の発注者の責任として、直ちに市は調査すべきであると意見するものですが、答弁を求めます。
 一例をあげますと、市庁舎等管理業務における現場の警備員や受付員の時給単価はどうなっているのか、お示しください。
 公共工事の財源は税金です。公共の福祉や社会資本の整備を確実に達成するためには、施工に当たる労働者の低賃金や劣悪な労働条件が許されるものではありません。元請契約で積算される労務費額が施工能力や技能にふさわしく、末端で働く現場の労働者、職人に支払われるべきであり、もって公契約の価値を高めていくべきです。市の見解を求めます。
 現在の入札制度は、基本的に可能な限り安い価格で調達することで、税金のむだをなくす考え方に基づいたものですが、結局、価格というファクターに偏重して業者を選ぶ手法が、労働者の労働条件の劣悪化につながっています。茨木市でも総合評価入札制度が一部導入されまして、価格以外の要素である技術的評価、公共性評価等が加味されるなど、一定の取り組みはなされています。特に、公共性評価では雇用に関する配慮項目も加えられていますが、下請業者や委託先労働者の賃金等労働条件の確保までしっかり担保するまでには至っていません。
 公共工事の品質確保の促進に関する法律においても、基本理念で、公共工事の品質確保のためには、価格以外の多様な要素をも考慮しなければならないとし、あわせて、地方公共団体や発注者の責務も定められています。法の趣旨として、多様な要素には、当然、適正労働基準の確保も含まれると言われています。また、公共サービス基本法第11条でも、「国及び地方公共団体は、安全かつ良質な公共サービスが適正かつ確実に実施されるようにするため、公共サービスの実施に従事する者の適正な労働条件の確保その他の労働環境の整備に関し必要な施策を講ずるよう努めるもの」としています。

 これらの法の目的を実現するためにも、公正労働の確保は必要不可欠であり、自治体の責務として、公正労働基準、環境や福祉、男女平等参画などにかかわる政策を推進するためには、自治体内部だけではなくて、公契約入札を希望する企業にも、このような社会的価値の実現に向けた取り組みを市と協力して実現してもらうことが必要であると考えますが、市の見解をお聞かせください。
 3つ目に、条例制定にかかわって言われている課題について、お尋ねいたします。
 前回の公契約条例を求めての本会議質疑の答弁で、企画財政部長は、「公契約における適正な労働条件の確保につきましては、その必要性は認識しておりますが、一自治体で解決できるものではなく」と述べていますが、なぜ一自治体では公契約における適正な労働条件の確保が不可能なのか、その根拠をお示しください。
 少なくとも茨木市の発注する公共工事や業務委託については実効性が期待できるものであり、市の考え方は、市の独自性を否定したものであると考えますが、あわせて見解をお聞かせください。
 次に、契約自由の原則の観点から、企画財政部長は、「国や地方公共団体が発注者の優位な立場をもって労働条件等に介入することは契約自由の原則に問題があるのではないと考えております」と答弁しました。これも全く筋が通っておらず、理解不能です。公契約において、発注者としての地方公共団体と受注希望者はあくまでも対当であり、何をもって優位な立場にあるというのか、その法的根拠をお示しください。
 茨木市の契約書にも、委託者と受託者は、各々対等な立場における合意に基づいて公正な契約を締結し、信義に従って誠実に履行するものとすると明確に書かれています。この文言は虚偽ということでしょうか。
 また、公契約において、一定の条件を附帯することそのものが、なぜ契約自由の原則を害することになるのか、その法的根拠もお示しください。
 さらに、契約自由の原則とは、1.締約自由の原則、2.相手方自由の原則、3.内容自由の原則、4.方法自由の原則の4要素から成っています。問題があるというのなら、4要素のうちどれに当たるのか、明確にお示しください。
 次に、条例で公契約における最低賃金を定めることは、最賃法との関係では問題ないことは政府答弁もあり、クリアされているとの認識を市も持っておられるようですが、その他の法制度との関係や条例の実効性の担保などで懸念事項があると答弁されました。その他の法制度とは具体的にどの法律なのか、実効性の担保とは具体的にどのような事項に当たるのか、より精確にお示しください。
 1問目、以上です。


