[岩本まもる] 6月議会 一般質問 06年6月13日
「公立保育所民営化の凍結・延期について」
@民営化の問題について
A移管条件について
(1問目)
1、 民営化の問題点について
(1) 民営化の違法性について(5・22 横浜地裁判決)
「入所児童がいる保育所を民営化する際は児童と保護者の保育を受ける利益を尊重する必要性があり、同意が得られない場合は利益侵害と正当化できる合理的な理由と、これを補う代替措置を講ずる必要がある。本件民営化は大方の保護者が承諾しているとは言いがたい状況であった。保護者が態度を硬直化させた理由は、横浜市が民営化を行政的な決定事項で変更できないと対応した点にある。民営化に向けた協議の場として予定された三者協議会は設置されず、3ヶ月の引継ぎ期間も十分な根拠があるとは言えない。不利益をこうむる児童らが存在することを思えば「多様な保育ニーズに応える」という市の説明は早急な民営化を正当化する根拠としては不十分で、保育実施を受ける利益を尊重したものとは到底いえない。
よって、市が04年4月に民営化を実施したことは裁量を逸脱し、違法と認められる」とする初の民営化違法判決が示されました。
この判決に照らして、茨木市の保育所民営化の問題点について、質疑いたします。
第1に、横浜地裁が民営化は違法と認定した論旨の中心部分、民営化にかかる保護者の保育所選択権の侵害についてうかがいます。
3月議会で私の質疑に対し、南助役は児童福祉法第24条の解釈について
「法の趣旨は、市町村における保育需要に対応するように定めたもので、保育所は公立でなければならないことを規定しているのではない」と答弁されました。今でもその考えに相違ないのか、改めてお伺いします。
答弁(南助役)
「一点目におたずねいただきました、私の3月議会での答弁についての現在の考え方ですが、変わりはございません。
質疑(岩本)
第2に、民営化に対して保護者への説明責任等に関連して、質疑します。
横浜地裁判決では、@民営化によって不利益をこうむる保護者への説明責任、 A保護者の合意、B民営化の期日を定めて、早急に民営化をすすめていく市の態度などが争点となり、「特別に民営化を急ぐ理由は認められず、裁量の範囲の逸脱、乱用したもので違法」という司法判断が示されました。
茨木市では1月の民営化計画発表後、3月議会での中条・三島保育所廃止条例の強行から今議会にいたるまでの間、保護者に対し、どのような説明がおこなわれてきたのか、またそれによって保護者の理解を得られたのか、答弁を求めます。
答弁(奥原健康福祉部長)
「民営化計画発表後、市はどのように保護者等へ対応してきたということについてお答えします。1月24日、民営化計画決定後、
市のホームページへ掲載するとともに、その基本方針を公立保育所入所の全保護者に配布し、情報提供に努めております。
また対象となります8保育所の保護者会への説明会につきましても、個別や合同を含め、説明会を開催し、理解をしていただけるよう、努めております。
さらに移管法人を公募します市立保育所民営化移管法人募集要領につきましてもホームページへ公表するとともに、民営化移管法人選考委員会へ委員として参画していただくなど、保護者会からの強い要望に応えているところであります。
質疑(岩本)
第3に、移管条件に関連して
・ 茨木市保育所民営化移管法人申込参考資料として「茨木市人権保育基本方針」ならびに「人権保育カリキュラム」が添付されています。
人権保育カリキュラムの策定内容について「これまでの茨木市立保育所の「保育計画」をガイドラインとして、これまで同和保育や、障害児保育、多文化共生保育等で培ってきた「人権を大切にする保育」をさらに発展させ、人権保育の推進に応えるものとしてまとめたと記述されています。
同和保育とは何か、平成15年4月「人権保育基本方針」以前に本市が進めて来た「茨木市同和保育方針」に同和保育の目的・内容の項に「とりわけ同和地区の乳幼児は親のきびしい生活実態を反映し、一層深刻な状況におかれている。このような実態を充分にふまえ、奪われていた教育を保障するとともに、部落開放の担い手を育成するためにも次に掲げる子ども像を基本目標として保育を進めなければならない」とあります。
つまり移管法人に対し、部落開放の担い手を育成する同和保育をさらに発展させるための「人権保育」を推進することを移管条件に盛り込んでいます。
もともと、茨木市には「茨木市立保育所 保育の計画、手引書」があり、それで充分なのに、さらに「人権保育基本方針」と偏った本市独自の「人権」という名の「同和保育」の実践を移管法人に強要することは誤りであり、撤回すべきであると厳しく指摘するものですが、答弁を求めます。
答弁(奥原部長)
次に、「人権保育」は何に基づいて実施しているのかということについてお答えします。人権を大切にする心を育てる保育を目標の1つにかかげている、国の保育所保育指針、および平成9年4月、厚生省児童家庭局保育課長通知「人権を大切にする心を育てる保育について」に基づき、人権を大切にする保育を公私立保育所で推進されていると認識いたしておりますが、本市といたしまして「人権保育基本方針」および「人権保育カリキュラム」を策定し、」乳幼児期の子どもの人格や個性が尊重され、成長・発達をはぐくむための保育を実践しているところであり、民営化にあたってはこの保育方針を引き継いでいただくことを考えております。
質疑(岩本)
・ 保育士等の配置について
障害児加配・フリー保育士・調理員などの作業員について現在の公立保育所と同等に配置するべきだと考えますが、それぞれの人員の配置基準はどのようになっているのか、答弁を求めます。