[大塚都市整備部長] 立命館大学の進出につきまして、お答えをいたします。
 大学の計画がいつごろ決まるのかということでございます。これにつきましては、平成27年(2015年)の茨木キャンパスでの開校ということでございまして、大学におきまして、キャンパスのあり方を検討する組織としてキャンパス創造委員会、キャンパス計画委員会を設置され、協議がスタートとしているというふうに聞いております。
 ただ、学部の決定につきましては、2015年の開校スケジュールを踏まえ、大学において必要な時期に決定をされるということでございまして、その時期については大学のほうの判断になろうかというふうに思ってます。
 2点目の整備計画の内容等につきまして、まちづくり交付金なり防災公園街区整備事業、社会資本整備総合交付金の活用も含めて、どのような協議内容なり協議の状況なり、合意の状況、協議文書の有無ということでございますが、当然のことながら、これらにつきましては、大学の施設の規模、施設の内容にも関連をいたします。これまでから、月に1回、あるいは2回ぐらいのペースで大学、また、防災公園街区整備事業の施行者となりますURも含めて協議を進めておりますが、当然、土地利用の内容等も将来を踏まえて協議を進めておりますが、現時点で合意をいたしたものは全くございません。当然のことながら、協議文書についても存在いたしておりません。
 2点目の土壌汚染の関係でございます。これについて、12月議会で、市が造成したというようなことを聞いたことがあるというふうに申しあげました。その段階の私どもの記憶はそのレベルでございまして、ご指摘の四十年史の記載につきましては、12月議会の後、私どものほうで気がついたということでございますので、よろしくお願いします。当時は把握をいたしておりません。
 土壌汚染の内容なり原因について、種々ご指摘をいただいております。業者がどうであるとか、当時の工事がどうであるとかいうようなご指摘もございますけども、既にサッポロビール株式会社が土地を持っていた段階で、土壌汚染対策法に基づき、順次、調査が行われ、汚染土が発見されたところについては既に撤去をされ、土壌改良が行われておりますので、あえてこの時期に原因究明をする必要はないというふうに考えております。

[野村市長] 公契約条例についての現時点での考え方ということでございますが、公平性を保つためにも、国全体のルールとして決める必要があると考えておりますので、これまで答弁をさせていただいておりますとおり、法律によるべきものと考えております。
 なお、その必要性、あるいは労働条件の確保等がございますので、市長会を通じまして、公契約法の制定を要望しているところでございます。

[楚和企画財政部長] 公契約条例の制定ということでたくさんの質問をいただきまして、まず、基本的には、やはり、今、市長の答弁もありましたけど、良質な公共のサービスと安定的な提供、また、その事業に従事する者の労働案件の改善並びに職場の安全確保、こういうところの公契約に関する部分については、国のほうで早期に制定されるべきと、こういう考えに立っております。その考えに基づきまして、以下、答弁いたします。
 まず、公契約条例の意義についてでございますが、契約本来の目的であります適正な履行の確保、また、公契約に係る適正な労働条件を確保することによりまして、当該契約内容の質の確保、また、社会的価値の向上につながると、そういう認識でございます。
 次に、公契約の現場賃金の実態の把握というご質問でございますが、労働者の賃金、労働条件につきましては、請負業者が労働基準法、また、最低賃金法、労働安全衛生法等の労働関係法令を遵守し、履行することが当然の責務と考えておりますので、実態については把握しておりません。
 また、実際の支払賃金の実態の把握につきましては、今、法律を申しあげましたが、所管する労働基準監督署、こういうところが実態把握、調査をするものであると考えてます。
 また、公共サービス基本法の関係でご質問がありましたが、この法の認識といたしましては、公共サービスが国民生活の基盤となり得るものでありますので、国等の責務、国民の意見の反映などを定め、公共サービスによる利益を享受する国民の立場に立って制定されたというふうに認識しております。
 次に、契約の自由ということで、何をもって優位ということで、その辺の根拠、また、原則ということでございますが、原則要素としては契約締結の自由、相手方選択の自由、内容決定の自由、方式の自由という4要素がありますが、やはり発注者には一定、優位な立場がありますので、そういう優位性をもって発注するというのは、その対等な部分について、損なわれるようになりますので、その原則から外れるんではないかという考えをしております。
 それから、諸課題ということでいろいろご指摘、ご質問等がありましたけど、これはいろいろ今までの議論もされてきまして、いろんな法的な問題、また、実効性を担保する上での問題、種々あるかと思います。1つは憲法上の論点ということで問題があります。憲法第27条第2項で、「賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める」と、こういう部分について、最低賃金を上回る分について条例を定めることができるのかと、これは先ほど、一定のお話、見解もありましたけど、やはりこの辺については懸念されているところではないかと思います。
 それから、法の関係で、地方自治法におきまして、自治法の目的とするところは住民の福祉の増進を図るということがありますので、この辺について、この労働者の対象とするところは、本市住民でない場合、そういうところも一定の課題はあるのではないかと考えてます。
 また、これも法の関係等になりますが、契約の条件の決定、これは長の専権事項であると、この辺に条例を課してもいいのかと、その辺の課題もあるかと思います。
 また、自治法の求めるところは、最少の経費で最大の効果を上げると、こういうこともありますので、一定、その上積みという部分はいかがなものかという課題もあるかと思います。
 また、労働法の関係でも、先ほど申しあげましたが、契約の自由の原則というところに一定の問題があると、こういうところが課題ではないかというふうに思います。
 また、一自治体でしてもというところで、そういう担保が図られないのではないかということなんですが、条例というのは、一定、地理的な限界というのがあります。こういう契約というのは、広域的な経済活動という部分がありますので、条例で規制したりするのは難しいのではないかと考えております。
 また、請負契約の中で実効性、それをどこまで確保していくのかというところも非常に難しいというふうに考えます。
 ですから、一自治体ではなかなか、この契約を定めて、最初、目的としましたところの部分が果たしていけないのではないかというところで、各自治体におきましても同じような考え方で、国の法を待たれるべきということになってるかと思います。
 実際のところ、野田市、川崎市で実行してますけども、それらの先行している自治体におきましても、国の法をということで要望されていると、こういう実態がございます。
 以上でございます。

[大野総務部長] 庁舎管理業務の警備員、受付の賃金の実態でございます。
 庁舎管理業務は委託契約でございます。その委託業務に従事する労働者の賃金につきましては、契約先の事業主と労働者との雇用契約に基づくものでありますので、その実態は把握しておりません。
 以上です。



(畑中二問目) それでは、2問目、立命館の問題に関して、昨年12月の学校法人の常任理事会に提出された文書、キャンパス創造課題の確認と議論の進め方についてでは、常任理事会は、とりわけ用地取得の決定にかかわって示された反対意見、慎重意見を重く受けとめ、尊重するということを繰り返し確認している。そのためには、全学から寄せられた批判や反対も含めて、提示されたさまざまな意見を共有することが重要であると考えられるとしています。さらに、同文書の、日程についてから推察すると、結論にはかなりの時間が予想されます。もちろん教学的議論の展開の主体は大学ではありますが、茨木市の対応も、議論の進捗状況を踏まえた対応が必要と考えます。市長の現状の把握と市の対応について、改めて見解を求めます。