答弁(奥原部長)次ぎに保育士等の配置についてお答えします。
保育士の配置につきましては現在公立が実施しております1歳児クラスの対数を児童5人に対し、保育士1人としている以外は国と同じ基準で各年齢別に配置することにしております。
また看護士につきましては、常勤での配置を義務付け、栄養士につきましても配置することを移管条件として明記しております。
障害児加配につきましても、現行の公立保育所で実施している障害児加配を
ひきついでまいります。
(2問目)
質疑(岩本)
1、横浜地裁判決では、児童福祉法第24条の解釈において、
「保護者に対して、その監護する乳幼児にどの保育所で保育の実施を受けさせるかを選択する機会を与え、市町村はその選択を可能な限り尊重すべきものとしていると認められるのであって、この保育所を選択しうる地位を保護者における法的な利益として保障するものと解するのが相当である。」と述べています。
改めてうかがいます。公立保育所を選択して、公立保育所に入所したにもかかわらず、途中で廃止され、民営化することは保護者の保育所選択権の侵害にあたると考えますが、この点について改めて答弁を求めます。
答弁(南助役)
一点目の横浜地裁の保育所選択権の侵害ということでございます。横浜地裁の判決におきましては、保育所選択権について述べられておりますが、裁判所の判断として法は保護者に対してどの保育所で保育の実施を受けさせるかを選択する機会を与え、市町村は可能な限り尊重すべきものとして、市町村に応諾義務を課したものであり、保護者に保育所選択に関する一定の主体的な地位を与えたものというべきであるとしております。
また枚方市の高等裁判所の判断では、「改正後の法は、入所要件を満たす児童の保護者からの申し込みがあった場合には、市町村は当該児童を保育所において保育しなければならない旨定めているものの、市町村自ら保育所を設置することまで義務付けているわけではなく、市町村が現に入所者に存在している保育所を廃止することをありうることを前提とする廃止手続きが定められているのであるから、廃止される保育所に現に入所している児童が存在するからといってただちに当該保育所の廃止が違法となるものと断ずることはできない。」という判決がございます。
このように保育所の入所を選択する権利にかかる考え方につきましては、統一的な判断は示されていないと判断しております。従いまして本市といたしましても、それぞれの各裁判所の判例を参考にしながら、適正な判断を行い、民営化を今後すすめてまいりたいと考えております。
質疑(岩本)
2、 民営化に対して保護者への説明責任と保護者の同意に関連して質疑します。
本市では市の不十分な説明と無責任な態度に、保護者の民営化に対する疑念と不満が高まっているのが現状です。4月以降、三島保育所保護者会が行なった民営化に関するアンケートでは、民営化の方針が発表された時、反対意見は約6割でした。その後3回の説明会を聞いた後に約9割の保護者が民営化反対となっています。
具体的には、「説明を聞けば聞くほど不安が増え、具体的なものが全くない。また移管先も決まっていないのに、方針を話し合う段階ではない」いう意見などが出されています。
さらに、これまでそれぞれの保護者会から民営化に対する要望書・質問書・意見書が出されております。さらに今議会には民営化の凍結を求める請願が提出されております。保護者が態度を硬直させたのは、市が保護者の意見をまともに聞かず、「行政の都合を優先させて、早急な民営化をすすめることは、市の裁量の逸脱であり、違法」という横浜地裁判決と本市の対応は全く同じであるからです。保護者の合意が得られるまで、民営化の手続きはいったん凍結し、延期すべきであると考えますが、答弁を求めます。
答弁(奥原部長)
「保護者の合意が得られるまで民営化の手続きを凍結・延期すべきと考えるがどうかということについてお答えします。本市といたしまして行財政改革がいっそう求められる環境の中で、より効果的・効率的な保育所運営をめざすとともに、待機児童の解消など、多様化する保育ニーズに対応するため、市立保育所民営化基本方針に基づき、手順を踏んで民営化を推進しているところであり、この3月議会において、廃止の議決もいただいており、手続きを凍結・延期する考えはもっておりません。
(3問目)
質疑(岩本)
「充分に時間をかけて保護者の意見を聞く」ことをこれまで何回も指摘してきました。横浜地裁判決では、まさにそれができていないことが、違法であると断罪されたわけであります。
市長は3月議会で「民営化につきましては、保護者の皆さんに説明を行なって、理解が得られるよう努力いたしてまいりたい」と答弁されました。
しかし1月24日、市長決定した民営化基本方針、3月議会、移管法人募集、4回保護者会での説明など、なされてきましたが、今議会には民営化の凍結を求める請願が出されております。
最後に市長におたずねします。これからも市民の声を充分に聞かず、民営化の時期をずらさずどんどん進めていかれるのか、いったん民営化は凍結し、じっくり時間をかけて保護者の意見を聞いて理解を得ようと努力されるのか、市長の英断が求められていると考えますが、その点について再度答弁を求めて、私の質疑を終わります。
答弁(野村市長)
公立保育所の民営化につきましては、各裁判所で様々な判決がでておりますが、さきほど部長が答弁しておりますとおり、様々な保育ニーズへの対応、また効率的な保育行政をすすめるという観点に立ちまして、今後とも保護者への理解を深めるよう努め、当初の予定通りすすめてまいりたいと考えております。
(以上)