 次に、大学内部の検討の進捗状況を見ての今後の検討課題について、お尋ねいたします。茨木市が用地を取得して施設を建設する交流センターホール、図書館、公園等の開設以後の管理運営について、お尋ねいたします。
 党市会議員団は、大学と茨木市の共同の管理運営で、市民も利用しやすいようにと考えています。大学のびわこ・くさつキャンパス等の実績からすれば、茨木市が用地も建物も無償で提供し、大学が、市民にも開放しながら管理運営するという形態が普通と言われています。茨木市の現時点でのお考えをお聞かせください。
 次に、全国の大学立地の、地方自治体における大学と自治体の連携した計画づくりがインターネット等で紹介されています。前述の立命館大学常任理事会文書でも、ネットワークの形成、新キャンパス展開を機とした地域、校友、父母、自治体等機関、企業等の経済界、産業界などとの連携と明記しています。そこで関係者による計画づくりの組織設立を茨木市からも時期を見て提案すべきだと考えます。市長の見解を求めます。
 次に、市長は立命館大学に関する質疑の答弁で、駅利用や駅からの連絡を円滑にするため、JRとも意見交換を始めたといいますが、この意見交換の中には、プラットホームの延長や大学敷地と駅舎を結ぶ歩道橋も今後含まれていくことになるのか、市長の答弁を求めます。
 いずれにせよ、党議員団が昨年12月議会に示した大学立地配置図どおりの計画が着々と進められているように思われます。
 次に、立命館大学は開発行為を行う時点で、大阪府の条例第81条の5に基づく調査を行って、その結果を市長に報告する必要があるのかどうか、お尋ねいたします。

 大きな2点目として、公契約の問題について、いろいろ諸問題について詳しくお答えいただいたんですけれども、時間もありませんので、委員会、また、次の機会に任せたいと思います。
 総括的に、市庁舎等管理業務は3年前に総合評価一般競争入札が実施されました。契約が平成23年6月をもって終了するため、新たな委託先決定のための入札が行われることになると思いますが、前回と比べて、価格以外の評価の項目について、新たにつけ加える評価項目、予定の要素があるならば、お示しください。
 3年前は、予定価格、月単価2,000万円に対して、低入札基準価格ぎりぎりの約1,670万円で入札した業者が落札しました。結果、現場で働く労働者の賃金が大きく下がり、問題となりました。現在、現場で警備業務を担っておられる方々の時給は、新人で800円、長年経験を積んだベテランでも900円というのが実態です。茨木市が直接雇用する臨時職員は、一般事務で910円、作業員が950円です。国土交通省が業務委託積算の参考とするために出している建築保全業務労務単価では、大阪地域では、ベテラン警備員で時給1,575円、中堅で1,312円、新人でも1,037円となっています。茨木市が立てている入札予定価格の参考設計単価においても、時給換算にすると約1,210円となっています。しかし、現実には時給800円です。市庁舎の警備業務従事者の賃金が、実態としてこのような劣悪な水準にあることについて、市の見解をお聞かせください。
 とにかく、庁舎管理業務委託先はこの間、2度かわり、そのたびに時給単価は切り下げられ、1,200円が900円半ばに、そして、さらに今や800円にと落ち込み、大阪府の最低賃金779円に迫ろうかという状況にあります。問題は茨木市においても起こっているということです。市の見解を求めます。
 一自治体の条例では、全国的な問題の解決にならないというのは最初からわかっていることであり、今さら言うまでもないことです。まず隗より始めよという言葉があります。野田市の呼びかけは、公契約条例を全国の自治体で広げていこうと、点はいずれ面になる。そして、さらに国による公契約法制定につなげていこうという思いが込められているのではないでしょうか。
 野田市の条例も最初から完璧なものとは考えておらず、これからどんどん改良していくつもりであると担当者より伺いました。そして、早くも1年後には改正が行われ、対象業務委託の範囲拡大や職種別賃金の導入、継続雇用の確保、下請業者の適正な請負額確保の3点で改善は行われました。また、川崎市の条例では、野田市の条例を参考にして、指定管理者や一人親方も対象に含めるなど、野田市より進んだ内容も含まれています。茨木市は、条例化によるその他の法的制度の関係や条例の実効性の担保など懸念される点もありますと言いますが、そうした課題も議論するような市民参加の公契約のあり方に関する審議会を開催してはどうかと意見いたしますが、市長の見解を求めます。
 また、野田市では、条例を制定するに当たって、地元の建設業界とも丁寧に協議を重ねたそうです。市長も茨木市内の建設業界と条例制定に向けた意見交換を行ってはどうかと考えますが、見解をお聞かせください。
 契約自由の原則にかかわってもお聞きいたします。たとえ茨木市が公契約において最賃法を上回る水準の賃金を求めたとしても、それはあくまで茨木市が当事者となる公契約の内容の1つとして、事業者による一定の水準を上回る賃金の支払いを定めたものにすぎず、その適用対象も契約の相手方たる事業者に限られ、しかも事業者は条例の内容を法的に強制されるわけではなく、事業者は契約自由の原則のもと、条例の内容に同意するかしないかの自由を完全に保障されており、もし同意できないという場合には、市との契約を結ばなければよいだけであり、事業者が雇用する労働者全体の賃金自体が条例によって直接規制されることではありません。どこからどう見ても、契約自由の原則を阻害する要素は含まれません。改めて見解を求めます。
 以上です。

[野村市長] まず初めに、立命館大学の進出につきまして、毎回議会の中で、進出に賛成をしていただいているという前提でお話をさせていただきたいと思います。
 まず、現在の状況でございますが、先ほど都市整備部長のほうから答弁いたしましたとおり、今現在、キャンパスのあり方を検討する、いわゆる創造委員会なり、あるいはキャンパス計画委員会を設置され、協議がスタートとしてるという状況でございますので、今後もその対応に十分調整を図ってまいりたいと存じます。
 それから、大学進出のキャンパスに伴う関係者の協議会の設置についてでございますが、これについては、もちろんイニシアチブは立命館のとることでございますから、立命館大学にもお聞きをいたしたいと存じます。
 それから、後のほうの質問で、公契約につきましては、冒頭のご質疑にお答えいたしましたとおり、公平性を保つためにも、全国、全体のルールとして決める必要があると考えておりますので、これについては、国の法律によるべきものという考えは変わりありません。
 それと、業者と話し合いをして公契約云々の話もございましたが、前段の答弁どおりでございます。

[山本副市長] 立命館大学進出にかかわって、たくさんご質問をいただきました。
 まず、開設以降の管理運営ということについて、現時点でどう考えてるかということでございますが、これらにつきましても、いまだ、施設概要も固まってないということですので、もちろんのこと、これからの協議になろうというふうに思っております。
 それから、プラットホームが大学敷地とつながるというような。
(「意見交換の中でそういった話題になっているのかと」と畑中議員呼ぶ)
 周辺整備の中でですね。それはJRとは一切まだいたしておりません。また、そういう計画自体がどこからどう出てきたのかわかりませんけれども、我々の今までの議論の中では議題にあがったこともありません。
 以上です。

[田中産業環境部長] 府条例の第81条の5に関しましてのご質疑でございますけれども、その土地の改変等につきまして、その規模、内容に応じて、必要となる場合があります。
 以上です。

[大野総務部長] 庁舎の管理業務委託契約の件で、前回ぎりぎりだったということで、劣悪な状況であったということですが、前回の契約につきましては、前年の契約額を参考に見積もったものでございまして、今回、平成23年度の業務委託契約につきましては、時間額1,250円で予算計上をしております。一般的に、契約額が下がるということでございますが、下がることによりまして、賃金や労働条件等が悪くなるか、よくなるかにつきましては、契約額イコール賃金ではなく、通常は間接経費や企業の利益など、さまざまな経費が加算されておりまして、一概には賃金や労働条件が悪くなるとは断定できないものと考えております。
 以上でございます。

[楚和企画財政部長] 庁舎の関係で、総合評価入札の項目ということでございますが、これは今現在検討中でございますので、よろしくお願いいたします。
 それから、もう1点ですけども、契約の自由の原則の関係で、再度、ご質疑いただきまして、いろいろご指摘はいただいてますけれども、基本的には、労働条件というのは雇用主と労働者の間の契約によって定められると、それが原則だと思います。契約内容を適切なものとするために労働基準法、最低賃金法などがございます。両者の力関係をバランスのとれたものにするために労働組合法があるというふうに考えます。これらの法律は、使用者と労働者の間における現実の力関係を考慮し、労働契約においては、契約の自由の原則と力関係を考慮して、契約自由と原則を修正する必要があるという判断に基づいて定められたものであり、ですから、発注者の優位性を持っての契約は、力関係がバランスが崩れるということになりますので、先ほどご答弁させていただいたということでございます。

(畑中三問目) 市長には、過ちては改むるにはばかることなかれという言葉を申しあげたいと思います。特に、公契約の今までの答弁はあまりにも不誠実です。野田市では条例施行後、庁舎清掃業務で時給100円の改善が見られたそうです。その他の業務でも事業者の理解を得られたそうです。茨木市にも再考を強く促して、質疑を終わります。
 以上です。


◎請願「国民健康保険料の引き下げなどを求めることについて」採択賛成討論

日本共産党茨木市会議員団を代表いたしまして、請願第1号、「国民健康保険料の引き下げなどを求めることについて」は、願意もっともであり、採択すべきという立場からの討論を行います。
 なお、本日現在、この請願は1万2490筆の署名が市に寄せられていると聞いております。
 以下、請願項目に沿って、採択すべきという理由を述べます。
 請願項目の第1である「国民健康保険料を来年度(2011年度)は引き下げて下さい」についてでありますが、ご存知のように、昨年の保険料改定は、前年度対比、所得割で0.13%アップ、均等割で1080円、平等割で1320円もの大幅な引き上げが行われた年となりました。国保料最高限度額も医療費分と支援金分を合わせて4万円の引き上げが強行されました。新年度も併せて2万円の限度額引き上げを市は目論んでいます。5年連続で実に通算12万円もの限度額引き上げとなります。新年度の保険料については、本算定はまだでありますが、今年2月の国保運協で市側から示された暫定試算値では、昨年対比でみると、所得割で0.08%アップ、均等割で480円、平等割で1080円の引き下げとなっています。中低所得階層においては、一見、小幅ながら保険料の軽減がなされるように見えます。しかしそれはあくまで大幅な値上げがあった前年と比べての増減であり、その前の09年度と比べると所得割、均等割、平等割三要素のすべてで引き上げとなっています。一方で、この間、国保加入者の所得総額は下がり続けています。2008年からわずか2年で総額50億円も下がり、党市会議員団の試算によると一世帯あたりで14万円も所得が下がっていることになります。加入者の負担能力は下がり続け、国保料の負担率は上がっていく。まさに踏んだり蹴ったりであります。こうした中、市民の世論もあり、新年度における保険料抑制のための法定外繰り入れは、被保険者一人あたり13000円を予定しており、10年度当初の10000円からすれば一定の前進はありました。しかし茨木市の一般会計は10年度も多額の実質黒字を予定しています。年度末に当初計画になかった駆け込みの用地取得で黒字減らしを行うのではなく、一般会計からの繰入額を一層増額して市民の負担能力の実態に見合った保険料となるよう努力すべきであり、茨木市にはその財政力はあるということです。

 請願項目の第2である「他市に比べて低位の保険料減額・軽減の制度を拡充してください」についてでありますが、本市の国保料滞納世帯の所得分布状況はこれまでも繰り返し申し上げましたように、所得200万円未満が圧倒的であり、国保料の負担に耐えかねた結果のあらわれであることは言うまでもありません。滞納世帯はこの1年でまたしても237件も増えました。保険料負担が増え、滞納世帯が増えていく、この悪循環をいい加減断つべきであります。昨年、国によって設けられた非自発的失業者に対する所得割軽減措置は適用件数が1146件と非常に大きな割合に上ることが質疑の中で明らかになりました。一方で市独自の保険料軽減制度は適用件数がこれまで600から700件ほどにとどまっていることからすると、残念ながら市の減免制度では手をさしのべるべきところに届いていないと言うことが明らかです。また保険料減免制度とほぼ同様の条件で適用されるはずの窓口3割の一部負担金減免制度が制度はあれども適用は長らくゼロ件に意図的に制限されていることも大問題であります。滞納が集中しているとくに低所得者階層や生活困窮世帯に対してきめ細かな保険料軽減が行われるよう制度の拡充や適用条件の緩和、市民への周知徹底を行うべきであると強く指摘するものです。

 請願項目の第3である「払いたくても払えない人に対する容赦のない保険証の取りあげや差押えはやめてください」についてでありますが、代表質問の答弁によると1月末時点で資格証の発行件数が1439件でした。昨年11月の保険証切り替わりの時期もあり、500件近い新規発行を強行するという過酷な状況となっています。党市会議員団はこれまでも一貫して資格証明書発行に頼らない滞納解消努力をと訴えてきました。国でも世論に押されて未成年者に対する資格証発行停止を昨年には高校生にまで拡げました。民医連の調査によると経済的理由で受診が遅れ死亡したとみられる事例が昨年1年間に71件あり、2005年の調査開始依頼過去最悪になったという結果も発表されています。納付相談の確保という目的なら臨戸徴収も全国いくつもの自治体で実施されており、国からの通知の中でも、低い保険料収納率対策として「嘱託徴収員の活用」が示されているにもかかわらず、茨木市は質疑に対する答弁の中で実施は考えていないとのことでありました。この点において茨木市の努力はまだまだその余地があると言わざるを得ません。払える資力があるのに故意に払わない、悪質滞納であることの証明を怠っている時点で、機械的な処理であるというのが国の通知等からでも明らかであり、連絡がないことをもって、払えるのに払わないという悪意を推定するのは、茨木市の怠慢に対するいいわけにでしかありません。命と健康を盾にとる資格証の発行はただちに中止するべきであります。

 請願項目の第4である「国保料の大幅な引き上げとなる府内同一料金化は止められたい」についてでありますが、府内同一料金化とは国保行政の広域化問題と切っても切れない関係にあります。厚労省は、国保広域化にあたって、保険料設定は法令で縛りをかけることにより、都道府県単位の運営主体において、一般会計からの繰入れを行う必要は生じない仕組みとするとしています。多くの市町村は住民の保険料負担を軽減するために一般会計から財源を繰り入れています。茨木市も同様です。繰り入れをなくせば、医療費の増加が保険料の値上げに直結し、国保料がいっそう高騰することは火を見るより明らかです。厚労省は広域化する理由として「安定的な財政運営ができる規模が必要」などとスケールメリットを挙げています。しかし、多くの加入者を抱える事実上の広域国保ともいえる政令市の横浜、大阪、札幌など大規模自治体ほど国保財政難はひどくなっています。つまり広域化は財政安定化にはつながらないことは現実が証明しています。全国どこでも財政難の国保を寄せ集めても財政が改善する見込みはありません。また、広域化が保険料値上げと給付抑制の押し付け、住民の声が届かない組織運営につながることも後期高齢者医療制度の「広域連合」で証明されています。今や非正規労働者や年金生活者をはじめ多くの低所得者が加入する国保は手厚い国庫負担なしにはそもそも成り立ちません。にもかかわらず、国は国保財政への国庫支出金の割合を50%から24%へ半減させてきました。その後の市町村国保財政の国保料は悪化の一途をたどっています。市町村国保だから財政難に陥っているのではありません。国庫負担削減路線を是正して計画的に復元していくと同時に、高すぎる国保料をだれもが払える水準に引き下げていくことこそが求められます。国保広域化の本当の狙いは、一般会計からの繰り入れを裁ち切り、医療費の増加を保険料アップに直結させ、際限ない保険料アップか、医療費の抑制か、という二者択一に国民を追い込むことにあります。小泉構造改革以来しぶとく生き続けている社会保障削減路線です。後期高齢者医療制度の運営主体を、一般財源をもたない都道府県単位の広域連合としたことも同じ狙いでした。当時の厚労省室長補佐は率直に、「後期高齢者医療制度の保険者を市町村にすると、市町村は国保と同じく、一般会計から繰り入れしてしまう」と語っていました。後期高齢者医療制度に組み込まれた、「保険料の負担増がいやなら医療費を抑制しろ」「お医者さんに行くのを控えろ」「必要な治療行為を受けることを控えろ」という仕組みを国保加入者の全年齢に拡大するものにつきるのです。

 請願項目の第五である「国保制度の中で高齢者を年齢区分する改悪案の撤回を求めてください」についてでありますが、そもそもの後期高齢者医療制度は開始当初から国民の大きな批判を浴び、制度の廃止を訴えた民主党へ政権交代をはたす大きなきっかけの一つともなりました。しかし、今、国で進められている新制度案は、国保の広域化とセットになって、大多数の高齢者を現行制度と同じような仕組みに囲い込むことになります。「新制度」案は75歳以上の大多数を国民健康保険に加入させるとしています。しかし、現行の市町村国保とは別勘定の都道府県単位の制度をつくって、その制度に加入させるというのです。高齢者に医療費の「1割相当」を負担させ、高齢者人口の割合が増え、医療費が増えるにつれて保険料を値上げする制度設計はそのままです。これでは、現行の後期高齢者医療制度とまったく変わりがありません。装いは「新制度」に変わっても、中身は後期高齢者医療制度の根幹を温存しているのです。高齢者医療制度改革会議でも「単なる看板の掛け替えにすぎない」と批判が出ているとおりです。厚労省の試算では、「新制度」に組み込まれる75歳以上の保険料は15年後には1.5倍に増加します。しかも、ほかの保険に加入するすべての世代の保険料も同じように上がり、国の負担だけが大幅に抑えられることになります。厚労省は70〜74歳の医療費の窓口本人負担を現在の1割から2割に倍増するとともに、75歳以上の低所得者への保険料軽減措置を縮小することも狙っています。お年よりの医療費を別勘定にし、さんざん肩身の狭い思いをさせて無理やり医療費を抑制する。ここに、お年よりの人間としての尊厳を踏みにじり、長寿を喜べないような立場に追い込んだ後期高齢者医療制度の非人間性の根源があります。 現行制度の加入者のうち8割以上の高齢者を、従来と同じような別勘定の制度に入れて医療費の抑制を図る。これでは後期高齢者医療制度の廃止どころか、形を変えた「うばすて山」の存続というほかありません。仮に対象年齢を65歳に引き下げることになったら、それこそ「うばすて山」の拡大です。そもそも民主党は「後期高齢者医療制度は廃止し、国民皆保険を守ります」と公約していました。医療政策(詳細版)では後期高齢者医療制度について「国民を年齢で差別し、高齢者率が上昇するほど75歳以上の保険料負担が増える仕組み」だと規定し、「民主党はこの制度を廃止」すると明確にのべています。「新制度」案は、まさに民主党が「廃止」の対象として規定した後期高齢者医療制度の根本欠陥をそのまま引き継いでいます。「新制度」によるごまかしをやめ、公約どおりに後期高齢者医療制度を廃止するよう求めるべきであります。民主党は後期高齢者医療制度を廃止して老人保健制度に戻すと公約していたのに、政権に就いたとたん、「新制度」をつくる4年後まで廃止を先送りしました。その「新制度」が「うばすて山」の存続というのは二重に許せません。民主党は「新制度」をつくるまでの負担軽減策も約束していたのに実行せず、多くの都道府県で保険料が引き上げられました。厚労省案では大多数の高齢者は国保に組み込まれますが、さんざん申し述べたように国保は失業・廃業、不安定雇用の増加で財政の悪化が深刻です。国庫負担の引き上げは急務であり、民主党も「9000億円の予算措置」を約束していたのに、これも守っていません。このように国民に対する何重もの裏切りは許せません。後期高齢者医療制度は速やかに廃止し、元の老人保健制度に戻した上で減らされ続けた国庫負担を抜本的に増額して、人間らしい高齢者医療制度に転換することが求められます。

 以上、各請願項目について賛成する理由を申し述べました。いずれの項目も願意もっともであり、多少の見解の相違があっても、請願者の願意を尊重すべきであると申し添えまして、本請願の賛成討論とするものであります。
 議員各位のご賛同をよろしくお願い申しあげます。ご清聴ありがとうございました。